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G23第一部 メモと雑感⑥ 「灰の上の蝶々」〜「青い噂の袖」

《同シリーズの記事はこちら:     

ようやくここまで辿り着きました!!
「灰の上の蝶々」と「溶岩と雨粒」のお時間です!!
タニリエムというキャラクターの存在意義と、ベイムネク&ミレシアンについてじっくりみっちり語ります!!!

「スキルトレーニング」「0と1」などのメタ発言を連発するタニリエムは、ゲーム内のキャラクターである「ミレシアン」とゲーム外の人間である「プレイヤー」両方の視点を併せ持っているようです
エリンで生きるミレシアン、現実世界で生きるプレイヤー。
どちらの観点から彼女の問いかけに回答するかは、プレイスタイルによって異なるでしょう。

そしてバロール・ベイムネク
こちらはキャラクターとしてのミレシアンに並々ならぬ執着を抱いているようです。
ミレシアンであればタニでも誰でも構わないのか、それとも相手が主人公だからこそここまでご執心なのか。
今後のシナリオでその真意が明かされることを期待します。

満を持してベイムネクが登場したので、と同じように「薄い本的な感想」をもりもり綴りました!
前回の3倍ほどのボリュームがあります(むしろこちらが本文かもしれない)。
専用のセクションに隔離していますが、そういったトークが苦手な方はどうかご注意ください。

灰の上の蝶々


・カブ港でトレハンと合流する。

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・アスコン「私にとっては星のような子」

→希望の象徴としての「星」だろうか。

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・少女の幽霊「アランズはもう大丈夫だと…伝えてね」

→かくしてG14で実装された「アスコンの物語」は幕を下ろす。
完結に要した年月は現実時間で実に8年。
こんな形で……再会を果たせぬまま……でも伝言を確かに伝えられてよかった……(´;ω;`)

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・手渡されたのは4.02cmのダイアモンド。売ればそれなりの値段になるだろう。
最愛の妹の無事だけを願いながら生きてきたアスコンの祈りが詰まっている気がする。


・そんなやりとりを見ていたらしいタニと再会する。
種族名の「ミレシアン」呼びだと紛らわしいので、「主人公」「タニリエム」と呼称を分けます。

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・タニ「ここで何してるの?またクエスト中?この前のあれはどうなったの?解決した?」
バトゥール「一度に何個質問をすれば気が済むんだ…」

→矢継ぎ早に質問するタニにバトゥールは困惑している。
NPCとの会話でキーワードを連打するPCへのちょっとした皮肉か?
その面では、タニは実にミレシアンらしいミレシアンと言える。

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・タニ「悲しい?」
「何?」

→思わず聞き返す主人公。


・※以下の感想は「悲しい」を選択した場合のリアクションを踏まえたものです。
他の選択肢を選んだ場合は印象が大きく変わるかもしれません。

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・タニ「ダナンの死が悲しい?」
→「悲しい」
タニ「悲しい?[主人公]は悲しいのね」「残念とかそんな感じ…?」
「何が悲しいの?ダナンが死んだことが?それとも、死を伝えなければならないことが?あたしは悲しくないんだけど」
「あたしたちは、ミレシアンなのに悲しいの?」「死んだとしても、ダナンだよ…?」

→タニの口から驚愕の発言が飛び出した。
「どうせダナンたち」だから悲しくない。
筆者は自分の操作するミレシアンの心境を想像しながら会話を進める派なので、タニのドライさにはたいそう衝撃を受けた。
だが、現実世界のプレイヤーの立場から回答すると、「ゲーム内の知らないNPCが死んだところで特に心が痛まない」というのも十分理解できる。

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・タニ「あなたたち、ミレシアンじゃないからそうなんでしょ?あたしは、[主人公]にミレシアン対ミレシアンとして聞いてるの!」

→同じミレシアンとして議論することで、2人の姿勢間のコントラストがより鮮明になる。

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・タニ「そしたらポウォールが死ぬのも悲しい?」
「悲しくないのなら、ダナンとの違いは何?」
「会ったこともないダナンやエルフ、ジャイアントが死ぬよりも、間違えて投げた石やスキルトレーニングのせいで倒されるタヌキの方が…」

