わたしたちの、少女小説
【少女小説】を知ったのはいつのことだったんだろう。
母の好きな新井素子さんのコバルト文庫の小説を手にしたあの時が最初の入口で、そこから何冊もコバルト文庫を読んだし、雑誌コバルトも読んだし、ビーンズ文庫とも出会った。けれど、わたしはそれを【少女小説】だとわかっていなかったし、わたしの好きな小説たち、という括りの本だった。
企画合同誌『少女文学』第一号~第三号を読みました。
紅玉いづきさんをはじめとする、商業でも活躍されている作家の方が参加されている、少女小説に纏わる合同誌です。
わたしはいづきさんの小説が好きで、どきどきしながらページを開きました。
Boothで、まだお迎えできるそうです。
以下、つらつらとした感想。ネタバレもあります。
『少女文学』第一号
「アミルと不思議な青い指輪」神尾あるみさん
神尾さんの小説を読むのは初めてだったのですが、このお話がとても好きでした。兄の代わりに生き残ってしまった少女と指輪の魔人と、そして3つの願い。こういうのが、わたしはとても好きなんです。特に最後の最後でわたしは心を揺すぶられて、第二、三号の神尾さんの話もとても楽しみにしていました。出されている本が読みたくなりました。
「あなたと彼女たちについて」七木香枝さん
これは、わたしと少女小説であり、わたしでない彼女と少女小説に纏わる文章だとおもいました。そういう風であったし、そうでありたかったなと。わたしは元々、七木さんの小説が好きで(展示会にもお邪魔させていただいているくらい)、この文章と出会えてよかったとおもいました。
『少女文学』第二号
「星の階段」紅玉いづきさん
少しまえ、女性だけで構成される歌劇団の舞台を観て、心奪われました。それ以来、舞台に立つ少女たちをモチーフにしたアニメや漫画、小説を好んで見るようになりました。そこに現れたのが、「星の階段」でした。星に手が届く階段を上る少女と、上れない少女。読んでいてとても苦しいくらい、好きな小説でした。
『少女文学』第三号
「黄金と骨の王国~竜の巣穴と骨の王宮の章~」栗原ちひろさん
第一号から続くシリーズの短編で、続きが気になっている小説です。王女であるハイリも好きだし、剣闘士のエンも好きです。第二号の表紙のイラストがこの話のキャラなのですが、うつくしい…!続きを書き下ろしたいとあとがきで書かれていたので、楽しみに待ちたいです。
「灰と雪、踊れ、踊れ、踊れ!」野梨原花南さん
リシとブローキン。ふたつの国の王子たち。そして、彼女たち。とても野梨原さんの小説で、五年後の話が気になります。。読みたいです。表紙のリシくんがとてもかわいらしくて、この様子で拷問が得意というのがたいへんえげつないなとおもいました。
わたしは大人になるまで、『花物語』も知らなかったし、中原淳一さんの画集ももっと早く買っていたら良かったと今なら思う。もう、少女と呼ばれる年齢ではないけれど、わたしはずっと、刹那の瞬きのような彼女たちの輝きにあこがれて小説を読み、書くんだとおもいました。
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