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負けっぱなしの人生だけど負けっぱなしは嫌だから

歴史が動いた

2022年6月9日(木)23時ごろ、私の歴史が動いた。
ポエトリースラム「ジュラ詩ック・パーク」にて、初勝利。
スラム、ラップバトル等の言葉を使った競技において、初めてまともに得られた勝利だった。
LINEオープンチャットの文面ラップで野良試合の勝ちはあったけど相手の猶予時間切れで、とても内容で勝てていたとは言えなかった。他にも大会にいくつも出て、全部1回戦で負けていた。ラップ文化が浸透した中高生にいつもコテンパンにされていた。
スラムは2回目で、初めて2/26(土)に出場した「スラム虎の穴」は2本読んでどちらも負けていた。
noteのこのアカウントを作ったのが2021年末で、それとほぼ同時に各言葉の競技も約半年やってきたが、全然勝てない。アドバイスをもらったら余計にわからなくなって、作品の投稿ペースも落ちて、詩作は向いてないのだと思っていた。
長くやられている方からすれば「何を半年で」と思われるかもしれないが、挫折の少ない人生なので打たれ弱い。耐え忍ぶことができず、どうしてもすぐに結果を求めてしまう。
今回ジュラ詩ック・パークには中学生の頃から仲の良い友人と、前職の先輩を誘ってチームを結成したので、エントリーした以上やり切るしかないと思ったが、この1ヶ月ほぼ新しい作品が作れずにいた。書かなければ上手くならないとは分かりつつ、書けない。他のことに逃げてしまう。
正直、もうダメかと思っていた。人生に何度かある創作ブーム。小説を書いて友達に読んでもらった中学生、高校生の頃。時間があって小説のプロットばかりいくつも書いていた大学生の頃。就職して少し仕事が落ち着いて「小説家になろう」等に投稿した頃。短歌を毎日「うたの日」に投稿した頃。
どれも長続きはしなかった。
また、半年で終わりか。成功している人はみんな口を揃えて「続けることが一番大事」って言ってるから、俺にはその才能が無いのだろう。
詩のオープンマイクは楽しいけど、評価がつくわけじゃない交流と勉強の場だと思っているからもっと客観的な評価が欲しい。それが得られなければ終わりだ、と半ば思って挑んだスラムだった。

そこで得られた勝利。
観客投票67%、審査員票2/2票。
全ていただけての勝利だった。

震えた。
涙こそ出なかったが、手足は痺れ、心臓は大きく高鳴っていた。
これが、勝利。俺がずっと欲しかったもの。

草野球と一緒だった。
みんなで練習して、試合して、負けまくりでも仲の良いメンバーと飲むビールは美味い。
「今日はここが惜しかったね」「全然ダメだったわ」「あそこでああすりゃよかったな」
振り返りもそこそこに下ネタで笑い、料理を食べまくり、また次回がんばりましょうと言って解散。
よくある素人草野球チームだ。俺はそこでピッチャーをやっている。
負けていても楽しい。でも勝ったらもっともっと楽しい。
草野球で俺が投げて勝ったのはたった2回だけど、勝てると本当に嬉しい。全ての存在への感謝が体の内側から溢れ出す。
万能感が得られ、自己肯定感が高まり、良く寝られる。ヤクルト1000と一緒。
勝ちたいからこれからもやる。

負けっぱなしの人生だけど
負けっぱなしはいやだから
ブサンボマスター「言いたいことも言えずに」

俺はブサイクじゃない。
モテるわけじゃないけど妻も子もいて、金にも困っていなくて幸せを享受している。
人生で負けていると言える期間は短くて、基本的に強者の側に立っていると思う。
でもこの歌が好きだ。
何度も取り組んでは飽きてやめてを繰り返しているけど、何度も繰り返すくらいには言葉を使う創作が好きなんだ。何の賞も貰えていないし、評価も貰えていないけど、いつか勝ちたいと思って立ち上がってる。

