“映像“を通じて”地域“を知る、”地域“とつながる
先日、特定非営利活動法人ちいき未来の森さんに取材をさせていただいた。森さんは映像ワークショップを中心に、藤沢・江の島で地域の映像を作るいわゆる“資源の映像化”や株式会社コンテンツリンクの創立・運営、寺子屋事業などを行っている。森さんは映画産業に興味があり、映像制作を楽しむうちに地域活性化につながっていた、ということだった。
――森さんにとって“映像”とは
ちいき未来さんは児童養護施設・不登校の子どもが映像にかかわる機会を提供している。「“映像“はマイノリティーのためにある」「”映像“によって社会に訴えることができるのではないだろうか」と森さんはおっしゃった。“映像“には人々を引きこむことができる一方で、真実を伝えることが難しい一面がある。皆さんもテレビ番組をみていて違和感を覚えたことがあるのではないだろうか。
―― “映像”がもつのは引きこむ力だけではない
1分の“映像“でワード1,800字・ウェブ3,000ページ分相当の情報を伝える。地域を知らせる手段として“映像“は最適であり、地域のために活動する人に焦点を当てることで”資源の映像化”ができる。また、映像制作を通して大人と子どもが上下関係なくつながる。同じ時間を過ごし、悩みを打ち明ける高校生がいるほど親密な関係ができる。
――森さんが今後取り組みたい・注目すること
森さんは、児童養護施設の子どもたち・小学生のパワーポイントを用いたプレゼンテーション能力の向上を図りたいとおっしゃった。
このほか、地域活性化×IT(AR・VR)に注目しているそうだ。JR大口駅にある大神商店会では立体認識のしくみを用いた、QRコードをかざすと”映像”が流れるパンフレットを配布しており、インバウンド需要が期待される。
――なぜ横浜市で地域活性化に取り組むのか
私はこのインタビューをする前に「なぜ発展が進む都市である横浜市で地域活性化に取り組んでいるのだろうか」と思った。地域活性化・地域創生といえば過疎地・地方都市の振興という印象が強い。では、なぜ森さんは横浜市で地域活性化を行なっているのだろうか。
法人が横浜市にあること以外に、過疎地には子どもがいないため、子どもが地域に関わる機会が都市部に比べて少ないということであった。森さんは、子ども(小学生)が”地域”を知り、地域住民・行政と触れ合うのが大切だという。互いに顔を知ることが重要で、そのためにもっと行政と仲を深めたいとおっしゃった。
――森さんからみた横浜市の課題
現状の横浜市の課題として、保健室登校・不登校支援の強化・高齢者とのコミュニケーションが挙げられた。行政の手がまわらない保健室登校・不登校を支援するためにNPOが存在する。
高齢化が進むなかで、森さんは「シニアアーカイブス」に着目する。シニアアーカイブスとは、高齢者に今までの経験・過去を話してもらうことである。アーカイブとして残すことで、何らかの地域のつながりが生まれるのではないかとおっしゃった。私も人生の先輩から得られることはたくさんあると思う。幼い頃、祖父と祖母から昔遊びや生活の知恵を教わった。目に見えない経験・過去から世代を超えた交流が実現するのではないだろうか。それこそが地域のつながりであり、人と人とのつながりである。
――最後に
大学の授業で、地域活性化をするために、住民同士の信頼関係・社会的協力・積極的な市民活動であるソーシャル・キャピタルが不可欠であることを学んだ。住民と行政の協働、互いの顔が見える地域になることで、ソーシャル・キャピタルは築かれる。今回の森さんのインタビューを通じて、“映像”は住民と住民、住民と行政、そして住民と地域をつなぐ役割を果たしているのだと考えた。
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