『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』の感想:プレイの時間性について
『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』をSwitchでプレイしたので感想。
2023年末から年始を大いに利用してクリア。総プレイ時間は100時間ほど。
面白かったが、長かった。
ただ、その長さをプレイさせ切る工夫が巧みで、ゲームの時間性について考えさせられた。
本作は、メインストーリー(パレス攻略)、サブストーリー(コープ関連)、サブクエスト(メメントス)の三つを軸にプレイの時間性・周期性が構築されていて、絶えずどれかが進行状態に置かれる作りになっている。
この時間の複数性が、100時間近く遊ばせる大きな要員のように感じた。 とくに絶妙なのは、パレス攻略後、メインストーリー進行までに猶予があるがゆえに、ついついサブ系のものを進めたくなる作りになってること。
大ボスを倒してもすぐにはひと段落をつかせず、あと少しあと少しと進めるうちに、次のメインストリーが進行して、というふうに、プレイヤーをプレイの周期性に捉えつづける作りになっている。
これは『天穂のサクナヒメ』の時間性(ダンジョン攻略・ストーリー進行・稲作)でも感じたことで、そうした多層的なプレイの時間を構築することが近年のゲームの課題のひとつなのだろうか。
ただ、プレイヤーとしては、遊びを純粋に楽しめているのだろうかとふと思う瞬間もないことはなかった。
もちろん面白いゲームではあったのだが、やめどきがみつからない、というのは、のめりこむのとは違うだろう。
戦闘はある程度パターン化できてくるし、ストーリーはしんどいところもある。現代日本を舞台に世直しを掲げるテーマは分かるが、表層的だと感じてしまう。キャラの造形はツボを押さえているが、そのぶん定型的に感じなくもないし、主人公以外のキャラ同士の関係性の広がりと深まりもあまり感じられない。
おそらく、それぞれ単体で提示されてもピンとは来ないだろう。なので、それらをまとめあげる仕掛けの巧さに、ゲームらしさを感じてしまう。
(ただ、そうしたあれこれがどうでもよくなるほど、悠木碧の演技が素晴らしく、とりわけ10月中旬からしばしばみられる抑揚の付け方はすさまじい)
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