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6年筋トレに励んだコンサル出身者がスタートアップで活かせた筋肉と新しい挑戦について

はじめまして、産直EC「食べチョク」を運営するビビッドガーデンという会社で、事業戦略やサービス開発、コーポレートやCSなど担当している山下といいます。

前職はマッキンゼーというコンサルティングファームで、転職してきて6ヶ月毎日が楽しいカオスであっという間でした。
前職のコンサルからスタートアップへの転職は個人としても大きなターニングポイントのような気がするので、
このnoteでは、
・コンサルから来て、何がおもしろいのか?
・前職の経験がいきることは?新しいチャレンジは?

・結局転職して良かったの?
といった観点を振り返りとして書いてみようかなと思います。

コンサルや事業会社で経験を積んで”スタートアップ”というキャリアを選択肢に入れている方や、そういう方の採用を考えているスタートアップの方に、検討の過程でぼんやりとご参考になれば幸いです。

簡単な自己紹介

新卒でマッキンゼーに入社し、約9年在籍。(その間に語学留学、事業会社への出向、長期休みなど会社を離れている期間もあり、それを抜くとマッキンゼーで真面目に働いていたのは6年)。コンサルティングという仕事もマッキンゼーという組織も大好きでしたが、事業を創ることや事業を通じた社会課題の解決に挑戦したいという想いが募り転職を決めました。

ものづくりの作り手がビジネスとして成功し、消費者の生活が少し鮮やかになるような事業を作り上げられたら、という想いでビビッドガーデンに入社を決めています。
(転職背景はこちら)

総じて:転職して良かった

とりあえず雑に振り返ると転職して良かった!と純粋に思います
なぜ良かったのかと考えると
これまでの経験で身に付いていた「ベースの筋肉」が活かせることが分かった”
×
前職とはまた違う「新しい挑戦・新しいカオス」があり、それを通じた気づきや自身の変化がある”、
という掛け算が面白さを生み出し、転職して良かったと思える要因なのだろうなと。特に思うのが下記3点。

①”視点の行き来”の楽しさ
 ー中長期戦略から明日の出社どうする、まで
②いい意味での”終わりの見えなさ”の楽しさ
 ー今やっていることはもしかしたら半年後?5年後?に返ってくるものかもしれない(し、返ってこないかもしれない)
③発信することの重要さ(楽しさに昇華途中)

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①②③のポイント毎に「ベースの経験が活きたこと」と「新しい挑戦」を振り返ります。

①”視点の行き来”の楽しさ

ー中長期戦略から明日の出社どうする、まで

・食べチョクの事業成長レバーはなにか?ひとつ絞るとしたらどのKPIがいちばん重要?
・このサービスの根本的な価値の源泉はどこ?何が差別化要因になっていく?
・1ヶ月先の夏のお中元シーズンに向けて、法人用のお中元カタログ作成どうする?
・コロナの感染者が多くなってきているが、オフィスへの出社方針はどうする?現状の出社頻度から変更すべきか?
・ビビッドガーデンの組織としての強みは?どういう体制にしていくのが良いか?
・3年後の事業展開の構想とは?

これは入社して1か月目の私の”考えることリスト”でした。課題の種類も、時間軸もばらばら。

コンサルだと、クライアントの経営課題のひとつをプロジェクトとして解いていくので、課題は大きく1種類、時間軸も課題によって定まっている。一方、人数の少ないスタートアップでは1人でいくつもの課題を持って進めないと回らないし、その時間軸は縦横無尽です。

ベースの経験が活きた(と思っている)こと
・全体を俯瞰する思考
様々な粒度の課題を抱えていても、「生産者さん・お客様にとって/食べチョクにとって/何が大事か」「俯瞰してみると、何が重要課題で、目の前のこの問題はどういう位置づけか」という全体感を維持できるのは、膨大なTo Doをこなすモードに陥らないようにする上で役立っていることのひとつです。

