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47:気付かヌット

「ゆらゆら帝国」というバンドが学生の頃から好きで、解散しボーカルの坂本慎太郎がソロになっていても変わらず聴いていた。初期から後期まで曲調が変わってもどれも素敵な音楽である。

「いつかライブに行ってみたいな」
そんな想いを秘めつつ、彼の音楽を聴きながらウィンドウショッピングをしていると、丁度会員登録すれば10%オフキャンペーンをやっている店に辿り着いた。


登録を無作為に増やしたくないので減らす一方だったのだが、単価の高い服が欲しかったのでたまには登録することにした。


登録のステップで、
①個人情報を打ち込み
②チェックマークを押す
③問いに対する画像を選択する
このような順で行うことが多い。


自動でアカウントを作成しまくるプログラムは、人間のような間やマウスの軌跡の揺らぎがないから弾かれるという。
それ自体は良い技術なのだが、②のチェックマークを入れる箇所で、ロボットでない宣言をさせられるのが凄く気になる。


「優れたプログラムが自分のことを素直にロボットと言うのか?」

「なんか直訳すぎる」

「そもそも、自分が気付かぬ間にロボットになってるかもしれない」

「現代人なんて、ある種ロボットかもしれない」


性格が捻くれてるので、いつもそんなことを考えつつ、今回もチェックマークを押した。




チェックマーク横に、読み込み中としてのアイコンが回る


だが、先に進めない。

弾かれてしまった。


電波でも悪いのかなと、
もう一度、チェックマークを押す。



またアイコンは回り続ける。

少し待っても、繋がる様子はないどころか、やはりチェックマークは外れている。





僕はいま、

ロボットであるかと疑われてる。




何故だろう。

骨折してボルトを入れたことも無ければ、目が覚めて秘密組織に改造されてたこともないし、人造人間だからロボットではない論争にも巻き込まれたことはない。



分からない。


冷静になろうと、
一度画面をオフにしてみた。




もう一度画面を付けると、
聴いてる曲名が表示され、
僕は理解した。



この世の全てを。