・タニ「0と…1の…世界…

→つまりはコンピューター。
メタすぎる台詞の数々、もはやG24で転生してマッチョなイケオジの姿で再登場しても何ら驚かない。
「NPで買ったんだ〜」なんて言いながらエルグ50の赤7ディヴァブレでも背負って。

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・バトゥール「たとえミレシアンだとしても他人の命を軽く言うな!」
ミルオール「ミレシアンたちはこのように考えてるのですか?とても不愉快です」

→タニの無神経さにバトゥールとミルオールは強い不快感を隠せない。


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・タニ「それでどう?ポウォールが死ぬのも悲しい?」
「悲しい」
タニ「何で?これはどうして悲しいの?ポウォールとダナンは似ているところがあるの?」「それに…あなた、悲しいと言っている割には…大した役割を担っているじゃない」

→主人公が大抵引き受けるのは、ポウォールを含む脅威を排除してエリンを守る役目。
タニの指摘に反論はできない。

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・タニ「ミレシアンのそれぞれが違うってことだよね?」

タニというキャラクターは主人公のfoil、引き立て役としてメインストリームに投入されたと言える。
箔(ホイル)で裏打ちすることで宝石をより眩く輝かせる慣習にちなんで、別のキャラクターの特徴を強調する役割をこう呼ぶらしい。
タニが同じ種族でありながら全く異なる価値観を示した結果、主人公の個性が引き立つ。
彼女との問答を通じ、「ミレシアンだからこうあるべき」ではなく「ミレシアンという種族の一個人としてこう思う」と、主人公自身の信条を明確化することになる。
そして、これは筆者の単なる勘だが、主人公独自のその信条に特別な興味を覚える者もいるかもしれない。

→ダナンやポウォールの死について議論する中で、「ミレシアンにとって『死』に等しいものとは何か?」と考えるきっかけにもなった。
復活できなくなること、ソウルストリームを渡れなくなること、エリンからその痕跡が消え去ること?
長い旅路の果てで主人公を待ち受けるものとは何なのだろう。


溶岩と雨粒


・トレハンと共にベルファストへ向かう。

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・船着場のモナットの隣にタニが!ここでは会話はできなかった。

・考えを整理しに静かな場所へ向かうと……

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・ベイムネク「君が一人でこんな場所にいるとはな」

事 案 発 生

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「ベイン…いや、ベイムネク」

→未だに偽名で呼んでしまうミレシアン。仲間意識はそう容易には消し去れないようだ。

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・まずは無視して聞こえないふりをしてみた。
どこに小ネタが仕込まれているか予想もつきませんからね!

ミッション「邪眼の試験」

・会話シーンのBGMは"cutscene36"、『狂笑の夜』。

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「バロール・ベイムネク…」

→珍しく本名で呼んだ。認識を改め、彼が蘇ったポウォールの王であると自分に言い聞かせたいのだろうか。

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・ベイムネク「俺について知りたいことがたくさんあると思うが、それよりもあの方について知りたいのか?」
「やはり…君が英雄と呼ばれる理由はそういう度胸から発揮されるようだな」

→「たくさんあると思うが」と言い切れる自信はある意味尊敬する。
自分で素性を隠しておきながら、今度は秘密をちらつかせて興味を引くとは……

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「ベイムネクの英雄という言葉に…何とも言い表せない感情が湧いてきた」

→「何とも言い表せない感情」の解釈はプレイヤーによって千差万別。
ページ下部の「薄い本的な感想」セクションでもこれについて少し語ります。

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「ベイン…いや、ベイムネク」

→やっとバロールと呼んだ直後にまたこれ!
かつては味方であった「ベイン」に対する甘さが垣間見える。

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・ベイムネク「ミレシアンは…英雄として褒め称えられているが、本質から違う存在ではないか」
「期待され続け、常に動員され、時には排除され、裏切られる…。しかし、それでもまた英雄になるしかない…」