勝ちたくて勝ちたくて、Twitterスペース開いて朗読の練習して、9日にやるんですよ、と告知し続けた。本番も知ってる人に声かけてスラム配信を聴いてもらった。
ポエトリーリーディングの現場で仲良くなった人も増えたし、声をかけた人の名前がチャット欄にいくつもあって、味方がたくさんいる気がした。
これで投票しか勝てなかったら、身内呼んでずるい自分って思ってしまっただろうけど、審査員票もいただけたので、良いよね。ちゃんと勝ったって言って良いよね。

今回読んだ詩を下記に載せる。
詩のプロからしたらまだまだまだまだだろうけど、多分俺は現代詩の投稿だけじゃ勝負しない、できない。
声に乗せて、伝えたいことを伝える手法を選ぶ。これからも。

「知らない恐竜が増えた」

知らない恐竜が増えた
小さい頃から生き物が好きで

恐竜が大好きで
図鑑に載ってるものはみんな覚えて
三畳紀プラテオサウルス、ヘレラサウルス
ジュラ紀アパトサウルス、アロサウルス、ステゴサウルス、メガロサウルス
白亜紀アンキロサウルス、スピノサウルス、ティラノサウルス、ブラキオサウルス
無我夢中ハッスルして恐竜の名を発する
サウルスサウルスうるさい!って母に言われれば
カルノ【タウルス】っていうのもいるよ
そういうのがうるさい!って
そんなループ
はなく
よく覚えてるねって感心された私を育む

母の愛がルーツ
博物館に連れて行ってくれる父の家族サービス
にサウルス狂いは加速し
イグアノドン、プテラノドン、ディモルフォドン、トロオドン
どんどん知識を保存した小僧
パソコン、Googleない時代
黄金に見えた図書館の本
それを散財、ではなく脳内に蓄える3歳
その頃の夢はトリケラトプス
仲間思いでハートフル
角は輝く
目立つ襟飾りフリル
植物食でも
ティラノサウルスにも勝てる
強いトリケラトプス
になりたいな


時は流れ息子生まれ
恐竜に興味持たれ
買ったのは分厚い小学館の図鑑【NEO】
読ん【でよ】とせがまれ
本を開けば今でも心躍る太古の生命
逃げ惑うばかりの哺乳類はまだ迷子、黎明
躍動していたお馴染みの精鋭
たがそこに青天の霹靂
知らぬ恐竜のお歴々
精々25年離れた道の中
未知となった進歩した古生物学
見知らぬ近年相次ぐ「日本(にっぽん)で発見された恐竜」
その
名は


2000年フクイラプトル・キタダニエンシス
2003年フクイサウルス・テトリエンシス
2010年フクイティタン・ニッポネンシス
2014年タンバティタニス・アミキティアエ
2015年コシサウルス・カツヤマ
(呼吸)
2016年フクイベナートル・パラドクスス
2019年カムイサウルス・ジャポニクス
2021年ヤマトサウルス・イザナギイ
2022年パラテリジノサウルス・ジャポニクス

かつての恐竜博士は図鑑を買ったことで知らないことを知った
私の世界にいなかった恐竜が増えた


知ると知らないことが増えるんだ

詩の世界を覗いた
ここにも心を震えさせる恐竜たちがいた
日本(にっぽん)中に詩人が、言葉を武器にする恐竜が
こんなにもいること
詩を読む場がこんなにもあること
今まで気付きもしなかった

知ると知らないことが増えるんだ
何で知ろうとしなかった
何で知ろうとしなかった
時間のあった何でもできたド素人
どうしようもなく

感動、感激してんじゃねえ
何もしてこなかった自分に
怒れ(いかれ)怒れ怒れ
叱れ
磨け
光れ

3歳の息子はあの頃の私に瓜二つ
で才気煥発
大きくなったらティラノサウルスになるんだ

間髪(かんはつ)を容れず言ってやろう
夢は叶えられるだろう
大事でないことにかまける自分、怠ける自分に
怒れ叱れ磨けそして光れ
努力の原動力
怒髪天を突く
突く
突く
突く
天を突く髪が一本、二本、三本の角になる
今夜、スラム紀に生きる強い強いトリケラトプスになる私、怒髪天
2022年スラム紀トリケラトプス・マサイアラシ

発見


うちの恐竜たち。もっと本もおもちゃもたくさんある。何万円分勝ったのか。

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