【映画評】 熊切和嘉監督『光の音色 THE BACK HORN Film』
紋別を舞台にした『私の男』、函館を舞台にした『海炭市叙景』。両作品で北海道出身者であればこそ可能な北の鮮烈な映像を呈示した熊切和嘉。彼と撮影監督・近藤龍一の生み出す映像には、明治以降の人間模様の堆積した時間、生とは自然との落差でしかないという厳しい地誌、それらが大気の中に溶け込んだ風土としての残酷なほどの美しさであった。そんな稀有な映像美を生み出した熊切和嘉監督が、撮影監督に橋本清明を迎え、オルタナティブロックバンド《THE BACK HORN》とタッグを組んだ映像作品が『光