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でも、70年代には勝てない80年代

今までつらつらと80年代ソロアイドルについて書いてきて、その勢いと希少性を絶賛してきました。しかし、覆すようですが70年代のソロ、西城秀樹、郷ひろみ、ついでに野口五郎、アイドルと言えないかもしれないけど沢田研二、このあたりには残念ながら80年代組は絶対に勝てないと思います。

まあ、勝敗や優劣なんて本来つけられるものではないですが、あえてするならば。

私が芸能を意識し始めた小学生のころは既に「たのきん」が第一線にいて、新御三家は既に彼らにアイドルの座をあけ渡し、もうベテランというかオジサンのような印象でした。まだ20代半ばだったと思いますが。キラキラの80年代初頭に出てきたトシちゃんあたりと比べて、彼らは濃くてアツくるしくてウェットな感じがありました。まさに70年代です。

しかしそれらこそ色気を生む要素で、本来の男っぽさを裏付けていました。艶のある歌声、真の歌唱力、正統的なルックスはたのきんをはるかに上回っています。80年代ソロアイドルが才能、実力面で70年代に勝てるところはひとつもありません。

まず、80年代初頭の男性アイドルは歌唱力が無かったのです。女性では80年デビューの松田聖子、河合奈保子、岩崎良美、柏原芳恵、いずれも歌唱力がとても高いですが、男性は80年トシちゃん、81年マッチ、82年シブがき隊、83年慎吾ちゃん(ヨッチャンより売れてた)と、84年にチェッカーズと吉川晃司が出てくるまで歌唱力がないメンツが続いたのです。これが世間におけるアイドルの印象を軽いものにしてしまったかもしれません。ちなみに、ジャニーズに追いやられていた感のある二番手層の沖田浩之、竹本孝之、渋谷哲平あたりはそこそこ歌が上手いです。渋谷哲平はかなり上手い!

ルックスも、たのきんは実は素材としてはそんなにいい方ではありません。慎吾ちゃんと晃司クンは薄味の別枠系だし。西城秀樹と郷ひろみの2人だけで、80年代が束になっても適わないです。

そして、沢田研二。当然アイドルのカテゴリの人ではないですが、色気のあるルックスと艶のある歌声、独特のパフォーマンス、今後も出てこないであろう唯一無二のスーパースターがいたのも70年代の強さだと思います。

だから80年代組は新機軸として「ダンス」という要素を前面に出していったのかもしれません。それが次世代のアイドルのグループ形態に繋がったと。

新しい時代が始まったのに昭和を恋しく思ってしまう。平成を飛び越えて。ホンモノがいた時代、だったんでしょうね。テレビの中にいる人は特出した才能を持つ選び抜かれた特別な存在。皆スターだった。今は数が多すぎて、見てて疲れてしまうのです。