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1.2.1.アラブの映画_現代フィクション①

1940 - 60年代のエジプト映画黄金期入れちゃうと膨大になりそうなので、こちらはコンテンポラリーのみ。(ちなみに私の「コンテンポラリー」の定義はエジプト映画黄金期以降=1970以降。)好きな順に書こうと思ったけど、書いている途中で全部好きだってことに気づいたので順不同。中東映画は英語で検索した方が情報がたくさん出てくると思うので、タイトルは基本英語表記にしています。@の後に続くのは製作国というより舞台になった国。(製作国入れるとフランスばっかりになっちゃうので。)

Caramel (2007) @Lebanon
みんな大好きナディーン・ラバキが監督・主演の映画。主人公たちのセンシュアルで大胆な行動に見ている私も夢中になる。ガザの美容室にも通じるけど、中東のサロンで形成される女性コミュニティってとても興味深くて私も彼女たちの井戸端会議に参加してみたくなる。

Wadjda (2012) @Saudi Arabia
「少女は自転車に乗って」っていうなんだかエモい邦題が付いてしまったけれど、自転車が欲しいがために賞金を狙ってコーラン暗唱大会に出る意志の強い女の子が主人公。ちょいちょい出てくるお母さんの境遇にも泣ける。サウジはすごいスピードで近代化しているので、既にこの映画の情景は一昔前のものになっているんだろうなと思いつつ、サウジの現代社会を知る上で必見の映画。

Caperaum/存在のない子供たち (2018) @Lebanon
ナディーン・ラバキが監督を務めた限りなくドキュメンタリーに近いフィクション映画。実際主人公の少年もスラム街に住んでいたとのこと。ドキュメンタリーだけが社会問題を伝える手段じゃないこと、フィクションだからこそ伝えられることもあるということを考えさせられた。

Dégradé/ガザの美容室(2015) @Palestine
初めから終わりまで全て美容室の中でストーリーが進む。だからこそ光の扱いと音の使い方が印象的。戦争や紛争の起きる地域の物語はフィクションでもドキュメンタリーでも男性の視点で語られがちだから女性の視点からガザを見ることができて新鮮だった。

The idol/歌声にのった少年 (2015) @Palestine
王道な感動もの(と言っても実話に基づいた話なのだが…)。泣かせるポイントを分かってるし、実際映画館でめちゃくちゃ泣いた。Abdel Halim Hafezが流れる瞬間とかもうほんと鳥肌たった。

Dancing Arabs (2014) @Israel/Palestine
フランスの『サンバ』を彷彿とさせるストーリー。『歌声にのった少年』のTawfeek Barhomが主演。この地でアラブ人として生きることのつらさ。

Where do we go now? (2011) @Lebanon
こちらもナディーン・ラバキ監督・主演。宗教対立を力で解決しようとする男たちとそれを止めようとする女たち。重いテーマを描きつつも笑える要素も散りばめられている…が、ちょっとレバニーズが笑うポイントがわからない。レバノンの映画館で現地の人たちと見たかったな。

La Graine et le mulet/クスクス粒の秘密 (2007) @Tunisia/France
『アデル、ブルーは熱い色』と同じ監督って言ったら結構びっくりする人多いかも。主演のHafsia Herziの艶かしさが半端じゃない。この人だから終盤の長い長いダンスシーンも見ていられる。

Tel Aviv on Fire (2018) @Israel
ひたすら笑えて見た後に絶対フムスが食べたくなる映画。イスラエル・パレスチナという難しい問題をコメディで描くのめちゃくちゃ大変だったんじゃないかなーと製作陣・配給担当の方の苦労を想像してしまう。

I Am Nojoom, Age 10 and Divorced (2014) @Yemen
これも辛い現実が描かれている映画。こんなことがイエメンで(そしてきっと他の国でも)たくさん起きているんだろうなと思うとひたすら胸が痛くなる。『存在のない子供たち』でも同じだけど、親に悪気がなくて、実際それが生きる術になっているから余計に問題が根深いと思う。

 Mustang/裸足の季節 (2015) @Turkey
なぜ邦題が松田聖子の名曲と同じなのか謎だけど…。こちらもいい映画。Virgin Suicidesのトルコ版という印象もある。

Les Filles du Soleil/バハールの涙 (2018) @Iraq
大好きなGolshifteh Farahaniが主演の映画。ISに攻撃されるイラクのクルド人自治区に住む主人公のバハールは元々は弁護士だった女性。「難民・紛争地に生きる人=貧しい人」という式をつい想像しちゃう人にはぜひ見てほしいし、自分たちも政治状況によっていつそっちの立場に行くかわからないことを認識させられる。

Sand Storm (2016) @ Israel
Netflixオリジナル。日本で女性として生きることに不満を持ってしまう日々だけど、まだまだ自分は恵まれているな…とつい思ってしまう映画。私は家族から結婚のプレッシャーもないし、自分の夢をいつでも優先できる環境で育ってきた。そんな選択肢が無い家族がこの世界にいくつあるんだろう。勿論自分の価値観を押し付けるつもりはないが、主人公の彼女のような境遇に置かれた人がどうやったら減るんだろう、と考えさせる。

A Summer in La Goulette/ラグレットの夏 (1996) @Tunisia
北アフリカ青春映画の名作(超Specificだけど)。勿論宗教の違いというような社会的な要素も描いているものの、画面から漂う瑞々しさが眩しい。多分初めて見た人は「ムスリム圏でこんな格好できるの?」といった驚きもあるかも。あと、個人的にはファッションがどストライクなので参考になる。

The Syrian Bride (2004) @Israel
イスラエルの占領下のゴラン高原に住むドゥルーズ派の女性がシリア側に嫁ぐ1日を描いた映画。

The Right One (2011) @Egypt 
女たらしの建築家と彼を取り巻く4人の女性の話。全く深くは無いけど楽しめた。音楽のチョイスが絶妙で、クラブでは何故かいつもリアーナ、ウンム・クルスームを口ずさみながらラブシーン突入、オープニングパーティでは宇多田ヒカルのFirst Love(!)が流れていた。

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見ていない映画はこちら:
- オマールの壁、パラダイスナウ - つらいことが最初からわかってるので自分がめちゃくちゃハイになってる時に見たいと思います。
- The perfect candidate - サウジ映画。日本公開がいつになるかわからないので気長に待ちたい。その内MUBIとかで公開されるかな。
- ジョスリーン・サアブ - アテネ・フランセが追悼特集をやっていたと思うが行けてないので、少しずつ見たい。

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