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銀ちゃんといっしょ 42

ごんさんぽ 6 赤い……

ごんちゃんの散歩中の水飲みは
赤い たためる容器を持ち歩いています
短い時間でも必死で進む彼なので
途中の水分補給は必須です
もう暑いから陽の高いうちの散歩は
そろそろ終わりかなって感じです

今朝の散歩中
赤い容器をバッグから出した瞬間に
思い出した映像があります
今まで何度も思い出された映像です

文房具屋さんから飛び出て来た女の子
胸にしっかり抱えこまれていた真っ赤な筆箱

昔 小学校の前には必ずと言って良いくらい
文房具屋さんがありました
昭和の風景でしょうか…

中途半端なショーウィンドゥに飾られてる文房具
子どもの目にはキラキラした宝物

やたらと装置のついた筆箱が流行っていました

それを持てる子どもと持てない子ども

同級生の家は古い平屋やボロいアパート
逆にお金持ちの家は限りなく広い庭つきだったり

差が激しかったような気がします

放課後
何かを買いにその文房具屋さんへ行った時に
その光景を目にしたんです

店から飛び出して来た女の子
知ってる子ではありませんでした
しっかりと赤い筆箱を胸に抱えこんでいました

大きな声で叫びながら店主が出て来て
その女の子の首根っこを取っ捕まえました

怖かった

店主のおじさんも怖かったけど
何よりその光景に出くわした事が怖かった

欲しかったんでしょうね
いろんなしかけがあって
鉛筆と消しゴムだけじゃない いろんな物を
詰め込める赤い筆箱
欲しくて欲しくてたまらなかったんでしょうね

盗って帰って……
家の人になんて話すつもりだったんでしょう

今 親として考えると
胸が締め付けられる想いがします

私自身はほぼ何不自由なく大人になりました
欲しいものは大抵買ってもらえました
ただ社宅の集合住宅ばかりだったので
犬や猫だけは無理で鳥やうさぎを飼っていました

だから…なのか
なのに…なのかはわかりませんが
物欲がありません

欲しくて欲しくてたまらない感じは
なかなか理解できません

でも子どもができて
多額の借金を抱えていて
一番に気をつけていたのは
心まで貧しくなってはいけない事
お金の事だけが理由で悲しい想いはさせない事

3人の子どもたちは結果として
何かが欲しくてごねたり拗ねたりする事なく
大きくなりました

あの赤い筆箱を抱えて飛び出した女の子の胸に
あの時の事はどう刻まれているんでしょう

誰もが〝悪い事をしよう…〟と思っては
生きていないと思います

大人として
守っていかないといけないものが
たくさんありますね

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