将棋倶楽部24の対局観戦のススメ

自分は将棋倶楽部24に拙作の将棋AIの評価関数を2つ参加させている。
一つはJKishi18gouというアカウントのオールラウンダー担当、もう一つはHefeweizenというアカウントの振り飛車担当の評価関数だ。
このアカウントは開発中バージョンの評価関数のアンテナとしても利用させていただいており、コンピュータ将棋同士の対局場であるFloodgateよりも対局サイクルが短いので、指し手の傾向や思考の穴の確認が短時間でできるため重宝している。

この2つのアカウントがR対局室に常駐しており、レーティングの高低に関係なく挑戦を受け付けているため、24のアカウントをお持ちの方なら誰でも対局できる。
最新のPCをお持ちでない方でもスマホ、ケータイさえあれば、相居飛車、対抗形、相振りの好きなパターンで最新のAIと手軽に対局できるので、自分が今課題にしている局面をぶつけて検討するといったことにも利用できるようになっている。
また検討情報として、対局時には観戦者向けに評価値と読み筋をリアルタイムで配信、対局後には対局者に好手、悪手の箇所のAIの読み筋、評価値の提供を行なっており、好評をいただいている。
このアカウントと対局することで腕を磨き、プロになられた棋士もおり、プロ入りのお手伝いに一役買っていたりもする。

と、ちょっと宣伝をさせていただいたが(笑)、今回はコレを棋力向上に役立てようという話をしようと思う。

棋力向上には主に「詰将棋」「棋譜並べ」「実戦」の3つを行うことがよいとされている。
「詰将棋」はとにかく問題集を解いて詰みパターンを身体に染み込ませ、無意識に詰みパターンが浮かぶ状態を作り出すのが目的。「実戦」は言わずもがな。この2つだけでも相当な棋力向上が図れると思うが、これを実践するには、ある種の人間にとってはとてつもなく高い障壁が立ちはだかっている。それは……根気、ヤル気がないと続けられないということだ。(マジ)
自分はこの「ある種の人間」に属しているため、とても続けられなかった。しかし「棋譜並べ」だけは、観る将として対局観戦をもっと楽しみたい気持ちと、将棋AIの開発という必然性もあったおかげで今も続けることができている。
昔の「棋譜並べ」は、本を片手に盤に向かい、棋譜を見ながら指し手を再現していき、解説を読んで指し手の意味を理解し、何度も並べることで筋のパターンを身体に染み込ませるという、「詰将棋」と同じぐらい根気とヤル気の必要な「作業」だった。
それが劇的に変わったのは「将棋中継の充実」と「将棋AIの台頭」のおかげだ。
本など見なくても最新の情報をリアルタイムで解説つきで見られる環境になったことで、楽しみながら知らず知らずのうちに棋力向上が図れるようになったのだ。コレを利用しないテはない。

将棋倶楽部24の対局は、指さなくても側から観戦するという機能がある。これは将棋倶楽部24のアカウントを持っていなくても、ゲストとしてログインして観戦できる。
先に挙げた2つのアカウントの対局はいつも賑わっており、常に数十人の観戦者がいて、みんなでああだこうだ言い合う「サイバースペースの縁台将棋」の様相を呈していて、非常に楽しい場になっている。
ここは高段者の方も観戦しており、指し手の解説等もリアルタイムでしてくれるので、非常に参考になる。
そう、ただ観戦しているだけで「棋譜並べ」ができてしまうのだ。
初めは覚えることを意識して観戦する必要があるのだが、しばらく見ていると慣れてきて、ただボーッと眺めているだけでも「あ、これは前に指してるの見たな」とか「そう指したらJK(JKishi18gouの愛称)はこう指すよね」というのが自然とわかるようになる。これは「棋譜並べによる棋力向上」と同等の効果があったということだ。
特に高段者にはプロ棋士や奨励会員、アマ高段者の方が多く、その方が対局しているのを観戦するのは、最新の流行形に対する検討結果に直に触れることでもある。
将棋中継を見ていたら「これ、一昨日24で見たな」とか「JKがよく使う筋だ」と気づき、次の一手も自然とわかるようになるのだ。自然と最新形の指し手が身についていたということになる。

こんなにすごい効果があるものを利用しないテはありませんぜ!(o^-')b

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