椎名林檎の楽曲における丸サ進行について

概要

椎名林檎, 丸サ進行多くね? という言説を耳にしたことがありませんか? 実際本人がそれでしか曲を作れない的なことをどこかで言ってたらしいし[要出典], 一つのコード進行の名称になるほどの曲を作った人がその進行を使いまわして何も悪いことはない[独自研究?]のだけれど, 僕は椎名林檎信者なので, 椎名林檎が馬鹿の一つ覚えみたいにして曲を作っているといういらぬ誤解が生じ得ないように, ここに調査したいと思います. それでしか曲を作れない? そんなの公式が勝手に言ってるだけだろ[この記事は中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、議論中です。].

ということでこの記事では椎名林檎の楽曲のコード進行について調べていきます.
対象とする楽曲は椎名林檎の7枚のオリジナルアルバム(無罪モラトリアム, 勝訴ストリップ, 加爾基 精液 栗ノ花, 三文ゴシップ, 日出処, 三毒史, 放生会)の収録曲及び東京事変の6枚のオリジナルアルバム(教育, 大人, 娯楽, スポーツ, 大発見, 音楽)の収録曲のうち作曲者名に椎名林檎が含まれているもののみとします. なんか少ない気がするな. 椎名林檎はオリジナルアルバム以外の活動が多いんですよね. そこも入れ出すと膨大な量になるので許せサスケ. また今度な. 東京事変についてもcolor barsと深夜枠とニュースくらいは入れてもいいんじゃないかと思ったけどめんd… オリジナルアルバムのみで統一したかったので割愛します. もしやる気と元気のある方がいらっしゃれば僕の代わりにやっておいてください. ちなみに僕はアルバムとしては平成風俗が一番好きです.

そも丸サ進行って何さ?

この進行には非常に多くのバリエーションがあることが一般に知られていますが, どこまでを丸サ進行に含めるかという話には興味がありません. この記事では一応IV(M7)→III(7)→VIm(7)(→Vm(7))→I(7)という進行を丸サ進行の定義とします. ()内はあってもなくても良いものとします. が, 結局筆者がどう感じるのかというところを第一にしていきますので悪しからず.
丸サという言葉は椎名林檎の不朽の名曲, 丸の内サディスティック(1999年)から来ています. なお(just the two of us進行)という併記がなされていることが多いこの進行. 丸サより先に発表された, この進行が特徴的な楽曲 Just the Two of Us(1980年)が由来になっています. どっちもまんまやん. Just the Two of Us以前にもこの進行を使っていた曲があるらしいですが, 何にせよ我らが椎名林檎が丸サ進行の開祖であるというわけではないんですね. 丸サ進行の起源が丸サじゃないってこれもうわかんねえな.

曲の中で丸サ進行を見つけたらボタンを早押しするような気持ちで記事を作っていきます. オタクなので曲の進行について何かしらのコメントもつけてます.
調はすべてメジャーであるとみなします.
なんかわかんねえことあったらSoundQuestなどを見てくださいね.
基本的に先ほどの定義を基にカウントして行きはするのですが, 所詮は正確さの保証されない個人の耳コピに基づく検証なので結局はお気持ちになってきます. ご了承ください.
怪しい時は繰り返し現れているかも判断材料にしていきます. 異論などございましたらコメントしていただけるといいんじゃないでしょうか. 僕の代わりに精密な耳コピをして記事を書いていただいても構いません. というかそうしてくれ. お願いします… 耳コピあんまり自信ないんですよ…
ではいきましょう.

