見出し画像

上昇志向

週末は息子の学校の文化祭があった。
息子は自称陽キャでイベントに張り切るタイプである。
彼が去年クラブ活動で作成した本棚を学校に搬入したりして、私もつられて何となく浮足立ってバタバタしていた。
忘れ物が多い息子。落ちがあっては困るだろうと変に気を回してしまう私。しかし、私の方が当日着用する筈のクラスTシャツを洗濯して何処かにやってしまったり、学校に送っていった道で自動車のキーを失くしたと思い、学校に連絡してしまうなどポカをして、でも息子は怒りながら許してくれたり、昨日はお詫びに焼肉をおごったりして、息子とメニュー表を凝視しながら食事を頼んで「旨いね」と食べたり、子供を持って本当に幸せな時間を過ごさせてもらっている。

世間は梅雨入りの季節である。
私も息子も強めのくせっ毛である。こういう所はもれなく親子で似てしまう。少し伸びてくるとお互い収拾のつかない事態となってしまう。
しかし、何を思ったか最近私は髪の毛を伸ばし始めた。世の中に対する挑戦。しかしながら、まだ髪を完全に結わうには長さが足りない。湿気でますます膨張する髪。どうしようもない。
いつもならここで耐え切れずベリーショートなどのヘアスタイルにしてしまうのだが、今回は違う。ぼさぼさの頭のまま、朝登校の息子を迎えにいく。
息子はそんな私を見て「切れ」と言う。半月前、私が息子に言った言葉を、彼はリフレインしてくる。「お母さんは、髪の毛を伸ばしても上に上がっていくだけだよ」。
またしても名言。私も息子も耐苦の後の結果は「風神雷神図屛風」の両神のような髪型なのだろう。
何だか面白くなってしまった。
今日、改めて鏡を見て、自分のひっつめ髪を少し緩く結わえることに決めた。