ピッコマノベルズ大賞シーズン4抜けました。そして、その間に色々あったこと。

というわけで、3年ぐらい商業的に死んでた泡沫作家である私の『悪の女幹部、スーパーヒーローと結婚する。』という作品がピッコマ様の賞一次抜けを果たし、連載権を頂きました。
しかしまあ、3年強ですよ3年強。ほとんど4年。こいつ遊んでなんも作ってなかったなw とか笑われて後ろ指刺されてもまあ文句言えないぐらいにはなんも表に出てません。自嘲が過ぎるかもしれませんが、消えかけの才能であった私がどのように落ち込んで色々やってここまで来たのか、愚痴にならない程度に面白おかしく書ければなと思います。

まず、何やってたんだ?

私、兼業作家です。つまり作品作らなくても食っては行けます。
なのでサボりまくっていた……わけではなく、単純に提出したものが上手くいかず掲載に繋がらず悶々とした日々を過ごしていました。
そんな時、嫁に声を掛けられたのです。

『宝塚歌劇団のチケットが当たった』

何の話やねん、と思った貴方。しかしこれはとても大事な話なんです。(強調)

さて。
今、ちょっと世間をにぎわしているそれです。
しかし当時はコロナ禍当初、そういう話とは切り離してお読みください。
話を戻します。

『いくいく、超行く』

元々演劇好きの私、二つ返事で返答。しかし宝塚未経験。なにそれ、超楽しそう。
嫁、はいからさんが通る、の貸切公演に応募していたのです。
当時、宝塚・花組のことなどミリ知らな私。スターの名前一つ知らずに無謀にも観劇に行きます。

~観劇後~

そこには夫婦そろって目をキラキラさせて、女性だけの劇団で繰り広げられた多幸感の嵐について夕飯を取りつつ語り合っている姿が。

この時私は、自分の中の心の乙女に気づきました。

気付けば花組トップスター柚香光に、少女漫画の主人公の恋する気持ちを教えられていたのです。(こらそこ、何言ってんだこいつ? とか思わない。)

そう、私は自身の創作の中に『女性的なもの』という範囲があることに気付きました。(前置き)

では、それを創作に活かそう! 短絡的です。しかし、触れてしまったら引き返せぬ沼に片足を突っ込んだ私は宝塚を接種しつつ、その方向を模索します。

結果

上手くいませんでした。(おい

それもそのはず、男性青年誌にそういうネームを提出してしまっていたのです。何たるミステイク。
今考えてもなかなかに愚か者かもしれません。

思えば色々歴代担当に言われた言葉が頭を過ります。
最初に賞を貰ったS社担当氏にも『青年向け描けば?』とか他の担当の方にも『オリジナルはある』とは言われても『合ってない』と思われていた節があります。
雑誌媒体最後の担当さんにしても青年誌ではあっても、読者指向に合っていたとは言い難かったかもしれません。

私はそこを離れました。その雑誌で最後に読み切りを出してからここまで3年弱。
そして私は暫く腐ります。
今まで伝手のあった出版社に居場所はない。本気で筆を置くかを一瞬悩んで、すぐにそれを放棄しました。

『まだ、やりたいことがある』

そして一つの転換をしました。
縦読み漫画の世界です。
ここなら、沢山女性向けがあるじゃないか! 行ける行ける! と当時の私、再婚承認を読みながら謎の確信を持っていました。

嫁にも勧められ、縦読み関連の募集に応募を始めました。
そして、それと並行して、『ピッコマノベルズ大賞』の存在を知ります。
ようやくスタートラインに立ったのが今年の春です。

縦読み関連も最初は上手く行きません。
行かないからこそ、大量に作り、大量に応募しました。
それに並行して私はこの賞の作品を書いてました。
ウェブトゥーン向きに自分の好きな要素を詰め込んで。なんなら劇化してもらえないかな~って妄想しながら。

そして、我武者羅にやった今、手元にこの賞の一次を抜けた結果と、もう一つの小さなつぼみがあります。
この二つを大事に、大事に育ててよりよいものになるよう作っていけたらなと思います。

そう、私はデビュー以来の納得いく結果を残した、と思っています。
いくつか作品は残したけど、心残りは多く、中途半端で燻っていた憑き物がすとん、と落ちたのです。

私は実は『女性的な部分』が他の男性作家より多いタイプだったのかもしれません。そりゃあ、少年向けや青年向けでそりが合わないわけです。それをオリジナルだなんて評価されていただけなのかもしれません。

私、ようやくこの歳で『作家性』を手に入れた(気づいた?)のです。

これが、何より滅茶苦茶嬉しい。

結論を言います。

『ありがとう! 宝塚!』

いや、まじで。
世間で色々言われていますが、今の自分の核を形作って貰ったことは間違いなく、より深く物語を考察させてくれるようになったのも演劇の世界のおかげです。管理体制とは別に、世間的な問題とは別に、私はそのことに深く感謝しています。
すぐに結果は出ずとも、かじりついて作ってきて本当によかった。

柚香光様、和希そら様、月城かなと様、そして多くの演者様。私に多幸感という種を与えて下さりありがとうございました。



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