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愛育病院での出産体験記

私は芝浦の愛育病院で、麻酔分娩で出産しました。愛育病院での出産体験に関して以下にまとめます。あくまで2022年時点のアラサー初産婦の個人的な体験談としてお読みください。不明点は病院、医師に必ずご確認ください。


陣痛が来る前に心配だったこと

妊娠前から麻酔分娩に関する体験記を色々読んだり、周囲の人に話を聞く中で
「お産の進みが早くて麻酔が間に合わなかった」
「病院に来る前に食事をしてしまい、食後から時間が経っていなかったため麻酔を入れるまで時間がかかってしまった」
というエピソードに怖くなっていたため、順調に麻酔分娩に持ち込むために病院に以下の質問をした。すると以下の回答を助産師からもらった。

・痛みの間隔がどのくらいになったら病院にきたらいいか。
⇒ 10分間隔くらいになったら。なお自宅から病院までは車で3、40分程度
⇒ 事前に専用ダイヤルに連絡して助産師の指示を仰いでから来るように。

・麻酔分娩の開始前の最低2時間は禁食だが、気を付けることはあるか。
⇒ 
車で病院に向かうまでの時間、病院に来てからNSTをしたり準備をする時間を勘案すると家を出るまでには食事を済ませた方がいい
⇒ 麻酔を入れている間は食事ができないので、家にいる時にしっかり食べて来るのがおすすめ
⇒ 麻酔中は水、お茶、スポーツドリンクの摂取はOK

※ スポーツドリンクは果汁入りでもOKなのか、など判断が面倒だったので、自分の出産にあたっては水をたくさん準備することにして、500ミリペットボトルを6本持参した。産後に自力で自販機まで行く元気はなかったので、飲み物は多めに用意しておいてよかった。

ついに陣痛が

出産予定日前日の18時頃、陣痛かも?と感じる腹痛。
予定日1週間前の定期検診では、「子宮口が2センチ開いているけど、初産だし、まだ産まれてくる様子ではないので様子見で良い」と言われていた。そのため、自分の出産日は予定日よりも遅れるだろうと思い込んでいた。なので、この時点でも「前駆陣痛かな?」と様子見。
この時点での痛みは、お腹は痛いものの痛み止めを飲むか迷う生理痛くらいのレベル。痛みの発生間隔を陣痛タイマーアプリで測るものの、10分〜30分以上とバラバラ。このまま本陣痛にならずに治ってしまうかなと思いつつ、念のため仕事中の夫に連絡。
夫は20時頃に帰宅。このときは、痛みがあるものの入院と麻酔に備え食事をしたり、お風呂に入って身体を温めたり髪を洗ったりしていた。

その間、病院に連絡して指示を仰いだ。陣痛の波が来ている最中に通話していれば、こちらの声や痛みの間隔から助産師さんが状況を察知して的確な指示がもらえると思う。この時の電話では、陣痛の波が引いている時に通話してしまったので、こちらの辛さがいまいち助産師さん側に伝わらなかった(笑)。
その反省(?)を生かし、深夜0時過ぎくらい、痛みがきている時に連絡。助産師さんに痛みの程度が伝わり、病院に来るように指示があった。
この段階で陣痛の間隔はすでに10分〜7分ほど。

いざ、病院へ向かう

事前に登録していた日本交通の陣痛タクシーに連絡し、病院へ向かう。
0時過ぎではあったものの、タクシーは5分以内くらいで来てくれてありがたかった。自家用車がある方でも病院に行かなければいけない時に運転できる人がいるとは限らないので、念のために陣痛タクシーに登録しておいた方がいいと思った。タクシーだと夫も運転せずにすむので、車内で私の体をさすったり、声をかけたりしてくれてその点も安心できた。夫婦で車に乗って、となると慣れた道でも2人だけで焦ってしまうかも。
タクシーの乗車中は、陣痛の波が来ている時はかなりキツいが、痛みの波が引いている時は会話できる余裕もあり不思議だった。

