私の唇からほくろが消えるまで
自分の唇がコンプレックスだった。
腫れぼったい形だから、口角が下がって怒っているみたいに見えるから、だけではない。
私の下唇には、昔から大きめのほくろがあったからだ。
いつからあったか分からない。気がついたらそこにいた。一番古い記憶で、小学生の時。お隣のお家の小田くんに「こいつ、口にチョコチップ付いてる!」とみんなの前ででっかい声で叫ばれた。私がこのほくろと長い長い人生を共に歩むことになる、一番最初の記憶だ。
口にチョコチップなんて、可愛いもんじゃないか。今なら無い色気