小さくて大きな幸せ④
私にとって左耳にある軟骨のピアスは、お守りだった。
遠い昔、そりゃぁもう大変ビビりながらあけた。
痛みもあったし、膿んだり、硬くなったりもしたが、大切にしてきた。
それがあるだけで、あるがままの自分でいられる気がした。
いい大人になり、さすがに軟骨は…と外したのが4年前。
もう穴は塞がっていた。
先日、片付けをしていると昔の軟骨のピアスが出てきた。
穴、どこらへんだったかな?と思い、ピアスを通す。
塞がっているので入り口はあるのだが、出口がなかった。
何度も何度も通す。
すると、プチッと音がして、貫通した。
軟骨にピアスが通ると、耳は
ピアス、君をもう離したくない!
と言っていた。
ピアスもピアスで
もう左軟骨くんから離れられないの!
と言っていた。
左耳で恋愛劇が繰り広げられていた。
それ以来、軟骨のピアスは左耳に刺さったままだ。
まるで、
ここが私だ!
と言っているようだった。
鏡に彼らが映るたび、私はなんか幸せになった。
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