無罪モラトリアム

・正しい街 丸サ進行なし. ポップスのお手本みたいな進行が集まっている. これをファーストアルバムの1曲目に持ってくる実力よ…
・歌舞伎町の女王 なし. 惜しいのはちょくちょくあるけどね. それにしても曲の中盤で全音上へ転調する構成といいVmから始まるサビといい, 只者じゃねえ感が半端ないな. 実際只者じゃなかったのでバカ売れしました.
・丸の内サディスティック Bメロとベースソロ以外全部丸サ進行. Bメロも4-5-1だから丸サの類型という.
・幸福論(悦楽編) なし. まあ合わんだろうしな.
・茜さす 帰路照らされど… なし. サビは惜しいけど違う. 10代が作る進行ではないしなんなら10代が作るイントロではない.
・シドと白昼夢 なし. サビで2-3-6-2という類型は出てるけども.
・積木遊び なし. なんだこの曲は… サビにあたる箇所でIIb一発. こわい.
・ここでキスして。 なし. 若々しい歌詞に元気なサウンド, それに見合わぬ怪進行.
・同じ夜 なし. サビのI→III…からのI→IIIb…はビビるって.
・警告 なし. それにしても全体的に面白いことやってるのよね.
・モルヒネ なし. ラストにふさわしくこじんまりした進行.
1/11
ちゃんと丸サ進行やってるのが丸サしかないという事実. これは主張の立証に希望が持てますな. それともまだ丸サ進行に味をしめていないということなのか. それにしてもファーストアルバムで進行の多様っぷりを見せつけられてしまったわけですが, この先に期待と重圧がかかりますね.

勝訴ストリップ

・虚言症 なし. サビのど頭がIIb-Iとかいう進行で心臓が止まりました. サビ前後でクラシックではよくある下属調転調をやっているんですが, 転調の仕方がなかなかアクロバティックなのもあってかなりびっくりします. それでいて自然. すばら. 無罪になかった裏コード的アプローチも結構見られるのも特徴的かなと思います.
・浴室 なし. サビがこれまた初めて聴いた進行(BΔ7→GΔ9→CΔ7→F#7)なんですけど, イントロからずっとBm→G→Em→C→F#という進行を繰り返しているのでB→GとC→F#に違和感がなくなるのがポイント. G→CとF#→BはP4上行なので言わずもがな. 総じて美しい進行です.
・弁解ドビュッシー なし. サビのフレーズをドビュッシーの亜麻色の髪の乙女から拝借しているらしい.
・ギブス なし. ここにきてようやく普通の進行の曲が. いたって普通(当社比).
・闇に降る雨 これはほとんど丸サ進行なんだけど定義から微妙に外れているのでな… IVとIIIの間に一個挟まってるしIにも行ってないので, カウントは対象外ですかね…
・アイデンティティ 6-1-4-3で純粋な丸サ進行ではないんだけど, 実質そう聴こえるみたいなところがある. さっきのノーカンだったのでこっちはカウントしときますか.
・罪と罰 なし. 進行は極めて一般的(当社比).
・ストイシズム なし. なんだこの曲は…2
・月に負け犬 なし. サビの終わり際3つの進行やべえな.
・サカナ なし. 大体ずっと同じ進行. ラインに凡才肌とか今とかおとなの掟に通じるところがあるか?
・病床パブリック なし. 転調がうっめえ.
・本能 なし. Bメロ惜しかった.
・依存症 なし. この検証やってたらサビの進行I→III→IV→V→V#o→VI→Vm→IV…のIV→V→V#o→VI→Vmの部分が丸サっぽく聴こえてきた. 病気ぢゃん.
1/13
次作カルキとのギャップにビビった人が多かったという話をよく目にするけど, 個人的には片鱗は見えてる気がする.

対象外ではありますが, この辺で発売されたシングル曲である, 真夜中は純潔はごりっごりの丸サ進行なんですよね. 参考までに.

