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ユンギさんの音楽は蓮の花


ユンギさんの創る音楽は、蓮の花みたいだ。
泥の中から生まれて咲く、あの美しい花。
清らかさを花言葉に持ち、汚れなさの象徴であるような花だけど、やっぱり泥から生まれて咲くっていうストーリーこそ蓮の花の真価のように思う。



Agust D名義の楽曲が100%混じりっけない彼の個人的な音楽だと思うので、あくまでそれの印象の話になるのだけど、あのミックステープを一通り聴いた時に『あぁ、蓮の花だなぁこれは』と思った。
ユンギさんが過去に【自分の創作の源は怒りや恨み】と語っていたり、かつて内面に問題を抱えていたなんていう前情報を聞いたせいでそう感じたって可能性もあるけど…。
いやでもやっぱり、聴けば分かる。


ラッパーである彼に対して大変失礼ではあるけれど、わたしは正直歌詞の内容をあまり重要視してこなかった。
いつか自力で訳せるようになるまでは(何年かかるんだろう…)分からないままでもいいかなと思っていたくらいに。
そんな状態で聴いていると、メロディとか声とか演奏を含めた曲全体に、『すごくとげとげしててこっちまでピリついてくる』『あぁ、なんかめちゃめちゃ悲しくなった…』『心が綺麗になってゆく気がする✨』みたいな、極めて原始的な感情の揺さぶられ方をする。
そのピリつかされ加減に鳥肌がたつようなワクワクを感じたり、悲しさに胸を締め付けられる感触が気持ちよかったりして、あぁ自分はこの人の創るものが好きだなんだなと気付く。


ユンギさんの作ったどんな曲を聴いても共通して感じるのが、品の良さだ。
もちろんお高くとまったお上品さって意味じゃなくて、〝品性がある〟っていうやつの方。
怒ったり悲しんだり憎んだりっていう負の感情を、転化する方法を知っている人なんだなぁと思う。
それをしっかり掴めた人は、絶望し切るってことはないんだろう。
そうして絶望しきることのない魂は決して品性を失わないし、どんな形になったとしても美しさを感じさせてくれる。
いやーだって、Fのつく悪い言葉をあんなに素敵に歌う人、初めて聴いたもんなぁ…。



今のユンギさんの泥の中にあるものは、もう怒りや恨みとはちょっと違ったものになっているんだろう。
まだ1年余りしか聴いてきていないわたしが改めて言うまでもないことだけれど、彼らを取り巻く環境は劇的に変わったのだろうから。



それでも、内容物は違っても、やっぱり何かしらの泥の中から美しいものを生み出しているというわたしのイメージには変わりがない。
しかもミンユンギってアーティストは、それを素晴らしい精神力一本鎗ってわけではなく、よく回ってそうなその頭脳も合わせて かなり泥くさく、時にはしたたかな手を使ってやってのける、底力のある人だと思う。
ほんと、めちゃめちゃカッコいいな!



蓮の花って、早朝に咲いて昼には萎むという習性らしい。
それを3日間繰り返し、4日目になると昼になっても萎まない。
そうして、その日の夕方になってから散るのだそうだ。
最後の日は日暮れまで咲いて、太陽を見送って、それからひっそりと散る。


わたしは彼らのように自分達のいろんな面を世間に見せて、語って、共有しようとするアーティストに出会ったのはこれが初めてだ。
昭和の人間だから、『余計な事に興味持たずに、出した曲だけで全部判断して』っていう頑固親父的ミュージシャンしか知らなかった。
だから、こんなふうにいろいろアーティストご本人について、想像したり考えることにも慣れていない。
だから当たってる自信もないのだけど、蓮の花のこういう生態はとてもユンギさんっぽいような気がしている。



ユンギさんに詳しい世のユンギペンの方々ならば、どう思われるのだろう?

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