多発性硬化症から回復中。読書する時間がたくさんある。


時間があるので最近はよく読書をしている。贅沢な時間だと思う。1日中読書をしたりブログを書いたりしている。ここまで好きなことが好きなように出来る時間は滅多にない。

ポジティブに考えるなら僕が多発性硬化症にかかったおかげだ。少なくとも2年ほどは障害年金で月に13万円ほどが支給されるのだ。13万円というと少なく思える。だが非課税というアドバンテージが大きい。あとは住民税や国民年金や国民保険も減免されたりで今はほとんど負担がない。手つかずの13万円だ。

誤解する人もいるかもしれないが障害年金というのは誰から施されているお金ではない。たとえば生命保険に入っていて事故にあったようなものだ。事故がきっかけで1億円が手元に入っても誰も責めないだろう。生活保護とは違うのだよ生活保護とは。まあ生活保護を受けたって良いんだけど別に。審査に通るかどうかはさておいて。

実際には月に13万円では足りないので今までの貯金を切り崩している部分もある。あとは月にほんの少しだけ働いてお小遣い稼ぎをしている。それでもやれKindleで本を買ったりカフェでドリンクを飲んだりしてお金が想像以上に飛んでいく。ちゃんと貯金があって良かったと思う、むしろ病気をしてから貯金が増えた。傷病手当で1年半ほどの支給を受けられたからだ。今は贅沢な暮らしを楽しんでいる。

ビル・ゲイツも1年に1度はほとんど誰とも会わずに引きこもって読書に勤しむという。僕も今は好きなように読書をしている。小説ではなくて実用書だ。すぐさま仕事に役立つというわけではないかもしれないが自分の知性の根底を磨き上げているのだと思いたい。あとは小さくともエネルギーを使うことで社会復帰に向けてのリハビリテーションになっていると思う。本当にこんなことをしていて良いんだろうという迷いもあったが今では割り切ってこの"知的な"生活を楽しんでいる。

多発性硬化症という難病が人生の良い転機になってくれたのかもしれない。最悪体が動かなくなっても生活保護などの社会福祉に逃げられるのではないかという安心もある。むしろ健康体で働いていた時のほうが失職に対する恐怖がすごかったかもしれない。まあでももし症状が悪化すれば喉から手が伸びるほど元に戻りたいと思うのだろうけれど。

今は健康体と障害のグレーゾーンで生きているように思う。心身はかなり健康だが社会的にはまだリハビリ中だ。昔はいちど今の仕事から滑り落ちたらもう人生は終わりだと思っていたが案外そうでもない。自分の想像よりもずっとゆるく中間地帯で働く方法もあるのかもしれない。努力とリラックスの中間ゾーンでだ。今は限られたこの夏休みを使って思い切り自分の知を磨いておきたいと思う。たとえ知性を磨くという狙いが果たされなくても頭をリフレッシュする効果ぐらいはあるだろう。

ところで今はカフェの隣で若い男がせわしなくMacBookのトラックパッドを操作している。何をしているのかと横目でのぞくとデスクトップに乱雑に配置された写真を開いたり閉じたりしている。その動作から見ても仕事が出来なさそうだなと思う。向こうでは女性二人が楽しそうに話し合っている。僕は胸の膨らみを見て小さな欲望を感じる。

そんなことを考えるぐらいには回復してきている。

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