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海上保安資料館・横浜館に行ってきた。

2001年12月22日に発生した、九州南西海域工作船事件に関する資料館。
北朝鮮の工作船である不審船を海上保安庁の巡視船が追跡、交戦の末に不審船が沈没した事件。

詳細はWikipediaにて。

事件後、海上保安庁による北朝鮮の工作船は海底から引き揚げられ、現在は横浜の海上保安資料館に展示されています。

船尾①。船偽装用の鉄粋。

2001年12月22日、海上保安庁は九州南西海域における不審船情報を防衛庁から入手し、直ちに巡視船・航空機を急行させ、不審船を補足すべく追跡。
巡視船・航空機の停船命令も無視して逃走した不審船は、ジグザグ船行(不規則なZ字形に針路をとって航行すること。海上戦闘中、敵船の射程に入らないようする戦法)で逃走を続けた。その後、巡視船・航空機の威嚇射撃にひるまず、ついに自動小銃、ロケットランチャーなどの火器類による反撃を開始した。

船尾②
自爆した場所もここから見えます。ここに小型舟艇を搭載。
小型舟艇。
この工作船の最大の特徴は、小さい船の中に、さらに小舟と搭載していることだそうです。
工作船の船首部分②

攻撃が本格化した時点で、巡視船による正当防衛射撃が実施され、不審船は自爆用爆発で爆発を引き起こして沈没。巡視船の海上保安官3名が怪我を負ったものの、幸い日本人に死者は出なかった。

ロシア製2連装機銃。
自動小銃①
自動小銃②

居合わせたミリオタさん曰く、「機関銃や自動小銃は船を沈没させる為の武器ではなく、人を殺す為の武器。日本人に見つかった時用に武装していたと思う」との事でした。

し事件後、乗組員6人が漂流しているのを発見したが、抵抗や自爆攻撃の恐れがあるとして、救助活動は難航を極めた。
結局、警戒用に小銃を向けつつ、浮き輪を装着させて泳いで救出するように方針転換せざるを得なかったが、その奮闘も虚しく、4人は救助を拒否。遺体となって発見されることとなった。

回収された工作員の所持品。
金日成バッチ、北朝鮮の菓子等など。
工作船の自爆用スイッチ。

遺体のDNAから韓国人・朝鮮人の可能性が高いと判明。また北朝鮮の国民が付けている金日成バッチ、北朝鮮内の工場名がハングル文字であったことから、犯人グループは朝鮮籍を持つ人間であると断定された。

高速を出すため、プロペラは4基。

事件捜査の結果、この工作船は、九州周辺海域で覚醒剤密造を行うべく暗躍していたと見られる。
その他にも工作員の不法出入国、他の重大犯罪にも利用されていた可能性があり、日本国内に協力者がいた可能性も否定できない。

証拠物と思われる物件の放棄写真。
回収品。
地図、日本製の携帯電話等。

よって、この事件は東京地方検察庁より「覚醒剤を密輸していた工作船」と認定されました。

工作船の沈没地点が中国EEZ(排他的経済水域。他国を排して経済的な権益が認められた海域)内だったため、引き上げに反対するマスコミや国会議員もいたが、最終的に時の小泉純一郎総理大臣によって引き揚げられた工作船には大量の爆薬が搭載されていたことが判明。
漁船や貨物船に見せかけた偽装工作であったことが明らかになり、事件の全容解明に大きく前進することになった。

また引き揚げられた工作船は、2004年まで船の科学館に展示されていたが、経費削減のためスクラップ処分される予定だった。
しかし石原慎太郎東京都知事ら多くの人々の反対と、海上保安協会に寄せられた多くの人々からの寄付によって処分は中止され、横浜館に移送された。

海上保安資料館・横浜館入口。 
ピンぼけ💦

この事件をきっかけに、日本の領海内での工作活動に対する監視強化が求められた。
日本は所謂スパイに対して取り締まる法整備がなされておらず、2023年現在でも多くの問題を抱えていたが、法制度の整備が急務だと言われている。

当時の映像はこちらから見れます。

九州南西海域工作船事件はYouTubeやインターネットから調べると、事件の詳細について詳しく知ることが出来ます。
ですが実際の工作船を目にすることで、事件の緊迫感、また現実に目の前で起きた出来事だと実感できると思いますので、ご興味ある方はぜひ…。

資料館隣。
巡視船あきつしま。海上保安庁のヘリコプター2機搭載型巡視船。「しきしま」の発展型。

たまたま生まれた国が違っただけで、思想も価値観もまるで違うということを感じさせられましたが、工作員のものと思われる他愛ない落書きを見た時、自分と同じようにイタズラ心や童心があるのだと感じられました。そうであって欲しいという願いが、自分の中にもあったからかもしれません。





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