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自分で作る小さなメディア「野中モモの「ZINE」」

本(野中モモの「ZINE」)

ミニコミ誌やフリーペーパーの新しい手法として注目されている「ZINE(ジン)」について書かれた本です。副題が「小さなわたしのメディアを作る」というもので、筆者の野中モモさんは長年ZINEを発行しており、その実践の記録と方法を紹介しています。ZINEとはマガジン(MAGAZINE)の語尾を取ったもので、筆者が定義すると以下のようになります。

・紙媒体 ・プリンターなどでの安価な印刷 ・糸綴じやクリップなどで簡単に製本 ・小数量の部数 ・流通手段は個人間の売買、交換、贈与など

私自身も中学生の頃から文章を書くのが好きでしたが、大学生の頃はまわりがよくやるフリーペーパーなどの発行はせずに、もっぱら本を読むなどインプットの作業をやっていました。実際に実行に移したのは社会人になってからで、まだネットがなかった頃、フリーペーパーの一種のニューズレターを紙媒体で発行したのが最初です。

その後インターネットが登場し、メールマガジンがブームになった時はいち早く紙媒体からペーパーレスのネット媒体に移行しました。媒体の内容は、日々のトレンド・キーワードを、各メディアからピックアップするもので、当初は図書館に1日缶詰になって、各種新聞(全国紙から業界紙まで)や各専門雑誌を読みながらキーワードを集めていきました。こうした内容はネット媒体になってからも、基本的に変わっていません。

本書では、後半には様々なZINEを出版している発行者と筆者との対談があり、いろいろな情報交換をしていますが、これがなかなか興味深い内容になっています。以下印象に残ったコメントを挙げますと、
「ブログで書くほど面白いことは書けない。ブログほど人に知られたくない。ちょっとだけ広がる可能性があるのが面白い。それが紙だとできるのかも。」
「本気の趣味みたいなもの。」「お金にならないことを世間があんまり認めてくれない。」
「都会で商業化が進み、別の所からDIY志向の新しい波が起こる流れは世界共通。
おしゃれやカッコよさよりも、何を伝えたいのかが作る動機になっている。」

個人的に今は紙ではなくネット媒体ですが、まさに私の編集・発行ポリシーと同じと、1人でしごく納得してしまいました!私の場合も「そんな下らないもの」と言われたこともありますし、自分自身でも、なぜお金にもならないことにこれだけ労力を使うのかと素朴な疑問を抱いたことも、1度や2度ではありませんでした。

それでも1998年創刊の我がメルマガを未だに発行し続けているのは、理屈以上にただ好きだからという執念にも似た意思なのではと思います。

おまけ:オワコンといわれるメルマガですが、私が発行する雑誌「いまどきのキーワード」は、ブームの頃は4000名程の購読者がいましたが、現在は携帯版も合わせて650名程です。

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