会社の定性的分析のよすが ー AI浸透度とオープンイノベーション白書第三版

筆者は数値指標として、主にROE, 増収率、増益率、営業利益率、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー、自己資本、自己資本比率の履歴を重視して会社の分析をしているがそれだけではわからないことも多い。企業の定性的分析もしないと、その会社の持続的な成長性・収益性に迫ることはできないと思っている。ただ、定性的な分析は難しく、確立した方法論といったものは世の中にはない。自分は、数値分析で有望と思われる会社をスクリーニングし、これはという企業については、創業者、経営者のインタビュー、公式ホームページのトップメッセージと会社理念、採用ページで学生を念頭にどのように会社の強み等を説明しているか、などなどをその時に応じで検索エンジンを駆使して調べている。ただ、その際の普遍的な評価基準というのはなく、調べながら「この企業はいけるかも」という直感が働くかどうかという極めて恣意的な基準しかない。

最近、富士古河E&CとミスミGに関しての記事を検索して調べているときに参照した文献でいいものを2つ見つけた。ひとつは経団連の AI-Ready のレベル分けで、もうひとつは、NEDO のオープンイノベーション白書第三版である。

前者がこれ。

提言では、企業の経営層、AI技術者等の専門家、従業員、そしてシステムやデータに関して、5段階のレベル分けを行い、ガイドラインを示した。

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レベル5は”AI-Powered企業として確立・影響力発揮" レベル4は "AI-ReadyからAI-Poweredへ展開” レベル3は"AI-Ready化を進行" レベル2は"AI-Ready化の初期段階" レベル1は"AI-Ready化の着手前”

このレベル分けは結構使えるかもしれないと思っている。当 note で取り上げた企業ではミスミGはレベル4とレベル5の間に位置すると思う。このレベルが高い会社の株価は上がりやすいという感触を持っている。

つづいて NEDO のオープンイノベーション白書

近年、イノベーティブな米国企業や中国企業の台頭がみられる一方で、日本企業によるイノベーション創出のインパクトはそれほど強くありません。オープンイノベーション白書ではこれまでに、イノベーション創出の有効な手段としてオープンイノベーションの効果的な手法や事例を整理してきましたが、改めて第三版の作成にあたり、イノベーションの本質に立ち返りながらオープンイノベーションの意義や位置づけを整理し、現在求められるイノベーションをどのように創出していくのか、事実と推論に基づき取りまとめました。イノベーション創出やビジネス拡大に取り組む企業にとって、「では自分たちは何をすべきか」を検討する上での一助となることを目指しました。

第三版の概要だけで pdfファイルで44ページもある。

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9ページの表がこれ。

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上の表の「製品・サービスがイノベーションかの視点」「イノベーションとなる例」「イノベーションになりきらない例」という切り分け方が面白く、企業を分析するときに使えるのではないかと思っている(当然、「イノベーションとなる例」に分類できる革新を行った、行いつつある企業を探すべきである。)

後、面白いと思ったのは54ページと55ページの表。

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この2表は、企業の定性的分析をするときに非常に役立つと思っている。分析したい会社が「自社の強みや競争環境を踏まえ、目指す方向性を決める」ことができているかどうか、という問いを立てられるからである。

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