→女神の呼びかけ、村人の依頼、軍の要請、王国の召集……何かに応え続けるうちにいつのまにか英雄になっていたミレシアンの本質を見抜いている。
ミレシアンの在り方を根底から理解しているのは、今は隠居した神々・某守護者・そしてベイムネクぐらいのものではないだろうか。

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・ベイムネク「俺はそんな君が不思議だ。何が君をそうさせているのか」
「君の本当の望みは何だろうか?君は…ただそうしていたいだけか?」

→周囲に期待されるがまま歩み続けてきたミレシアンに「君の本当の望みは何だ」と問いかけるベイムネクは、己の欲望を曝け出せと囁く悪魔のようでもあり、英雄という枷から解放してくれる救世主のようでもあり。

→どうも彼が某石畳の緋き悪魔とかぶって仕方ありません。
「君ニ今、敢エテ問オウ」── "The demon incites, using flames without promise."

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・ベイムネク「すべきことを躊躇せず」「追い求める心を閉じてはならない」

→ハイミラク教典の一節!初対面でもピルアンの信用を得るために諳んじていた。なぜ今この場面で。
正体がバレた時に「俺は嘘をついた覚えはないぞ」と言い切っていたが、その言葉通り彼がハイミラク信徒だというのは偽りではなかった?

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・ベイムネク「まさにそれが…俺が今こうして君の前にいる理由でもある」
「この道の果てに…俺は長い間熱望していたものを手に入れられそうなんだ」
「そして、それを俺に渡してくれるのは君だと思っている」

→渡す……渡す。引導を渡す。ハハハそんな馬鹿な。

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・ベイムネク「海は巨大な一つの世界だ」「その中には多くの命が生きている」
「ああ…。煮えたぎる溶岩とは…全く違う」

→熱された鉱物のように光る剣、炎を操る能力、死を与える邪眼……「煮えたぎる溶岩」はおそらく彼自身。
生命の息吹とは縁遠い、超高温の無機物。
命に満ち溢れる海に対する羨望のようなものが感じられるのは気のせいだろうか。

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・ベイムネク「世界の中心に立っている人によって変わったり嵐によって荒らされたりするかもしれない」

→第二部に向けてのヒントをさりげなく落としてくれている?

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・ベイムネク「発現した力に少し慣れたか気になるな…。だから…一度…」
「俺に見せてくれないか!」

→瞳のハイライトが消えた。赤く染まる画面、何かが割れるSE!
テンションがぶち上がります!!

・戦闘に突入する。BGMは"Dungeon_ArduDoubhca"。

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・魔眼をあらわにしたアバター。

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「ベイムネクは私に確かめたいことがあるようだ」

→「この程度の遊びで死ぬようでは困る」的な?

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・(HP70%時) ベイムネク「ハハッ…いいぞ、俺の相手にふさわしい。やはり君は…十分な資格を持っている」
「この感情は…そうだ、『喜び』と呼んでもいいだろう」
「もっと…もっと俺を喜ばせてくれないか?」

どうしてこう変態的(褒め言葉)な言い回しをいちいちチョイスするんでしょうかね!?
「試験」というからには本気の殺し合いではなく、腕試しのようだが……それにしても昂りすぎでは。
ここでミレシアンがさりげなく顔芸( ` Д ´ )をしている。まぁ正しいリアクション。

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・(HP50%時) ベイムネク「ハハハハッ!やはり…君を相手にするのは楽しい。このような楽しさは…実に久しぶりだ」
「ああ…面白い!いつの間にか、あの人間の力も発現したようだな。やはり…君は俺を失望させない」
ベイン「本格的な舞台ではないが…俺も少しは真剣に相手してやろう!」

→好敵手を見つけて喜悦する姿はまさに戦闘狂のそれ。

→G22のエピローグムービーでも、「わざわざ開花までさせたのに、俺をがっかりさせるなよ」とミレシアンに何か期待する素振りを見せていた。
やはり自分と対等に渡り合える強敵を育て上げるために特性を授けたのか。

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→会話中でも容赦のないフレイムストライクがミレシアンを襲う!
汚いなバロールさすがきたない。回想ムービーでは不意打ちに激怒してませんでしたっけ?
ミッション内で死亡しても特殊台詞は確認できなかった。