加爾基 精液 栗ノ花

・宗教 なし. 誰か僕に〜と「立て」「撃て」〜とで共通する進行で盛り上がりを押さえつけといてからのサビの解放! キモチエェ!
・ドッペルゲンガー 丸サ進行ではないが彷彿とさせる進行.
・迷彩 純粋な丸サ進行ではないけど, 4-3-6-1が繰り返し出てくるのでカウントして良いでしょう. 丸サ以降でようやく同じ進行を繰り返しまくる曲がきました.
・おだいじに なし. ラインが綺麗ですね〜. 師匠が作ったのかなってくらい.
・やつつけ仕事 なし. 長調と短調が混ざったような不思議な曲.
・茎 サビに丸サ進行(2-3-6-5-1にも聴こえるけども)が含まれてますね. Aメロの進行Dm→Ebがフリジア的でとても良いですね.
・とりこし苦労 なし. なんだこの曲は…3
・おこのみで 近いのはあるんですが, BメロもサビもIへの解決がなくて定義から外れるんですよね… まあ, 丸サ進行のお気持ちを感じたのでカウントしときます.
・意識 なし. サビの6から上行していく進行は初めて聴いた.
・ポルターガイスト なし. 非常に教養のあふれる素晴らしい進行. 転調も流麗. 語り出すと俺の中のポルターガイストが騒ぎ出しそうなのでやめときます.
・葬列 僕を食しても〜が(怪しいけど)カウント対象かな. 宗教と進行が共通している部分があるんですね〜. 浴室のサビと同じ進行があることに今気づきました. 確か先に聴いたのは浴室だったので嘘は書いてないはず.
4/11
一気に増えましたね. ダークなアルバムだからなのか, それとも従来のバンドサウンドと丸サ進行が相性が悪かったということなのか, はたまた味をしめだしたのか.

これまた対象外ではありますが,  この辺でりんごのうた及びこの世の限りがシングルとして発売されています. この世の限りには丸サ進行はないかな. りんごのうたは事変で触れるのでパスします.

三文ゴシップ

・流行 Aメロで匂わせておいてサビで全開. 2始まりなので厳密には定義から外れるけどまあカウントして良いでしょう. ていうか定義を変えろよ. 女の私に〜の進行がとてもよい.
・労働者 なし. AメロBメロサビでテイストを保ったまま違う進行を展開してきてるのえらすぎ.
・密偵物語 サビが6-1-4-3に聴こえるけどかなり怪しい. 半音階下行してる気もする. まあカウントしとこう.
・○地点から なし. サビの終わりが能動的三分間に似てるからあるかと思いきや意外と.
・カリソメ乙女 なし. ぶっちゃけわかんない. Aメロがそれっぽく聴こえるけど多分違うはず.
・都合のいい身体 なし. 今までも散々わかんないって書いてきたけどこれは別格で何やってるかわかんない. 丸サ進行なんてどうでもいいから全人類この激ヤバ曲を聴け. ベースを追いかける限りでは丸サ進行はないです. サビで半音下がる転調をしている疑惑がある. 調判定すら怪しい.
・旬 AメロにVIm→VIbm→Vm→Iとスライドするタイプの丸サ進行あり. サビもシンプルなのでストレートに歌詞が入ってきますね. それにしても前曲との温度差よ…
・二人ぼっち時間 なし. なんというかザ・ビッグバンドって感じの進行.
・マヤカシ優男 なし. 4-3-6まではあるんだが…
・尖った手口 サビがゴリゴリの丸サ進行.
・色恋沙汰 なし. 俺が勝手に密かにカブトムシ進行と呼んでいるIV#dim→IVm→IIIm→IIIb(m)→IIm→V→Iという進行がサビで出てきています. これはサビでIV→V→IIIm→VIm→IIm→V→Iを繰り返した後に必殺技としてリハモする形で用いられることが多い印象にあるのですが, この曲では単体で用いられているのが特徴的かなと思います.
・凡才肌 なし ラインが綺麗ですね〜2.
・余興 なし. Bメロに惜しいのはある.
・丸の内サディスティック(EXPO Ver.) 一応リハモされている部分はあるんだけどまあ当然入ってきますよね. カウントはしておきます.
4/14
ほとんどジャズというかブラックミュージック一色になりましたね. 当然相性の良い丸サ進行も登場頻度が上がってくるわけですがそれでも多いっていうほどじゃなくね?

