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海の見える旅館で2泊3日の貸切結婚式を挙げた話④

いよいよ旅館「桐のかほり 咲楽」での結婚式が始まる。

両家の家族が無事に到着し、Tさんの司会の元、まずは簡単な顔合わせから私たちの結婚式が始まる。

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「初めまして、でいいのかな」

「ようやくお会いできましたね」

1月に婚約し、3月に入籍した私たち夫婦と両家の家族は、この結婚式を迎えるまで全員揃って直接会ったことがない。

コロナ禍ということもあり、いわゆる両家顔合わせも試行錯誤しながらオンラインで行った。

だからこそこの時間は、やっとこの時を迎えることが出来たという感慨で胸がいっぱいになったのを覚えている。

Tさんのアドバイスで、旅館の各所には両家から持ち寄ったアルバムを飾ってもらった。

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顔合わせの後は各々がそのアルバムを部屋に持ち帰り、自分の家族の思い出を振り返ったり、相手の家族の思い出を知る時間を作ることができた。

旅館全体が丸ごと家族の思い出に包まれるようで、とてもいい機会だったなと思う。

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初日の夜は各個室ごとで夕食をとり、食後は私も夫もそれぞれの両親の部屋で時間を過ごした。


結婚式前夜。

改まった挨拶をするわけでもなかったけれど、ただのんびりと、家族水入らずの時間を過ごすというのも随分久しぶりに思えて、くすぐったいような幸せな時間だった。

神前挙式当日の朝。

天気予報が覆ることはなく、朝から雨が降っていたけれど、心は不思議と穏やかだった。

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目を閉じて、目を開ける。

ヘアメイクOさんとのにぎやかなお喋りに夢中になっているうちに、鏡の中の自分がどんどん素敵になっていく。

支度を終えて咲楽を出発する時、雨はまだ確かに降っていた。

ところが、私たち夫婦を乗せた車が目的の「白濱神社」に近づくごとに、目に見えて雨脚が弱まっていく。

私たちはもちろんのこと、天候回復のためなら自作の「晴れの舞」の披露も辞さないと言ってくれていたヘアメイクOさんの喜びぶりは大変なもので、「降ってないです!地面乾いてます!よっしゃあ!」と車内ではしゃぐ姿を思い出すと今も笑顔が込み上げてくる。

雨が上がってくれたおかげで、新緑の美しい境内で素敵な写真を残してもらうことが出来て、本当に嬉しかった。

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そして挙式。

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静謐で厳かな空気の中、大切な人達にしっかりと見守られて、私たち二人は「家族」になった。


出逢いから2年。
楽しいことばかりではなかった。

適応障害の診断を受け休職を余儀なくされた時、電車も人混みも一切耐えられなくなり、ちょっとしたことでポロポロと涙を流す夫の傍らで「本当にこの人を支えられるだろうか」と悩んだこともある。

そんな日々を思い出しながら、「誓詞奏上」で神様への誓いの言葉を朗々と読み上げる夫の頼もしさに、胸がいっぱいになった。

あの時、この人の手を離さなくてよかった。

私はこの人と、この場所で、この日を迎えられて本当によかった。


▼海の見える旅館で貸し切り結婚式を挙げた話⑤へ続く


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