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50年前の大ヒットパニック映画「タワーリング・インフェルノ」

映画(タワーリング・インフェルノ)

午前十時の映画祭で観たリバイバル映画です。1974年の公開(日本では翌年)ですから、ほぼ半世紀前の作品で、当時大学生だった私も観た記憶があります。ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンの2大スターの競演でも話題になりました。
他にフェイ・ダナウェイやフレッド・アステア、「慕情」コンビのウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズなど豪華なキャストで、パニック映画として大ヒットしました。

この映画もかなり有名なので、もはやネタバレありの注釈はなしにしますが、サンフランシスコに竣工した135階の超高層ビルでの完成パーティー中に、電気系統が原因で火災が発生し、その消火と人命救助に尽力した消防士たちの活躍を描いたものです。

冒頭に「人命救助のために自己犠牲も惜しまない世界中の消防士に捧げる」(という趣旨)の文言が流れます。今回の映画でも、消火や救助の最中に殉職した消防士たちの姿も描かれており、正に命がけの仕事であることを改めて実感した次第です。

上映開始早々に機械室の電線がショートして発火し、部屋の可燃物へと燃え広がり、この炎は最後消火されるまで燃え続けて、バックドラフトによる延焼を繰り返します。炎の恐怖が全編を貫いている訳ですが、その中に取り残された人々の恐怖や不安など様々な葛藤、さらに消火活動に全力を尽くす消防士たちの困難に立ち向かう精神力などを織り交ぜながら、最後までスリリングな展開が続きます。

タワーリング・インフェルノとは「そびえ立つ地獄」のことであり、古代より天空をめざす建物は、天への憧れであり権力の象徴でもありました。この作品はパニック映画というエンタメ性に加えて、そうした文明批判の側面も垣間見ることができたのではないかと思います。最後主人公の設計者が「このビルは残すべきだ」といった言葉にも、表れていると感じました。

余談ですが一応建築設計の仕事をしている自分にとっては、ツッコミどころ満載でしたが、一部を書き留めておきます。日本の実情が前提ですが

・日本では世界的にも複雑で煩雑な建築基準法や消防法を、書類審査(確認申請)でクリアした建物だけが建築でき、完成時には竣工検査を受ける義務があり、当然消防署による検査もあって、消火設備や避難設備の作動確認は行われるので、完成直後に作動しないことはありえない。

・建築設計は分業制であり、意匠・構造・設備の各設計に分類され、専門的な知識は各設計者が詳しいが、分業制のため他の設計にはあまり詳しくない。主人公の設計者はデザイナーなので意匠設計となり、停電で停止した展望用エレベーターを分電盤に細工して、動かせるようにする程、電気の専門知識があるとは思われない。(写真は関連サイトより引用しました。)

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