小説を読むことについて

 小説を読むのは少しだけ勇気がいる
例えば音楽を聴くのに比べればハードルが高い
奪われる体力や時間が多い割にギャンブル性が高い
(もちろん好きな作家や繰り返し読んでいるものであれば話は違う)

 でも僕はミーハーなので つい気になって 色んな作品を手にとってしまう
これは良い作品と出会う確率を上げているし 同時に下げている
これを繰り返し 自分の傾向を知っていくけど
それでも偏見のせいで新しい出会いがなくなるのも嫌だ
だから極力 なんにでも手を出す
(最悪途中で読むのをやめれば良いのだ)
(そしてそんな僕に図書館は最高のサービスだ)

 こんな風に無計画で衝動的な選び方をしていると 本当に良いと思える作品との出会いは多くはない
そんな中 珍しく ここ最近読んだ小説が連続で僕の琴線に触れ でもやっぱり 選り好みしないことって良いことかもしれないと思った

たまたま目についた本…
なんで予約したかも覚えてない本…
たまたまYouTubeで紹介動画を見て普段読まない系統な気がして懐疑的な気持ちだったけれど紹介者の熱量に押されていっちょ試し借りした本…(思えばそうやって切り拓かれる世界を常に望んでいるかも)

君といた日の続き(辻堂ゆめ)

高校生の頃に乙一を読み漁ってた時に感じた読後感を思い出した(乙一は白も黒も大好きだった)
最近はこういう見た目がライトな話を避け気味だったけどやっぱ混じりっ気のないこの感じ いいな

宙ごはん(町田 そのこ)

正直 食べ物の力に頼る系(そんなジャンル分けで良いのかな)の話が得意ではないが これは良かった 食べ物が"ちゃんと"物語に関わってるし それ抜きでも なんというか このクロニクル感(?)が 人生で無常に流れる時と そのありがたさを教えてくれた(うまく言えないけど つまり 時には早く流れて欲しい時 流れて欲しくない時がある だけど結局は流れる そして それはありがたいことだと思ったってこと)

火のないところに煙は(芦沢 央)

単純に読みやすかった 最近ホラーから遠のいていたから 久々に楽しかった しかも僕にとっては新ジャンル(怪談)

木挽町のあだ討ち(永井 紗耶子)

時代小説は ほぼ初 こんなに読みやすいのかとビックリした 単純にもっと時代小説読んでみたいなと
思うきっかけになったし なんというかまるで良い落語を聴いているような爽快感があった 各章の語り手が一人称で物語を綴るスタイルなので まるで寓話のようなシンプルなストーリーなのに 大切なことだけを語っているので なんだろう 引き算の美学というか こういうのを粋って言うのかなと 爽やかな感動を得た

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