多くを語ろう ーポエトリーリーディングー
異世界転生の深刻な社会問題
「多くを語ろう」
本日の特集は、若年層を中心に流行する異世界転生についてです。
今、異世界転生が深刻な社会問題となっています。
異世界転生とは主に社会的弱者が不慮の事故等で命を失った際、記憶だけを残してこことは違う世界に転生することです。
自死では起こらないことから、転生代行業者に事故や他殺を依頼する例が頻発しています。
また、転生の際にチート能力を授かることや、生前の知識を利用することで、異世界で大きな活躍をする例も少なくありません。これにより、異世界の文化を破壊しているという指摘もあります。
異世界情報に詳しいミノタさん、具体例の解説をお願いします。
「はい。転生者が異世界を変えている具体例を紹介します。
その膂力から繰り出される投擲能力、棍棒で殴打する腕力で恐れられるトロール。彼らが転生の際にその能力を高め、異世界にいくことで異世界の、野球というスポーツの競技レベルが大幅に上がっているのです。
競技レベルの向上、一見すると良いことのように思われます。
ところがこの野球、本当にハイレベルなプロリーグでは今までボールを投げる、打つの分業が当たり前だったのです。しかし、投打両方の圧倒的な能力を持った転生者がいることで、その選手に合わせたルール変更も行われてしまいました。最も優れたプレイヤーに対する投票も、史上初の複数回満票を受賞をしてしまい、今後一切その選手が貰うべきではないかという意見まで出ているほどです。
一人の選手が活躍しすぎることは、競技の人気低迷に繋がる可能性も示唆されています。
また、頭脳面でも他人の心を読む魔法を習得した方が異世界のボードゲームでプロ選手として全てのタイトルを奪取しています。
私たちの世界では心の読み合いで対等な勝負ができますが、異世界では魔法士が非魔法士を蹂躙しているのです」
「転生者による異世界競技の破壊が起きているというわけですね。
他にも転生者は異世界で社会問題を引き起こしているとか？」
「はい。分かりやすい例がインキュバスによる女性の搾取です。
彼らはチャームの魔法で女性を虜にしています。
多くの女性が正常な判断ができず、自分では払えないほどの金額をインキュバス達に貢ぎ、体を売らなければならない状態に陥っています」
「魔法耐性の無い異世界人だからこその被害、というわけですね」
「常識改変魔法を持ち込む転生者も増えています。
今まで何事もなかった男性が、ある日突然自分を女性だと思い込み、女子風呂や女子トイレに侵入して逮捕される、そんな事件が異世界で多発しています。
常識改変が行われるのが力のない一個人ならともかく、権力者に使われ、公共施設に女子トイレの代わりに誰でもトイレを設置するという事例もあるのです」
「具体的な被害も出ているのですね」
「より大きな被害もあります。最近アウルベア、つまり熊型モンスターの転生者が異世界で熊の人権を主張し、異世界人の住居を奪っている、との報告が入っています。
また、生殖欲が無いエルフの転生者が増え、異世界人が減少している地域もあると言われています」
「適齢期になっても結婚しない、子孫を残さない人たちはエルフの転生者である、と」
「間違いありません」
「転生者が急速に変化させる異世界。
いつか異世界からこちらに訴えがこなればいいのですが。
本日はミノタウルスのミノタさん、
私、オークのオオクラでお送りしました。
オークと多くを語ろう。
本日はこの辺で。
また明日」
感想
昨日のコトバスラムジャパン敗者復活戦で読みました。結果は1回戦Bグループ、同率2位で敗退。
票が入ったのは嬉しかったです。
テキスト力、感情、読み込み、人を惹きつける力、どれも足りなかった。
ずるいかもしれないけど、俺のリーディングが聞きたいって人があと3人いてくれば勝てるわけで。
今年はスラムにはもう出ないと思うけど、来年は詩も、俺自身も魅力を増していく。そういう年にします。
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