備忘録10

先日、本棚を整理していたら、ある新聞記事が出てきました。
今回はそのコラムの内容を書き留めておきたいと思います。

住民提案を実践活動につなげる「頑張ればできそう」共有

ワークショップでは、要望陳情型の意見ではなく、提案実行型の意見を集めると前に書いた。「テーマパークをつくってくれ」ではなく、「まちに共用のキッチンをつくっておいしいものが食べたい」という類の意見を集めたい。
提案実行型の意見は、「少し頑張れば実現できること」が多い。同じことに興味のある人が集まり、まずは誰かの自宅で料理を振る舞ってみる。そこで「何が楽しかったのか」「どこが難しかったのか」「どこを改善すればいいか」などを実感に基づいて話し合う。その上で「予約制で使えるキッチンがまちにあるといいよね」というイメージを固めつつ、使えそうな空き家を探す。空き家の持ち主を見つけ出し、全員で貸してもらえるよう企画を作って提案しに行く。何度も断られることだろう。しかし、地元のコミュニティーの人たちが本気でお願いすれば、何度目かには了承してくれる家が見つかる。
貸してもらえる家のキッチンを掃除し、必要な道具や食材を購入し、試しに料理を作ってみる。ここでさらなる課題を見つけ、それを解決するためにお金を集めたり、改修工事をしたり、仲間を募ったりする。
要望陳情型の意見は「テーマパーク」など規模が大きくなりがちだ。これは小さな実践を積み重ねて到達できるような規模ではない。だから、最初から提案実行型の意見を募るようにしている。「少し頑張れば到達できそうだ」と思えることが大切である。その思いが共有できれば、あとは小さく実験してみて、課題を共有し、それを乗り越えてる策を講じ、また小さく実験する。これを繰り返しながら、やりたいと思っていた活動へと近づいていく。気がついたら、やりたいと思っていたことを大きく上回るような事業へと成長していることもあるから面白い。

これは、令和3年8月22日(日)に日本農業新聞に掲載された山崎亮氏のコラム「つながりのデザイン」です。
まちづくりは独りでは難しいので、誰かと組むことが多いけど、組んだ相手ばかりに期待して自分で行動しないと、いくら経っても自分が思うような未来はつくれないですね。それは行政も一緒。要望陳情型の意見ってそういうことだと思います。
それに対して有言実行の提案実行型の意見には、多くの協力者が集まりやすく、より実現しやすくなるなるでしょう。
こんな提案実行型の意見がたくさん溢れるまちはとても面白いでしょうね。