病院の夜間受付に到着

午前1時頃に愛育病院に到着。この段階で陣痛の間隔は5分を切るくらいになっていた。
痛みの波がくると椅子に座っていることも難しく、病院のベンチに横になって蹲っていた。夜間受付?の方に車椅子で運んでもらい、院内に案内された。
夫とはここでお別れ。夫には前駆陣痛で帰宅判定になることに備え、入院が確定するまで病院の近くで待っていてもらった。感染症対策の関係で夫の立ち会い出産ができなかったので、寂しいと思いつつも痛みでそれどころではない。

LDRへ

夜間受付からそのままLDRに運ばれた。陣痛のたびに、声が漏れ、タオルを握りしめるほど痛みがキツい。痛みに耐えている間、スタッフの人たちが点滴や各種処置、出産用の衣服への着替えなどを済ませてくれる。着替えの間に陣痛がきて死にかけていた。
その後、助産師さんが内診を行う。子宮口は5センチまで開いており、本陣痛とし入院が確定。この段階で午前1時半くらい。
夫には、入院が確定したため帰宅してOKとLINEで連絡。陣痛の波が来ている時はLINEを打つのも辛いほど痛い。夫はなんとかタクシーを捕まえて帰宅した様子だった。
痛みに耐えつつ水を飲もうとしたら、家から持参した"寝たまま飲めるストロー"がなぜか詰まっており、全く吸えない……!陣痛が来ている間、ペットボトルを直飲みするのは正直無理だったが、それしか方法がなくて泣いた。

NSTの機器を付け、3〜40分くらい測定して赤ちゃんの状態を観察。測定中の陣痛は、波があるものの10分以内をキープ。この時点では麻酔は入っていない。タオルが破けるくらい握りしめて耐える。
NST測定終了後に再度内診が行われた。陣痛きてる時に内診されるのは恐怖。ここで子宮口は7センチ。「麻酔いける!ここまでよく頑張った!」と言われる。嬉しかったけど痛えええええ!!!

麻酔注入

麻酔科の医師が来て硬膜外麻酔の処置へ。麻酔処置中に2、3回(だったかな?)陣痛の波がきて死にかける。助産師さんから呼吸を落ち着いて意識的に行うように言われる。全然落ち着いて呼吸できる痛みではないけど、言われた通りに呼吸を落ち着いて行うことを意識すると、少し楽になった。でも痛ええぇぇぇ……

午前2:30、麻酔を入れて15分経ったくらいで、急に楽になり始める。麻酔導入から30分もしたら、嘘みたいに痛みがなくなった。麻酔導入後に導尿も行なったが、特に何の感覚もなかった。その間におしるしありと言われる。足が少し震えたが、これは麻酔と陣痛のせいとのこと。足が震えるくらいの陣痛とは……麻酔がなかったら……と怖くなった。

麻酔薬が身体の一部分に偏らないようにこまめに寝返りを打つように言われた。
麻酔が効いてからは、陣痛が来ている波を感じたりする程度の痛みはあるも余裕がある。詰まっていたペットボトル用ストローの詰まりを自力で直したり、LINEやTwitterをやる余裕もあった。麻酔があってよかった、「無痛分娩の20万円は今年のベストバイ!」と夫にLINEを送った。

助産師さんと「股に何かオレンジみたいなの挟まってる感じするんですけど、赤ちゃんですか?」「赤ちゃんですね。」などのやりとりをする。麻酔はいい具合で効いてる。眠れはしないが少しうとうとする。

痛みが強くなってきたかも?と思うタイミングでちょうどよく麻酔が自動投与される。自分で麻酔追加ボタンを押したのは1回だけ。助産師さんからは、全く何も感じなくなるといきみのタイミングが分からなくなるので、10段階中2〜3くらい陣痛の感覚が残っていた方がいいと言われる。個人的には「痛みレベル2」は痛み止めを飲まなくても大丈夫な生理痛、くらいの感じだった。ちなみに「痛みの感覚10」は今まで体験したことがないくらいの痛みらしい。陣痛かな?と思った前日18時ごろ程度の痛みは残しておくようにしていた。赤ちゃん(股に挟まったオレンジのような異物感……。)がどんどん下がってきているのを感じる。