→ここでベイムネクが一度だけLv.10の超越:生命を使用する。
決して倒れない非ダウン属性と相まって、彼に与えられた「死からの自由」が表現されているようで滾る。

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・会話中に溶岩床で死亡したせいで表示がバグったのか、以降ずっとベイムネクの腰から炎が噴き出ていて笑ってしまった。

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・(HP30%時) ベイン「ああ…。君は俺を失望させたりしないだろう」「間違いなく…必ず君は俺を…!」
「ベイムネクの声から隠し切れない喜びが感じられた」

「必ず君は俺を」に続く文は、おそらく……
特性を駆使するベイムネクの生命力を、ミレシアンはここまで削いでみせた。
これ以上の望みといえば一つしか思い浮かばない。

「本格的な舞台ではないが…」と「君は俺を失望させたりしないだろう」の瞬間だけ、会話ウィンドウの名前が「ベイムネク」から「ベイン」に戻るんです……
で触れたように、魔王でも幹部でもないありのままの姿が「ベイン」なのだろうか。
北米版でも全く同じタイミングで"Balor"/"Beimnech"から"Vayne"に戻っていたので、この表記揺れが意図的なものであると信じたい。

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・ベイムネク「もう始まったか…」

→まるで天候の急変を予期していたかのよう。

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・ベイムネク「君がここに来る前にこの地で暮らしていた種族」「今は消えてしまった者たち」

→ベルファスト島限定だとポウォール、エリン全土だとヴァン・パルホロン・ネベド・ピルボル族あたり?


青い噂の袖

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・スカアハ「海の主…彼が向かってきています」
ミルオール「マナナンのことですか…?」

→海の主マナナン・マクリル
バロール・ベイムネクに続き、神話のビッグネームがいよいよ登場!

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「マナナンという名前を聞いたスカアハの瞳が、一瞬強烈な感情を帯びた」

→スカアハはかつてマナナンの求愛を断った際に今後誰も愛さないと約束したが、のちにその約束を破ってしまったため呪いをかけられた。
余談だが、ゲーム内アイテム『作者未詳の歌-下-』に載っている歌はスカアハに目を止めるマナナンを描いたものだと思われる。
こちらの元ネタはおそらく古歌『ブランの航海』。

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・スカアハ「知ってる…?全ては君に繋がっているのよ。この世界の全ての事がね」
「ほとんどが君を中心に起きている」

→メタ的には主人公中心のストーリーである以上当然なのだが、なぜこのミレシアンの周囲で事件が起こるのか、今後の展開で合理的に説明されるのなら感心する。

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・スカアハ「君がどんな選択をしようと…誰かはその歯車に無残に轢かれるだろう」

→これまでに犠牲になったキャラクターの数々が頭をよぎる。
ミレシアンと関わってさえいなければ……

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・スカアハ「君に差し掛かったパララの光輝」

黒き月ドゥフカに対抗できる者としての太陽パララか。
太陽と形容されたの光も思い出す。

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・スカアハ「彼の息子の一人が、心臓と同行して来て聞いたわ」「マントと霧…そして剣」「自分の父親の宝」「妖精の女王」

→マナナンに育てられた者といえば、光輝の英雄ルー・ラバダ。しかし彼はG16で確かに討伐されたはず……
アイルランド神話では、マナナンには妖精王Ilbhreac, Fiachna, Gaidiar, Orbsen, Cairpre Condualachなどたくさんの息子がいたらしい。
「心臓」とはクェーサルの心臓で、G22から度々話題に上っている「剣」はFragarach≒フラガラッハ
妖精の女王はファン、ウーナ、メイヴ、ティターニアあたりが候補?マナナンと縁深いのは妻のファンか。

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・ティニック「痩せてて…色白で…背が高くて…太陽の光を浴びたことのないように白い、初めて見る不気味なお兄さん!歌がすごく上手だったぞ!」「コートのポケットから甘い匂いがした」

→ベイムネクもケフレーンもコートは着用していない。
消去法でタレック?ケーキを買い求めるあたり、彼も上官も甘党のようだった。


第一部・完


・ベルファストを襲う嵐と、どこかの神殿の映像が流れて第一部は完了。

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・現実時間の2週間後、ミレシアンのもとに2通の郵便が届く。

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・タニ「あなたは物語を導いている」

→エリン的には「事件の中心人物」、メタ的には「メインストリームを進める主人公」を意味する?

