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安間さんとV6には、まだまだ追いつけないけれど

今年度から、職場を変わった。ここまで流れに身を任せるようにして生きていた自分が、生まれて初めて自分の意思でリスクをとった。きっと、このリスクをとらなくても、それなりに悪くない人生だったと思う。

元々いた職場は、とても恵まれた環境だった。自分の好きなことをできて、一緒に研究を進めるメンバーもこの上なく素晴らしかった。それだけでなく、職場を変えるとなるとパートナーと別居になるし、実家からも遠くなる。友達とも会いづらくなる。そこにとどまる方が、どれだけ心地よかったか、と今でもちょっと寂しくなるくらい。

それでも元の職場を出ようと思ったのは、自分の成長曲線の限界が見えた気がしてしまったから。そして、この決断ができたのは、ちょうど同じ時期に違うステージへ踏み出した、1人と1組の影響が大きい。

安間志織さんの海外挑戦

国内バスケットボール女子の最高峰であるWリーグ トヨタ自動車アンテロープスを2020-2021シーズンに初優勝に導きプレーオフMVPを受賞したポイントガード。その安間さんが、ドイツのチームと契約したと発表された。試合を見る限りではバスケットのレベルは日本の方が高いように思えたし、練習やトレーニングの環境もトヨタに敵うわけがないし、お給料も相当下がったはず。それでも安間さんは「海外でプレーしてみたい。ヨーロッパでプレーを色んな人に見てもらって、ステップアップしたい」と海外挑戦を決めた。

聞けば聞くほど、その決断ができることが信じられなかったし、同時にその姿が眩しかった。こんなにも前向きにリスクをとって、新しい環境に飛び込める人がいるのか、と。このニュースが流れたのが2021/8/26。この5日後、私は新しい職場を探し始めた。

V6の解散

2021年3月、20年以上にわたって応援してきたアイドルグループが、解散を発表した。26年間続けてきたグループ活動。活動を減らしながら、そのまま続ける選択肢だってあっただろう。活動を減らしたって、ちょっとやそっとでは離れないファンがたくさんいる。何年かに一度コンサートをすれば、代々木第一体育館がいっぱいになる。なにも解散しなくたって良いのではないか?解散を発表してから2021/11/1の解散の日まで半年ちょっと、私はずっとそう思っていた。

しかしV6は解散し、次のステージへ進んだ。ファンの悲しみはひとしおだったが、本人たちはいたって前向きだった。解散の夜、26年の思い出よりも今後の希望を語るメンバーを見て、自分も次のステージに進む覚悟を決めた。

それから半年経った。

安間さんは、移籍先のチームでリーグ優勝を果たし、プレーオフMVPに輝いた。言葉すら通じない環境で、チームメイトを鼓舞しながらエースの活躍を見せる安間選手は、画面越しでも本当にかっこよかった。そしてこのオフシーズン、イタリアリーグの強豪チームと、次のシーズンの契約を結んだ。大幅なステップアップだ。ヨーロッパへ活躍の場を移したからこその契約であり、リスクを取らなければ有り得なかったキャリアだ。

V6のメンバーは、それぞれの活動をスタートした。事務所を離れた森田さんは、すぐにショートムービーを制作してYouTubeで配信した。舞台やCMでも遺憾なく実力を発揮し、役者として生きていく意志をヒシヒシと感じた。三宅さんはバラエティで活躍しつつ、SNSでファンの心を掴んで離さない。岡田さんは写真展を開催した。私の愛してやまない井ノ原さん、長野さん、坂本さんは、20th centuryとして活動している。これまであまり陽の当たらなかったおじさんグループに、CM、舞台、ドラマ、次々とお仕事が舞い込み、体調が心配になるほど多忙に過ごしていそうだ。みんな、解散前と変わらぬ自然体で、でもどこか少し違った色味で輝いている。6人でいた時に抑えていたであろう独自の色が、色濃く染み出してきている。

一方、私は。

配偶者と住まいを別れ、初めて住む地区へ移住した。新しい職場は戸惑うことも多く、これまでいかに恵まれていたかを実感することも多々ある。しかし同時に、これまでの職場では得られなかった出会いや経験も着実に増えている。

安間さんやV6のような輝きには、まだ程遠い。それぞれの信じる道を突き進む人たちを必死で追いかけているつもりが、背中はどんどん遠くなっているようにも感じる。でも数年後には必ず、ここに来てよかったと胸を張って言いたいし、成長していたい。そんな未来を描きながら、諦めずに追いすがりたいと思う。

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