・たたき上げのハードスキル
”視点の行き来”と表現していますが、当然考えるだけでなく手を動かす作業もセット。新卒1年目に鍛えられて身に付いた分析スキル、整理スキル、作業効率化への執念などは時を超えてかなり役立ちました。

転職直後2か月は資金調達を担当していて、新卒1年目と同じくらいかそれ以上にExcelをごりごり回す日々で、あー新卒1年目で先輩に怒られながら食らいついておいて本当によかった・・・と心底思いました

新しい挑戦

・最初は決めるのに時間がかかる
スピーディーに進めていくために、検討材料が整っていない状態でも決めていかないといけないことが多分にある。が、「判断材料をしっかり取ってきて整理して、メリットデメリットを考えて決める」星から来た私にとっては、「どう決めたらいいのか・・・」と迷うことが多かったです。

「決めの問題」がこんなに難しいとは!
と最初に思ったのは実は冒頭に挙げた「コロナの感染者が多くなってきているが、オフィスへの出社方針はどうする?現状の出社頻度から変更すべきか?」問題だったりします。

・タスクが漏れまくる
前職では重要タスクを漏らすことがほぼなくて、なんでこんなに漏れるんだ?! と頭を抱えたのが転職して4か月目

前職では重要課題1つを取り上げ、小課題に分解してチームで分担して解いていきます。マネージャーはトップダウンで常に大事な課題に紐づけてTo Do をきっているので漏れようがない状況でした。(あと、会社への提出物など自分が大事だと思っていないことは、秘書さんがめちゃくちゃリマインドしてくれる

一方で、今は課題の種類自体がバラエティに富んでいるので、重要な1-2個に紐づけることがそもそも出来ない。課題に紐づかないタスクもある。そう気づいてからは、自力では難しいということでタスク管理ツールTrelloを導入してご機嫌にタスク管理をしています。
(こんなイメージ)
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”視点の行き来”を楽しむー新しい挑戦を感じながら、コンサルをやってたからこその全体感を持ちつつフロントに立っているという感覚は半年経っても面白いと感じています。

いい意味での”終わりの見えなさ”の楽しさ

ー今やっていることはもしかしたら半年後?5年後?に返ってくるものかもしれない(し、返ってこないかもしれない)

どんなプロジェクトもいつかは終わる

前職の仲間内の笑い話ですが、昔オフィスの若手が集まるスペースにこんなはり紙が貼ってありました。「どれだけハードな毎日で寝れていなくても、プロジェクトである限り終わりは絶対くる。(から頑張ろう)」、というもの。

コンサルは、重要課題を切り出して期間内に成果を出すプロジェクト型の働き方。それは終わりが見える安心もありつつ、最終成果が出るまでいられないもどかしさもあります。

転職して、最終の結果までにコミットできる実業は前職にはないおもしろさと怖さがあるなと実感しています。
小さい意思決定の積み重ねが実は重要だった小さな違和感が後から効いてきてもっと早くに向き合えば良かった、など悲喜こもごもです。

ベースの経験が活きた(と思っている)こと
課題解決思考やプロジェクトマネジメントスキル
終わりが見えにくい・影響範囲が分かりづらいということはあるものの、仮でもどこかにゴール設定をして答えが出るように動くことは非常に大事

解くべき課題を特定し論点をクリアにしながら意思決定の材料を整えて物事を進めていく課題解決のHOWや、それをいかにチームや社外のプレイヤーも巻き込んで実現していくプロジェクトマネジメントの経験は、トピックが変わっても汎用的に活きるものでした。

・「なんとかなる」というマインドセット
これはとてもざくっとしているのですが、これまで難しい・辛い局面を乗り越えてきた感覚は身体に残っていて、「きっとなんとかできるはず」という謎なポジティブ姿勢でいられるので、環境が変わり新しいことだらけでも大してストレスを感じず適応できたかなと。Can Do Mindset(「できるはず。どうやったらできるかを考える」)が叩き込まれているのも影響しているのかもしれません。

