他己分析

高校を卒業するまで他己分析なんてしたことがなかった
「あなたは周りの人からどのような人物だと思われているか」
そんなの接する相手によって違うに決まってる
親の前ではなるべくいい人間でいようと努めるし
悪口を言う友達といれば一緒になって悪口を言う
偉い人の前ではぴしっと背筋を伸ばすし、自室で1人になれば部屋着でベッドに寝転がる
多少はちがえどみんなそうやって生きているはずなのにこの手の小論文は何か一つ自分はこう言う人間だ、自分はこう言う経験を通じてどうだとか自己アピールを交えつつまとめなければならない
私はどう言う人間なんだろう
明るい、暗い、優しい、怒りっぽい
その言葉のどれもが私の一面に当てはまる
でも財団が求めているのはそういう頓知みたいな文章じゃない。おおかたその人の能力と経験が知りたいだけ。自分のことを一単語に集約できない
いくつか考えてみたら怠惰、という言葉がしっくりきた
親からも兄弟からも友達からも、きっと私がこの言葉で形容されたのは一度や二度ではない
私が何十万という応募者のなかから選ばれるはずがない
今まで何一つ積み上げてこなかった私には多額の給付金を受け取る資格なんてない
真面目に生きて、何かを手に入れようと必死にここまでやってきて、将来像がはっきりしている人が、同い年で私よりも懸命に生きている人がたくさんいるはずだ

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