日出処

・静かなる逆襲 なし. イントロやサビはVIm→II→IV→IIIの類型. Cメロは3-1-6-4と1と6が逆転してる珍しいタイプ.
・自由へ道連れ なし. IIm→III→VIm→VIならあるけど.
・走れゎナンバー ちゃんとIに行ってるかは怪しいところがあるけど全体通して丸サ進行の空気が占めているのでカウントします.
・赤道を越えたら これも定義通りかはあやふやではあるけどそこかしこでそれっぽいものが聴こえるのでカウントします.
・JL500便で またしてもIへは行ってなさげではありますがやはりカウントしたいと思います.
・ちちんぷいぷい うーん怪しい. カウントしとくか…
・今 なし ラインが綺麗ですね〜3.
・いろはにほへと イントロから6-1-4-3の連続. むしろサビが丸サ進行ではないというパターン. まあサビ終わりも4-3で準備してるんだけどな. 途中で面白い連続転調をやっている.
・ありきたりな女 なし. かなり調の感覚が曖昧になるところをめちゃくちゃポップに歌い上げる. いい進行だ…
・カーネーション なし. 途中のFメジャーからDメジャーに戻る流れが綺麗すぎて笑った.
・孤独のあかつき(信猫版) なし. ほっとするような普通の進行(当社比).
・NIPPON なし. でもI→VIIdim→III→VIm→Vm→Iは丸サ以上にみんな大好きだと思う. n回言ってるしn+1回目も言うけど冒頭のメロディがコード一発だったのが最後になってハーモニーを伴って現れるの最&高ですな.
・ありあまる富 スライドタイプがそこかしこにある.
5/13
ポップへの志向がかなり強いアルバムになっており, それに伴ってか丸サ進行の影が爆増しましたね. これは雲行きが怪しくなってきたぞ… 
初めて聴いた椎名林檎のアルバムがこれだったんですが, 各曲間の繋がりの滑らかさに本当に驚いたものです. シンメトリーもないしベスト盤的なファンサ精神を感じる.

三毒史

・鶏と蛇と豚 サビで典型的な丸サ進行. イントロで経ぶち上げといてこのサビを持ってくるセンスよ.
・獣ゆく細道 なし. 惜しく聴こえるがさすがにVIIφとIVを同一視はしたくないしな.
・マ・シェリ なし. 今までの進行を抽出してヘンテコなメロディつけましたみたいな曲. 多分歌いこなすのめちゃくちゃ難しいと思う.
・駆け落ち者 なし. なんだこの曲は…4
・どん底まで なし ここまででありそうでなかった第5音が上昇していくタイプのクリシェ.
・神様、仏様 なし. ごめんなさいよくわからないです. コード感が希薄なのであれだけど多分定義通りの進行はなさそう?
・TOKYO なし. サビは2-5を基本としてるんだけど時折なんだこれはという和音が入ってきてる. そこらの丸サ進行使ったなんちゃってジャズ風みたいな曲ではなくこれは本物のジャズ(炎上を招く発言). それにしてもジャズらしく進行のほとんどが4度上行と2度下行で出来ているのにめちゃくちゃ複雑になっていてすごいし, あんな複雑なメロディを歌えるのもすごいし, それでいて自然に聴けるのがすごいですね〜. すごすぎてすごいとしか言えない.
・長く短い祭 椎名林檎=丸サみたいなイメージの原因はおおよそ丸サとこの曲だと思っている. でもサビ以外の進行がこりっこりなのは流石としか言いようがない. Bメロはカブトムシの類型でまだ典型的な方ではあるけどAメロのGm9→Bm9→BbΔ9→DΔ9みたいな進行は初めて見るかも. それにしても綺麗.
・至上の人生 なし. 全体的にちょっと珍しい(当社比)進行で進行していく. ロックらしいというかジャズ的でないというか.
・急がば回れ なし. 長調と短調の混ざったような不思議な曲2.
・ジユーダム サビに入ってはいるけどあまり強調されている感じはしないな. あくまで重点はカブトムシ進行の方に置かれている気がする.
・目抜き通り サビで惜しげもなく. なんというかザ・ポップスって感じの進行.
・あの世の門 なし. 重々しいクワイアにタンゴをぶつけるセンスよ.
4/13
圧倒的美意識の塊, 至高の領域みたいなアルバム. このあたりまでくると進行を使いまわしてるかどうかなんてどうでも良くなってくるみたいなところはある.