新しい挑戦
・知見が社内にはない 
終わりが見えない、どう影響するか見えにくい難しい状況でも事業成長にベストな意思決定をしようと思うと知見がとても重要
マッキンゼーでは世界中に各領域のエキスパートが大勢いて、すぐにアクセスできます。組織として持っている知見を適切に自分のプロジェクトに持ちこんで、自チームだけで考えるよりも質の高い検討ができるようにすることもマネージャーとしての仕事でした。

一方、成長期のスタートアップでは直面する課題が初めてで社内全員わからないことも多い。幸運なのは他のスタートアップや、VC・株主やエージェントだっだり、社外にいる様々な方々が知見を豊富に持っているということ。スタートアップ界のエコシステムの中で積極的に社外に知見やアドバイスを求めていく必要があるし、自分も何か知見を提供できる存在でいないといけないなと強く感じます。

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③オープンに発信することの重要さ(楽しさに昇華途中)

ほとんどSNSで発信しない人間だったので、スタートアップに来てからSNSでの発信のインパクトの大きさ、周囲の発信の慣れている度合いに驚きました。前職では機密情報を多く取り扱いSNS厳禁だったので、”事業・会社のための仕事としての発信”という世界観は実はいちばんギャップが大きかったかもしれません。

代表の秋元がお膳立てをしてくれて、ツイッターを久しぶりにやり始めたのが3か月前。まだ慣れていないのが正直なところです。

SNSに限らず、Slackのオープンチャネルでのコミュニケーションも初めは少し戸惑いを感じていました。「その情報が本当に必要なひとにだけ情報を届けることが全体のパフォーマンスを上げる」という考え方(前職)から、「誰もが起きていることにアクセスできる状態が全体のパフォーマンスを上げる」という環境に移ったことは新鮮で、また違う組織マネジメントを経験できる面白さを感じます。

前職の経験が活きたこと、はあんまりない
しいていうなら、文章は書き慣れている、くらい。それも発信用の文章ではないので学び中です。

新しい挑戦
・単純に全然分からない
Twitterはほぼ10年ぶりだったのでリツイートと引用リツイートの違いから教わる始末。
このnoteも、目次どうつけるんだ?リンクをそのまま貼るのではなくテキストに紐づけるには?とか、Tweetのリンクそのまま貼り付けても他の人の記事みたいに画像表示されないのなんで?というところからググってなんとか体をなしてきています。

・素敵な偶然が生まれるところに貢献したい
まだ不慣れで苦手感満載なのですが、
「この生産者さんのこの商品めちゃくちゃ美味しい!」
「この農家さんのこだわりのストーリー見ると胸が熱くなる」
「このチームメンバー最高!」
など、生産者さんやチームの素敵なところを発信できることはとても幸せだと思っています。
(前職でも素敵な出来事がたくさんありましたが発信はできなかった)

例えばコロナや災害の影響を受けて困っている生産者さんの情報を発信することで、売り先がなくなって大量に余ってしまった在庫が1日で売れた、ということが起きていて、SNSの力はすごいなと改めて感じています。

(食べチョクでは【#農家漁師からのSOS】として取り上げさせてもらっています)


2021年に向けて

コンサル→スタートアップという視点で振り返りをしてきましたが、その枠に入らないこととして、生産者さんやユーザーさんと直接相対しながら事業をしていく純粋なやりがい・楽しさを感じた半年でもありました。

この半年を終えて出来たこともあるが、出来なかったことの方が多く頭に浮かびます。ベースの筋肉を使い倒しながら、新しい挑戦の中での多くの気づきを糧にして、事業と組織を更に飛躍させる1年にしたい。そう思ったら、2021年が楽しみになってきました。

この激動の世の中において私個人の転職は取るに足らないものですが、食べチョクというサービスを通じて少しでも価値を生み出し還元できるよう励んでいければと。

決意表明みたいになってしまいましたが、最後まで読んで頂いた方ありがとうございました!




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