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愛されることを受け入れた人

一番身近な先輩アミであり、わたしにバンタンの手ほどきをしてくれた姉はジンペン。
だから最初の頃、ジンさんの素晴らしさについては特に力を入れてレクチャーされた記憶がある。
「このジンを見ろ」とピンポイントに指定された動画(ゴールデングローブアワードのレカペでの一件とか、あるいはセンスある会話の場面とか)を観たりして、そのお人柄について英才教育を受けたと言える。
そうして彼女は何度も、「最年長者がジンだったことが、バンタンというグループの雰囲気を決定づけたと思う」ということを言った。


〝年齢にものすごく意識的〟という韓国の国民性をそれまでまったく知らなかったわたしは、正直年齢ってそこまで関係あるの?と当時は感じていたと思う。
最年長であろうが最年少であろうが、同じグループで同時スタートした同僚なら立場は並列じゃないのー?ぐらいの感覚だったのだ。
だから姉の熱心な主張もよく理解はできず、「へーそうなんだー?」くらいのぼんやり感で聞いていた。
それが時間が経つにつれ、わたしのそんなゆるゆる認識は「いやそれほんとに!まさに!」という完全同意に変わっていった。





ジンさんはものすごく頭の回転が速くて、クレバーな人だ。
ご自分のことも他人のことも、空飛ぶ鳥の視野ほど広く精密に客観視されてるように見える。
それでいて自分軸がしっかりしているから、いろいろ見え過ぎてしまったとしてもブレることがなさそう。
最初からそういう人だったのかは知り得ないけれど、少なくとも三十路を迎えたジンさんは、そんな柔らかさと頼もしさを併せ持つ大人になっていると感じる。
この人は整った見た目のためだけでなく、多分どこに行ってもどんなタイプの相手にでも好かれる人だろうなぁ…とうらやましく思う。


だけど、わたしが個人的に感じるジンさんの最大の魅力は、実はそのパーフェクト感ではなかったりする。
じゃあ何だ言ってみろよと言われたら、わたしはあの〝あり得ないほどの率直さ〟を挙げる。
迷わず、そこを挙げたい。


バンタンは何かしらの節目ごとに、アミに対して手書きなどでメッセージを残してくれる。
言葉がそれぞれの個性を如実に表していて、そのどれもが読むファンの胸を温かくするような思いやりに満ちている。
中でもわたしは、ジンさんの書いたものを読むと胸がぎゅっとなることが多い。
正直言ったら多いってレベルではなく、ほぼほぼ涙ぐんでると思う。
そういう自分に初めて気付いたのは、2021年夏に催されたTHE BESTのエキシビジョンだった。


展示の最後に、メンバーそれぞれが日本語で書いてくれたメッセージがあった。
撮影不可エリアだったし、その内容をメモしてもいなかったから、何が書かれていたか今となっては不明だ(なんと間抜けな)。
だけどその日の日記に、わたしは『グッときて涙ぐんでしまった。いつもながらジンさんのメッセージには、大らかでまっすぐな飾り気のない愛情を感じる。』と書いている。
わたしにとって初めてのバンタンイベント参加で、しかもコロナ禍真っ只中という特別な状況であったから余計に感傷的になったのかもしれないけど、でもこの印象はいまだにまったく同じまま、わたしの胸に残っている。


おおらかであり、飾り気がないこと。
このふたつを併せ持っていることが、わたしの感じるジンさんという人の最大の魅力だ。
人前に立つ仕事をしていて、その上全世界から注目されるほどの立場にいるような人が、あれほどまでにまっすぐで率直であるということに、わたしのようなくだくだと考えがちな人間はどうしたって驚きを禁じ得ない。
ジンさんの生まれ持った性質だったかもしれないけれど、わたしのイメージでは生まれ持ったものだけと考えるのは少し違う気がする。



バンタンとして活動をしていく過程で、ジンさんは意識的に自分をそのように変えたような気がしてならない。
どうしてそれが出来たのか。
ずっと考えているんだけど、答えは「愛される自分を受け入れたから」ということしか思い浮かばない。
ジンさんはどこかの時点で、ファンに愛されることに対する疑問や不安を意図的に打ち切ったんじゃないかと思う。
Love Myselfとはまた別の話で、ファンが自分を愛してくれているという事実だけを、ただそのまま真っ直ぐに受け入れることにしたんじゃないかと。
そして、自分もそのようにファンをただそのまま真っ直ぐに愛そうと。


