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海南鶏飯

海南鶏飯日和だ、絶対にそうだ。
大学へ向かうバスの中で、食べたこともない料理のことを思い、そして食べるなら絶対に、初夏の風が心地よい今日だと思った。

平松洋子さんのフードエッセイに出てきた西荻窪の海南鶏飯
(ハイナンチーファンもしくはハイナンチキンライス)。
アジアの、湿度を帯びた空気感までもが伝わる官能的な彼女の文章を読んで、私は今すぐにこの異国の味に触れたい、と、夢にも出てくる程にそう思っていた
バスの中で徐にスマートフォンを取り出す。🔍福岡、海南鶏飯。いくつかのブログにヒットした。今日の昼食は、学食から木蘭茶房マグノリアンカフェへと変更された。

路地裏の裏の裏、の裏くらいにある、赤い扉のカフェには、杏仁のように甘い匂いのする、生ぬるい風が吹き抜けていた。

「イラッシャイ、1人?勇気、イッタデショ。」あまり流暢には聞こえない、だけど暖かく1人の女子大生を受け入れてくれたおじさんは、うちの海南鶏飯は、世間一般的に人気なシンガポール風のものではなくて、中国海南島の本来のレシピに近いものだよと教えてくれた。

どれもシンプルで潔いメニューがいい

すぐに注文。10分も待たずして運ばれた海南鶏飯とパクチーのスープは、甘いような、酸味のあるような、パクチーのような、パクチーのような、香りだった。(パクチー減らしてもらえばよかったかな、、、、)

平たい丼に、鶏がらスープでふっくら炊かれたご飯。小松菜に鶏そぼろ、そして刻んだ白ネギがこれでもかとかけられた鶏肉。
小松菜とごはん、鶏肉とそぼろ、スープとご飯、パクチーも含め、どの組み合わせもうなるほど美味しかった。そして、こんなにきめの細かいしっとりとした鶏肉を私は食べたことがなかった。断面でいえば、豆腐か、、、豆腐しか出てこない。断面でいえば豆腐。

思わずニヤつく私を、おじさんは無表情のまま眺めていた。緊張する。カウンターの逆に座ればよかった。。。。。
中国語のポップソング、嗅いだことのない異国の香り、見たことのないお酒、割るとやばそうな大きなツボ。そのすべてが私を確実に福岡ではないどこか、海南島へ連れ出してくれた。


お会計。
どうでした?そう聞かれた私は、考える間もなく美味しかったです!!!!!馬鹿デカ声で叫んでしまった。勢いで聞く。「あちらから福岡に来られてお店されてるんですか?」

「あ、地元九州で、日本人です」!!!!!!!!!!!!!!!!!
对不起duìbuqǐ!!!おじさん!!!!!!とってもハオチーでした。


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