・タニ「この前のお詫びとしてプレゼントをあげる!」

→黒ヒグマは魔符クエストの中で赤黒クマに次いで2番目に高い報酬。
タニが最後にエリンを訪れたのがG9実装前だとしたら、最大級の謝意の表現……になるんだろうか?
ミレシアン版「とらやの羊羹」的な。

そして物語は第二部へと続く……


薄い本的な感想(※カップリング注意)


大変お待たせいたしました、左右に関するあれやこれやでございます!!
ベイミレ・トルミレ・NPCミレ全般(性別問わず)に言及いたします。
この先はどうかお好きな方のみご覧ください (前回の感想はこちら)。
最初に白状しておきますが、筆者はベイミレ信者です。
ベイムネクと対照的なキャラクターとしてトルヴィッシュを特に取り上げていますが、トルミレ含め他のカプを否定する意図は毛頭ありません。

──────

ベイミレトークに入る前に、少しだけミレシアンとカップリングの話をば。
はじめに「ミレシアン」=ゲーム内のキャラクター、「プレイヤー」=ゲーム外の人間と定義します。

ミレシアンはストーリーの都合上、公式には誰とも特別な関係……いわゆるカップルが成立している描写はありません。
特定のキャラクターと絆を築いたり、感情のベクトルを向けられることはあっても、「この人が一番大切」とは絶対に明言されません。

この描写の意図的な欠如こそが、ミレシアンを操作する各プレイヤー独自の解釈を許しています。
ファーガスに想いを寄せるも、タルラークが忘れられず生涯独身を貫くも、イビーとショーンの仲をひたすら応援するも、誰とも距離を縮めず生きるも、完全に自由です。
プレイヤーは曖昧な心情描写を好きに補完し、それぞれのミレシアン像を構築することができます。

ミレシアンの心理を決めるのはプレイヤーなのです。

これを前提に、今回の「邪眼の試験」を振り返ってみます。

──────

① まずは公式情報の整理から。
黒き月の教団の幹部であるベイムネクと、王国の遠征隊に所属するミレシアンは敵対する立場にあります。
ですが、彼らの会話を読む限り、個人としての2人は互いに敵意を抱いているようにはとても見えません。
それどころかベイムネクはミレシアンに文字通り熱い視線を向けており、英雄に祭り上げられた彼/彼女の本質を見抜いた上で、自分のように己の本当の望みに従って行動するよう説き勧めています。
陣営こそ違えど、「死からの自由」という特権を持つ彼はミレシアンにとって稀有な理解者とも呼べるほどです。
そしてミレシアンはそんなベイムネクを警戒してはいますが、頻繁に「ベイン」という名前で呼んでしまったり、いまいち敵意を向けられなかったり、彼に対してどこか甘いところがあるようです。
モノローグの後に突然斬りかかられても、ミレシアンが漏らす心の声は「ベイムネクが私に望むこととは…一体!」のたった一文のみ。
ここに解釈の余地があります。

ミレシアンはベイムネクという存在に惹かれるのか。
その想いは英雄としての使命感や、特別なあの人との絆に勝るのか。
殺し合いが避けられない運命でも、彼に心を許してしまうのか。

公式シナリオでは答えが明示されない問いの数々。

これらの答えを決められるのはプレイヤーです。

② さらに言えば、絶対神の遺物を守っていたトルヴィッシュ
G21ではミレシアンと同種の超越性を持つ者……真に対等な存在、本当の意味での理解者として描写されていました。
エリンからその姿を消しても「この地の秩序を正す」という約束を守り、G23ではミレシアンの到着を待っていたかのように遺物を託していきました。
バレスのあのシーンで彼の手を幻視したプレイヤーも多いのではないでしょうか。

ところが、そこにベイムネクという別の理解者が現れてしまった。
秩序と混沌をそれぞれ体現するトルヴィッシュとベイムネクは相容れない存在のはずです。
であれば、両者と相通じるものを持つミレシアンは、どちらとより深く共鳴するのでしょう?

