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エリート会計士に聞く、効果的なSO発行のコツ【ユナイテッド&コレクティブ社外取締役・加藤氏】|Vol.343-345

関係者の士気を高めるニンジンとして使われる「ストックオプション(SO)」ですが、実は有効な設計をする難易度はかなり高め。
あなたが発行してもらっているSOも、実際には大きなリターンにつながらないかも?
大企業へのアドバイスも行う外銀出身エリート会計士、加藤さんに発行の注意点をじっくりうかがいました。

▶加藤さんの出演動画 一気見はこちら

■加藤 涼 氏 ユナイテッド&コレクティブ株式会社 社外取締役
中央青山監査法人、モルガン・スタンレー証券、フォートラベル、バークレイズ証券、コーチ・ジャパン、クオンタムリープを経て独立。会計、金融、マーケティングに至るまで幅広い経験を有し、特に金融分野においては、ベンチャー企業投資、M&A、IPO、ストラクチャード・ファイナンス全ての実務に携わる。複数のベンチャー企業の役員を務めるなど、企業内部からの経営支援実績も多数。2018年JAPAN FAS株式会社を設立。複数の上場企業・大企業のクライアントに対してCFO支援およびM&A・資金調達アドバイザリーサービス等を提供。
最初のご出演▶「東大卒・元モルスタのエリート会計士登場
2度目のご出演▶「富裕層の資産形成・節税・海外移住



外銀出身者が紐解くストックオプションの種類と意外なリスクとは〈No.343〉


適切なSOを発行できている人、実は少ない説


ストックオプション(SO)も、自分の会社に合うものを
周囲の経営者と同じ方法でいいとは限らない
無償/有償の選択、信託SOの導入も検討すべき

ストックオプションのざっくりしたイメージ
生株ではなく、株を買う権利のこと
あたかも株を持っているような状態
いいタイミングで株に変えて売れるもの

出口とセットで設計しないと意味がない
出口を決めていない場合は発行しても意味がない
株と違って配当はもらえない
SOを持っていること自体に経済的便益はない

ストックオプションの種類
有償/無償
有償で、割り当てを将来決められるのが信託SO


あなたのSOは大丈夫?実は要注意な「無償SO」


M&AEXITもありうるなら、有償SOで
M&Aが出口になると、無償SOの課税額が最大55%になる
譲渡すると税制適格要件を満たさなくなるため
譲渡課税(20%)ではなく、給与所得課税(最大55%)に

無償SOでも、株にしてから譲渡すればOK?
別の税制適格要件に引っかかる
「証券会社等(主に信託銀行)に株の管理を委託すること」
一般的には未公開株は扱ってくれないので満たせない



流行りのストックオプションの行使条件が意外と厳しい件〈No.344〉


SO発行は、まず「早いうちに」!!


SO発行は早めにしないとメリットが薄れる

バリュエーションが低いうちに発行することが大事
特に有償SOの場合、発行の際に払い込みも必要なので
オプション料が高くなりすぎないうちに発行すべき


M&Aするかもしれないなら「有償」がおすすめ

資金的に余裕があるなら有償SOがおすすめ
オプション料を払うのが難しければ無償SOでもいいが
有償SOなら必ず譲渡所得課税(20%)になるので安心

IPOするなら無償SOでもいいが、M&Aすると…
無償SOを発行した状態でM&Aすることになると
税制適格要件を満たせず、給与所得課税(最大55%)になる

無償SO、まさかの落とし穴


無償SOで上場できても、キャピタルゲインに上限がある⁈
税制適格になっていれば課税額はおさえられるが
年間の行使金額に上限(1200万円)が定められている

年間の『行使価格の上限』が1200万円
株価が低い時に発行していれば1200万円で多数のSOを行使できるが
株価が上がってから発行したSOの場合は
同じ1200万円分でも少数のSOしか行使できず、倍率も低い



信託ストックオプションのメリットとデメリットについて聞いてみた〈No.345〉


SOの難しさを克服した「信託SO」とは


信託SOは、使い勝手がいい!

①SOを渡す人を発行時に決めなくていい!
②発行したタイミングの行使価格のまま、SOの枠を保持できる!


SOの失敗・不満あるある

「初期からいた人は貢献度が低くても得をする」問題
「頑張りを認めたころには株価が上がっている」問題
信託SOなら解決できる


ちゃんと貢献してくれた人に大きなメリットを与えられる

上場するタイミングでフリーライダーが明るみになってもめる…
という事態も、信託SOなら防ぐことができる


信託SOは株価が低いうちに発行しておける

10%分など、枠だけ決めて一旦発行しておける
後から入ってきた人に当時のバリュエーションで渡せる


信託SOは有償SOの部類

そのため、M&Aになっても譲渡可能、譲渡所得課税
IPO/M&AいずれのEXITになっても問題ないので
資金的な問題さえ解決できるならおすすめ


信託SO 唯一のデメリット


信託SOのデメリット:『高い』

導入コスト1000万円前後
早いタイミングでこそ導入したいが、その資金があるか?
実際には1~3億ほど調達したフェーズでの導入が多い


こんな応用もできちゃう


有償SOなら外部の協力者にも発行できる

無償SOを発行できるのは基本的に会社の内部の人間のみ
信託SOで株価が低いうちにSOを発行しておけば
上場後に有名人を起用する際に渡すことも可能


ストックオプションの
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