麻酔は自動で追加投与されるが、投与されてから効いてくるのに15分くらいかかる。6時頃に自動投与前に痛みが増えてきて、手動追加ボタンを押すか迷っていたら、追加の麻酔を自動投与のタイミングから10分前倒しで入れてもらった。

6:40破水。助産師さんが内診してくれてる時にバッシャア!って音が鳴って勢いよく出た。足までびしゃびしゃ。助産師さんもびっくりする勢い。私もびっくり。こんなに勢いよく出ることはあんまりないらしい。破水のあいだ、助産師さんに「麻酔してないと痛みやばいですよね?」と聞いたら「気がおかしくなるほどの痛み」と言われる。そりゃそうだ。この時も余裕で夫にLINEしていた。破水したため分娩処置の準備を行うと行って助産師さんがいなくなる。

この時に限らず、助産師さんはLDRからちょいちょいいなくなる。その間はLDRに一人。立ち会い出産だったら夫が近くにいてくれるはずなのだが、立ち会い不可なので、本当にひとりぼっちになる。これが普通分娩だったら、あの途方もない痛みをひとりで耐えなきゃいけないのか……痛みを堪える自分の声がひとりぼっちのLDRに響くことを想像すると、とてもじゃないが耐えられる自信がない。麻酔なしの痛みを想像して恐ろしくなった。

いよいよ分娩へ

そうこうしているうちに、痛みはないけれど、いきみたい感じになる。助産師さんにそれを伝え、内診してもらったところ、子宮口10センチ!楽になるならいきんでOK!と言われる。この頃たぶん7時前くらい。
医師や助産師さんがわらわらとLDRに入ってきて準備をはじめ、突然ベッドが超変形して分娩の体制になる。ベッドが変形するとき「トランスフォーマーみたいだな〜」と呑気に考えていた。

この段階で出産1時間前。今痛みどれくらい?と聞かれ、2〜3くらいと伝えると、いい感じ!とのこと。医師、助産師さんが集まってきて、7人くらいに囲まれる。私の股側に3人、いきむ時に頭を支えてくれる人が1人。この人は最高のタイミングで頭を支えてくれる。そのほかにも、周りで色々機器を見たり調整してくれる人が3人で合計7人くらい。医師は健診でも何度かお世話になった方だった。その医師が担当してくれたのは偶然だけれど、知っている医師で安心した。

麻酔を入れたことで陣痛が少し弱まったので、陣痛促進剤を入れる。陣痛促進剤投与の同意書の説明を受け、書類にサインを書く。自分は麻酔が効いているため落ち着いて説明を聞いてサインできたが、麻酔をしていない人は説明を聞ける余裕はないと思う。相変わらず痛みは10段階のうち2〜3くらい。促進剤を入れて急激に痛み出すとかそういったことはなかった。
陣痛の波が来ているのは感じることができるので、波がきてるタイミングでいきむ。助産師さんと医師はいちいちすごい褒めてくれる。「いきむの上手!」「股関節柔らかい!」「いいね!上手い!」など。こんなに褒められることもないので嬉しかったし、やる気がでた。そういえば、バースプランに応援して欲しい的なことを書いた気がする。書いてよかった……。

不織布マスクの上から酸素マスクをつける。酸素マスクつけたら楽になった。不織布マスクを外しても良くない?とは思った。たまに酸素マスクを外して水分補給もしていた。

しばらくいきんだところ赤ちゃんの頭が見えてると言われた。頭を触りたい!と言って触らせてもらう。ブヨブヨしている!頭に毛が生えてる!自分じゃない生き物が確かにそこにいる!よっしゃー!頑張る!とテンションが上がった。医師に、やる気出た!?と聞かれた。やる気、めっちゃ出た!!!助産師さんと医師に励まされながらとにかくいきむ。いい波きたー!と言いながらきいむ。

会陰切開しますか?と医師と助産師さんが話しているのを聞いて「帝王切開!?」と聞き間違えてビビる。会陰切開だよ〜でも切らなくても大丈夫そう!と言われて安堵。わたしの股が助産師さんの手によってありえないくらい広げられている、いや、こじ開けられているのを感じる。そこ、そんなに開けるところではない気がする。

