ナンバー入り vol.4
入店して2ヶ月経った頃、お客さんは30人ぐらいに増えていた。
次第に
あたしの席いつもどってくるの?
とか
今日全然ついてなくない?
とか言われるようになってた。
忙しい事はいいことだとわかってる。けどあんたに会いに来てるのに席に全然帰ってこなかったらやっぱつまらない。
いつしかお客さんは不満だらけだった。
確かに嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
だから気持ちを素直に伝えた。
入店初日に無茶振りしてきた先輩にどーしても勝ちたいんだっ!勝ちたいから俺はがむしゃらに頑張ってるしお客さんが応援してくれるから頑張れる!辛い思いをさせたくないからこの状況が嫌なら店にこなくていいよ。わがままでごめん。
お客さんは涙した。
気持ちが伝わったのかそこからシャンパンの嵐!
無言の応援だった。
だから俺は絶対に勝たないといけない、じゃないと顔向けできないと心の中で何回も言い続けた。
そして締め日。
お客さんはいつも以上に来てくれた。
席は常に5席〜6席はかぶってた。
でもお客さんは文句1つ言わず応援してくれた。
運命のナンバー発表…
俺がムカついてた先輩はナンバー5。
ランキングは5位から発表だったからもしかしたら負けてるのかもとすごい不安になった。
次ー!ナンバー4発表するぞー!
ペガサス!
ん?
お前だよ!おめでとう!
代表からそう声をかけられた。
目には涙を浮かべ応援してくれてたお客さん全ての人にお礼の電話をした。
あんたが頑張った証拠!おめでとう!
ほとんどのお客さんも泣いてたな。
自分のことのように喜んでくれた。
2ヶ月で売上は3桁を越え周りの対応がすごく変わった。
これが代表の言ってた売上至上主義か。
もちろんその先輩はその日から俺に対し物腰がすごく低くなった。
いい気味だった。
それから俺はその月から一度もその先輩に負ける事はなかった。
つづく
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