なぜ今そんなことを改めて考えていたかというと、先月Weverse Magazineを読んだからだ。
それは転役後まもなくのジンさんのインタビュー記事だった。
このマガジンはインタビュアーさんたちの話の方向性が良いので、毎回楽しみにじっくり読んでいる。
今回のジンさんのもすごく良かった。
話す内容がわたしの思うキムソクジンそのもので、圧倒的だった。




中でもわたしが驚愕したのは、ジンさんが『もし遠い将来、ARMYの皆さんが僕たちから離れることになったとしても、僕たちは一生ARMYの皆さんから離れられません』と語ったことだ。
〝ファンのおかげで自分たちが在る〟という認識を、正反対の裏側から言っている。
こういう言葉をアーティスト側から聞いたのはわたしには初めてだったし、聞くことがあると思ってもいなかった。
わたしたちファンは気持ちの流れるままに彼らから離れることも出来るけれど、彼らの方からはファンの元を離れるということは不可能だ。
アーティストとファンの関係性の核心をすごくシンプルに、冷静に語っている。
そして話は続く。


ジンさんは自分が幸せである原因を考えてみた時、結局それは自分がバンタンだったからだと思ったと。
そしてそのバンタンが作られた理由は、結局のところファンたちなのだと。
そう考えたら、本当にファンのために最善を尽くそうと思ったという。


この部分は、先に出した「愛される自分を受け入れた」ということと、底の方で意味が繋がることのようにわたしには思える。
受け入れたから、愛をくれたファンに対してただ真っ直ぐに愛を返したいのだと。
そうしてその愛は、おそらく離れて行くファンにさえも向かう。
自分たちの方から離れることは出来ない関係性だとシビアに認識しながら、そこには離れていくかもしれない者に対する不安や哀願の気配が感じられないから。
「離れて行く人がいるという事実すらも受け止めて、それでも自分は共にいてくれることを願ってファンに対して愛を尽くす」という、ひたすらに真っ直ぐな覚悟に聞こえる。



インタビューの最後で、この先に何があっても、それはそれで人生は美しいものであるはずだし、自分は幸せでい続けるだろうと言い切るジンさん。
わたしもそういう意識をもって人生を見渡すよう心がけてはいるつもりだけれど、それは波のない場所で生きているのんき者だからこそ考えられること。
良い事も悪い事も桁違いな規模でおとずれる苛烈な人生を送っているはずのジンさんがそれを口に出すというのは、本当に、相当堅固な意志力がないと出来ないことのはずだ。
心底尊敬するし、わたしは努力して自分をそういう強い人間像に近づけたいと切実に思う。



今わたしは毎日毎日、失えない大切なものを守るために一旦見たくもないものに触れる必要があるという、想像したこともなかったパラドックスの中にいる。
多くのアミさんたちも、同じだと思う。
五十路というある程度の汚いものは見慣れたはずの年齢であっても、人の心理の複雑な闇(くら)さに絶望的な気持ちになる瞬間がある。
そんな時でも、グループ唯一の現在進行形でのジンさんの活躍を見られることに、ものすごく救われている。
ジンさんはきっと、今のような混沌とした状態の中でも美しいものをしっかりと見つける人だろうし、その先に見える幸せな自分を見据えてもいるだろう。
そう思って、わたしも暗い思いに引きずられそうになった時は、この後にくるジンさんの初ソロアルバムのことなどを考えている。



今日はジンさん24時間テレビに出てくれたし(たくさん日本語で喋ってくれてたし、純粋に日本の、それもチャリティ番組ということで出演を決めてくれたのだろうなぁ)、ベルリンコマーシャルアワーズではナムジュンさんのLOST!が映画撮影部門を受賞した!
日付けが変わって明日になれば、今年もジョングクさんナムジュンさんのお誕生日を祝うことが出来る月が始まるし、その次の月にはようやく…ようやくわたしたちの希望・ホビさんも帰ってきてくれる😭
ジョングクさんに会うために映画館に通う日々が待っているのも楽しみだし、ここにきてナムジュンさんとミーガン(メーガン)の同学年コラボ楽曲という楽しみな話も飛び込んできたし…。


わたしは今もバンタンの7人から、本当にたくさんの幸せとわくわくをもらっている。
その恩に対して、ただ真っ直ぐな愛で報いて返していきたいのだ。
幸せを吸い込んで、毒ではなく愛だけを吐き出していく。
そう考えて、希望に溢れた未来をひたすら目指して、立ち止まらずに行動し進む。










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