検図
設計の仕事は主に、契約してから着工するまで。
自分は実施設計なので、見積関係を精査したり、実施図面を書いて書いて書きまくって死ぬほど書いて、整えて、一式揃えてデータを然るべき所に格納するまでがメインの仕事だ。
納図が終わると「はーひとつ終わったーお疲れ私!」となり、その日はご褒美ビールを開けたりする。
もちろん、契約前や格納後(工事中)にもなんやかんややる事はあるのだが、やはり納図の日が一番達成感があるかもしれない。家が完成して引き渡す日もそれなりの感慨深さはあるかもしれないけど、工事監督のほうがそれは大きいんじゃないかな。
営業は「契約」、設計は「納図」、工事は「引渡し」がご褒美ビールのタイミングだと思う。
納図すると、そこから工事手配や日程調整、各職人さんの工期を押さえたり「発注」が始まったりする。
各部材や金物、鉄筋の拾い出しやなんかも一斉に始まるので、図面が間違っていたり不整合があったりすると大変な事になる。
発注する部署や担当から「これ、矩形図と仕上表、どっちが正ですか💢」などと質問がきたりする。すみません。ごめんなさい。全てわたくしの不徳の致すところでございます。
もちろん間違えようと思って間違えてる訳じゃないんだけど、何度見返しても間違いというものはあるもので、人間がやってる事なのでなかなかそこは難しい。ましていくつもいくつも案件を持っていると自主チェックまで気が回らない。(いいわけ)
そこで「検図」という人が存在する。
出版社で言う所の校閲ですね。
間違いを見つけてくれたり、おさまってないところを指摘してくれたりする。
弊社にはスーパー検図の人がいて、この人がとにかく凄い。誰も気が付かなかった結構重要な所に気付いてくれたりする。ベテランで、元々設計士なんだけど素行に問題があって検図の部署にいる。お客さんや営業とトラブルがたえなかったらしい。
たしかにちょっと頑固で、言い方もキツいし、嫌ってる人も多い。悪口も少なからず耳に入ってくる。
でも、凄い助かってて。
私も何度も助けて貰った。
着眼点が流石だし、技術的な所や工事・発注者目線での指摘はなるほどと思う。私も不勉強で至らない所も多いし、そもそも知識が無くて気付けない間違いもある。(間違いを間違いと認識出来ない)
そういう所を遠慮なくバッサバッサ指摘してくれる所とか、その人に見られると思うから自己チェックも厳しくなる(予防効果絶大)って思ってる。
……っていう話を、本社から来た人にだいぶ前に話したんですよね。そしたらその人がスーパー検図の人にそれをちゃんと伝えたらしく。先日会った時に「めちゃくちゃ喜んでたよ」って言われてえー!ってなった。嬉しい。良かった。そうか、伝わったんだ、それ、てなった。
ちゃんと仕事してる人が、ちゃんと感謝されたり評価されたりしてほしい。
能力のある人を、素晴らしい人を、多少の欠点があったとしてもそんなのはドンマイ!にして欲しい。
そのくらいの余裕でいきましょうや、皆の衆。
伝えてくれた人の伝え方が良かったんだと思うけど、貴方は皆の役にたっていますよ、というのは大人になってもいつでも誰でももっと言われていいと思う。
気恥ずかしくて言いにくいけど、もっと言っていこ、って思った。