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ブロックチェーンは、なぜ生まれたのか。

2008年、世界的な金融危機が起こりました。

サブプライムローン、リーマンショック。

日本も日経平均が最大41%も下落するほどの大きな影響を受けました。

その金融危機と同じ頃、サトシ・ナカモトと名乗る謎の人物(グループかもしれない)がある論文を出しました。

ビットコインという暗号資産と、そのベースとなるブロックチェーンという仕組みです。

ブロックチェーンはP2P(ピア・ツー・ピア)という個人同士が繋がり合って、データを共有するという仕組みを取り入れた、全く新しいシステムです。

ただ、実はP2Pという仕組み自体はブロックチェーンで初めて利用された訳ではなく、ショーン・パーカーの発案したナップスターや、日本でも違法ダウンロードで話題となったウィニーもP2Pの仕組みを利用したサービスです。

ブロックチェーンはもともとあったP2Pに暗号を掛け合わせた、新しい技術です。

サトシ・ナカモトの論文が発表された際、一部ではインターネットの革命と言われ、”ブロックチェーンレボリューション”の著者ドン・タプスコットは情報のインターネットから価値のインターネットへと変革したと述べています。

ブロックチェーンが世に放たれたのは2008年です。

しかし、そこから10年以上遡った1990年代からブロックチェーンの物語は始まっているのです。

ブロックチェーンは単なる技術ではなく、その背景には強い思想がありました。


・インターネットの巨大化

1990年代初頭より、インターネットが急速に普及し、2000年に突入する前にはインターネットは、世界とつながるツールとして時代を大きく前進させました。

今や、私たちの生活に欠かせないものになったインターネットですが、反面、その進化のスピードは私たちの想像をはるかに超え、多くの人たちを置き去りにしてきました。

今や、気軽にプライベート情報をインターネットに載せる時代です。

しかし、その情報は友人に公開されているだけではなく、巨大な中央集権(大企業、国)へ集積されているのです。

私たちがインターネットを使えば使うほど、その情報の集積と監視の目は権力を強くし、人々をコントロールする術を強大なものにしているのです。


・サイファーパンクが目指す自由と未来

インターネット創世記の1990年代の初頭、サイファーパンクの活動家達は、中央に情報が集まることについて問題意識を持っていました。

サイファーパンクとは暗号技術を用いて、社会や政府を変化させようとする活動家のことで、元々はサイファーパンクメーリングリストの対話から生まれた非公式の集団といわれています。

彼らは『インターネットによる情報の交換は全て傍受されている』と述べています。

中央集権によって作られたインターネットは、自由と引き換えに身を削っているということに多くの人が気づいていません。

インターネットの拡大と監視の拡大に歯止めをかけようとしているのがサイファーパンクの活動家たちです。

(余談ですが、iphoneが世の中に出るずっと前からそのことを懸念していたということは驚きです。)

冒頭で紹介したサトシ・ナカモトもサイファーパンクの一人?一集団?だったと言われています。

ビットコイン 、ブロックチェーン が生まれたことでインターネットは中央集権を介さず、個人ひとりひとりが直接繋が、直接管理することが可能となりました。

どこかに情報が集まるということを無くし、個が中央集権に立ち向かえる準備が出来たのです。


・アイデンティティーを取り戻す

インターネットによってもたらされた格差はもうすでに、多くの人が実感できるところまで来ています。

インターネットは使う側と使われる側の2つのグループに分かれます。

もちろん、使う側の人間が大多数です。

そして、残された少数に富が集まるような仕組みになっています。

いわゆるGAFAです。

世界の経済は成長しているのに、実感値としてそれを感じないのは、富が極端に偏っているからです。

自分のプライベートな情報を出すことで、喜びを得られるシステムが作られ、今やそのシステムが生活の中心とまでなっている。

今後、世の中のあらゆるものがインターネットに繋がり、その情報がまた一部の巨大な企業や国へ集積されたら、さらに格差は広がります。

しかし、あらゆるシステムにブロックチェーン が応用されてくると、徐々に中央集権の力は弱まって来ます。

それが、3年後なのか5年後なのか10年後なのか、そこは分かりませんが、その未来がくることは間違いないはずです。

サイファーパンクの思想が入ったブロックチェーン によって、人々のアイデンティティーを取り戻すことができるのです。

大企業へ流れていたお金が少しずつ世の中へ回る日も近づいているのかもしれません。

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