直前のメインストリームで守護者たるトルヴィッシュが運命の人であるかのように描かれていたからこそ、彼とは対極的な人物であるベイムネクの魔性ぶりが一段と引き立ちます。
トルミレ前提のベイミレやトル→ミレ←ベイのサンドイッチをよく見かけるのはこれが理由かもしれません。

③ そしてさらにややこしいことに、ここにミレシアンとプレイヤー間の意識の隔たりが加わります。
「ミレは私の分身なので、何があってもトルヴィッシュ一筋」
「夢女子としてはベイムネクが猛烈に好きだけど、うちのミレはそんなにホイホイ乗り換えたりしない」
「プレイヤーと同じくめちゃくちゃ無関心なミレは誰にもなびかないと思う」
「弊ミレはベイムネクに惹かれるだろうし、プレイヤーも彼のキャラがどストライクである」
などなど、プレイヤーの数だけ可能性が存在します。ロールプレイングゲームならではの現象ですね。
ちなみに最後のは筆者の声です。
英雄と呼ばれて湧き上がってきた「何とも言い表せない感情」をベイムネクが的確に代弁してくれたのかな、と。

うちのミレシアンは他人に弱みを見せず色々と抱え込んできたので、あの場面で自分の本質を言い当てられたことに思いがけない心地よさを噛みしめています。
そして立場と信条を分けて考えるので、自分の心を見透かす理解者であるベイムネクに惹かれないわけがありません。
恋とも愛とも違う、魂の引力とでも形容すればいいのでしょうか。
もしも自分がエリンの守護者ではなかったら……彼が教団の立場に縛られていなかったら……共に生きる道を模索する自由が許されていたのなら……
こんな形で出会ってさえいなければ。

詮なきことと分かってはいながらも、夢想するのをやめられません。
このチャプターのフィナーレで彼の生を終わらせるという使命を背負わされたら、ミレシアンは今度こそ一生喪失感から立ち直れないでしょう。

④ それぞれの思惑とは無関係に、2番目の夜を迎えていよいよ加速していくメインストリーム。
黒き月の教団という脅威からエリンを守る戦いの中で、ベイムネクとの死闘は避けられないと予想されます。
きっとミレシアンは光り輝く第二の英雄として古の魔王を討ち果たし、ベイムネクはあれほどまでに渇望していた永遠の安息をようやく手に入れるのでしょう。
それでも、彼らの本質が変わらない限り絶対に叶うことはないだろうと知りながらも、こう願わずにはいられないのです。

「ベイムネクとミレシアンに幸せな生を」
と。



……公式よ、いっそシナリオを大改変して180°方向転換してくれ。
予想が的中して推しカプの片割れが死ぬよりも、盛大な解釈ミスからの長文ポエムでプレイヤーが恥ずか死ぬほうが100万倍マシです……


⑤ 最後に一言だけ。別のゲームからのスクショですが:

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「戦って傷つけ合うことだって、ある意味では淫らな交わり」

つまりベイムネクとミレシアンの戦いはそういうことであると認識しております!!!

以上!!煮えたぎる溶岩の底からお送りしました!!


noteを始めた目的であるこの記事を書ききった今、もう思い残すことは何も……と言いかけたのですが、G24という死刑宣告が数時間後に迫っているんでした。
約束された死が楽しみでなりません。マビノギ万歳。


文献


・Foil - Examples and Definition of Foil. (2018, January 1). Retrieved from https://literarydevices.net/foil/

・Isleofman.com. (n.d.). The Myth of Manannan Mac Lir. Retrieved from https://www.isleofman.com/welcome/history/mythology-and-folklore/manannan-mac-lir/

・Meyer, K. (1994). The Voyage of Bran.

・Mountain, H. (1998). The Celtic Encyclopedia (Vol. 3). Parkland, FL: Upublish.com.

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