いきみつつ赤ちゃんが心配になる。赤ちゃんは元気ですか?と何回も聞く。全然元気とのこと。呼吸をきちんとして赤ちゃんに酸素を届けることを心がける。アドレナリンが出てる感じがしたけれど、麻酔してるので意外と冷静に話を聞いたりできた。夜間帯の助産師さんと医師の方が立ち会ってくれていたので、交代時間の9時より前には産みたいと内心謎の気遣いをしていた。そしてとにかく褒められながらいきむ。コロナ禍で夫の立ち会いがなく一人なので、スタッフの人がとにかく褒めてくれて、すごく気持ちが楽になった。

一時間ほどいきんでいるうちに「お母さん下見て!」の声が!お!ついに!
赤ちゃんが産道をニュルニュル回りながら通ってくるのを感じる!「すげぇ!神社で『麻酔効いて生まれてくる時の感覚分かりますように』ってお祈りしていてよかった!神様(?)ありがとう!」と思う。自分の股の方を見ていたらついに赤ちゃんが引っ張り出されていた!8時すぎ。う、うまれた!泣いてる!よかった!よっしゃ!
「鮨食べる!」と医師に言ったら「回らない鮨食べよう!」と言われる。もちろん!!!!!!

そのあと、血液とか諸々を拭いた赤ちゃんを抱っこ。ち、小さい!でも股から産むにはデカすぎる!これ本当にさっきまでお腹にいたのか!?すごい!ちょっと涙出てきそうだけどでもすごい!不思議!
助産師さんにスマホを渡し、抱っこしている様子の写真をパシャパシャ撮ってもらった。赤ちゃんが体重計に乗っているところの写真と動画も撮ってもらえた。家宝にしたい。

出産後

割とすぐ赤ちゃんは回収されていった。赤ちゃん自身の体温調節とか各種測定をするためらしい。助産師さんから、元気だから大丈夫と言われた。
後産のためにお腹をもにょもにょ押されたり、止血したり、会陰の傷を縫ったりされる。結局会陰は裂けた。結構裂けてますか?と言ったら「うーん、まぁ、少し、ね……。」と言われる。普通に裂けていたと思われる。縫合はわたしの股で手芸教室でも始まったのか?と思うくらい結構な時間をかけて縫っていた。糸を引っ張ったり縫ったりしている?医師の様子をぼーっと見ていた。丁寧に縫って下さったと思う。麻酔が効いてるので縫合は全く痛くなくて助かった。

産まれた後から、スタッフの人には胎盤を見てみたいですと伝えまくっていた。妊娠中わたしと一緒に頑張ってきた胎盤なので、見る前に捨てられたら困ると思い、周りの人にとにかく言った。役目を終えた胎盤を見ておきたかった。
後処置が全部終わったあと、胎盤とそれにくっついた臍の緒を持ってきて見せてくれた。胎盤は思ったより大きくて平べったかった。ここから赤ちゃんに栄養を供給したりしていたのかと思うと感慨深かった。見てよかった。
そのあとたくさんいた助産師さんたちが、おつかれー!みたいな感じでテキパキ片付けて退出。

交替前の9時前に出産できた……としみじみしていた。日勤の助産師さんがひとり来て、後片付けをしたりしてくれた。この助産師さんに、出産数日前にアマプラで見たシカの出産映像の話をする。鹿は声も出さずに産んですごい、子鹿も生まれてすぐに立ってすごい、という謎の話をする。
紙を手渡され、よかったらQRコードを読み取って出産後のアンケートに回答してくださいと言われる。まだ麻酔が効いているので余裕で回答したが、状況がなんかシュールだなと思った。

産後2時間はLDRで待機。寝てもいいと言われるも、興奮が続いていて眠れない。まだ麻酔が効いているので痛みはない。結局起きてLINEをしたりぼーっとしたり朝ごはん何だろうなお腹すいたななどと考えていたりしていた。2時間経ってお部屋に移動した。

病室に移ってからのことはまた別途書きます。

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