気鋭のライター武田砂鉄さんの新刊「今日拾った言葉たち」
本(今日拾った言葉たち)
本文からの2次引用が多々あるので、著作権法上問題があれば削除をお願いします。)
気鋭のライター、武田砂鉄さんの新刊本です。雑誌「暮らしの手帖」に連載された記事をまとめ直したもので、2016年から今年2022年上半期まで様々なメディアから筆者が拾った色々な言葉が集められています。
雑誌の連載を単行本にすると、特に時事ネタなどではどうしてもタイムラグが生じてしまい、本書もその時々の新聞や雑誌、テレビなどからピックアップしたもので、そうした傾向があるのではと読み始めましたが、集められた言葉たちは、タイムラグ以上の普遍性を持つものでした。
その中でも秀逸だったのが以下の言葉でした。
2017年
・「そうだ国会議員はどうだろう」(愛媛県の主婦 朝日新聞大阪版)
90歳・主婦の投稿欄に掲載された記事で、今後ボケるかもしれない自分に何ができるかと考えた結果、国会議員なんていいかもしれないと思ったそうです。「記憶にございません」で逃げられるし、大事な書類も「見当たりません」で済ませられる。もし書類が発見されても「丁寧に説明します」で時間切れを待って、うやむやにしてしまえばいいから、という強烈な皮肉です。
他にも特に印象に残った言葉をピックアップしてみます。
2016年
・「税収というのは国民から吸い上げたものでありまして」
(安倍晋三首相 参議院予算委員会での発言)
・「女性にとって最も大切なことは、子供を2人以上産むことです。」
(寺井寿男大阪市立茨田北中学校校長 全校集会で)
2018年
・「すべての国は「これは自衛のための戦争だ」と言うのです。」
(ピーター・カズニック 歴史家 映画「沖縄スパイ歴史」パンフレット)
2019年
・「どんな服を着ていても性的合意ではありません。」
(伊藤詩織 ジャーナリスト 毎日新聞)
・「沈黙は中立ではない。自分たちと同じ過ちをしないでほしい。」
(岩井忠正 岩井忠熊 朝日新聞東京版)
2020年
・「意思や目標というのはたびたび大人が子どもに「責任」を取らせるための罠(トラップ)として使われます。」鳥羽和久 学習塾経営者 著者「おやときどきこども」
・「税金と年貢は違います」
(鴻上尚司 作家・演出家 著書「同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか」
・「「死にたい」は、本当は生きたいのに、それがままならない思いの裏返し。
(海老原宏美 自立生活センター・東大和理事長 朝日新聞)
2021年
・「笑っていいはずなんだけど、人前で笑っていいんだろうかという葛藤もあるんですよね。」
(松永哲也 池袋暴走事故の遺族 ウェブサイト「ハフポスト」
2022年
・「「誰かを殺したい」と口にする人がいたら、臨床現場では「助けて、と言っている」と受け取ります。」(長谷川博一 公認心理師 朝日新聞)
まだまだ他にもありましたが、長くなりすぎるのでこの辺りで終わりたいと思います。
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