この後は執筆時点ではベスト盤やリミックス盤が出たり浪漫と算盤 TYO ver.が出たりしているくらいです. 椎名林檎先生の今後のご活躍にご期待ください.

[2024/6/3追記]
なんというかこうあまりにも「美」なので高々1つのコード進行を使っているかいないかなんてマ〜ジでどうでもいいんでこの追記分も書くかどうか迷ったんですけど,聴いたのに触れないというのも失礼かと思ったので書きます.でも語ることは特にありません.音を聴け音を.

放生会

・ちりぬるを なし. 全部僕の好きな進行でできている.
・私は猫の目 サビで6-1-2-4-3-6-…みたいな進行はしている. そんなことより何回転調すんねんというツッコミを.
・生者の行進 なし. ベースがじっとしている瞬間がない…
・人間として なし. 最果てが見たいと人生は夢だらけの正統進化みたいな.
・初KO勝ち 6-1-4#-4-3という進行がある. めちゃくちゃ私事で恐縮なんですけど2023/12/7に録った作曲用のボイスメモにこれと同じ進行(キーも同じ…)があることに気づきました. 嬉しいような悲しいような…
・公然の秘密[album ver.] なし. このメロディを伴奏なしで歌える人は音楽の才能ありそうなので作曲やるといいと思いますよ.
・浪漫と算盤[TYO album ver.] なし. Aメロそれっぽい響きはするけどVIm→#IVm→IV→III系でIが裏返っててちょっと違う. コードの構成音をなぞるだけのメロディはダサいという持論がこの曲のサビ前のblkによって破壊されました.
・茫然も自失 なし. 常々思っているけど丸サ進行より多用してる進行絶対あるからな???
・ドラ一独走 なし. 私シンプルな曲ですけど? みたいな顔しといてところどころぶっ込んでくるのでマジで油断ならない.
・さらば純情[album ver.] なし. 全部僕の好きな進行でできている2.
・余裕の凱旋 なし. もしかするとメジャーコード縛りとかして遊んでらっしゃる?? その後の展開も相まってアルバム中最もあたおか(褒めてる)な曲です.
・いとをかし[album ver.] なし. 全部僕の好きな進行でできている3.
・ほぼ水の泡 C→B→Emみたいな進行はあるけどそういうことじゃないやろ. それにしてもごちそうさまでした. 美味しかったです.
2/13
三文ゴシップあたりからやりたかったであろうことをとうとうやったんだな〜という感じ. コード探ってて過去の自分に言いたいことが出てきたんで言っとくと, どんなコード進行かよりもコードの上にどんな音を乗せるかの方が大事らしいですよ.


さてここからは東京事変を見ていきます. 対象でない楽曲についてもシングル曲やつべにMVあがってる曲などは軽く触れていこうかなと思います.

教育

・林檎の唄 なし. 歌舞伎町みたいに惜しい感じはあるけど違う.
・群青日和 作曲 H是都M
・入水願い なし. サビ以外が浴室のような3度下行, サビが今のような2度上行でおおむね統一されていてよい. サビ以外のたまに挟まるクオリティチェンジが美味しい.
・遭難 なし. あってもおかしくないけどね.
・クロール パワーコードみが強いのでなんともいえないところはあるけど, まあ雰囲気は感じ取れるのでカウントしますか.
・現実に於て 作曲 H是都M
・現実を嗤う なし. サビはほとんど丸サ進行なんだけど, 一応6-2-4-3の変形みたいなことをやっているので外します.
・サービス 作曲 H是都M
・駅前 なし. よくわからないけどかなり面白い進行をしている気がする. dimを使った転調っぽいのが聴こえるのでかなりクラシカルなことをやっているのかもしれない.
・御祭騒ぎ なし. サビ以外は二つのコードを繰り返しキメで別のテンションコードを挟むくらいに動きを抑えておいて, サビで爆発! キモチエェ!2 サビはカブトムシ進行でやはり必殺技としてリハモすることなく単体で使っています. ラスサビ前はまた繰り返しパートに入るのですがそれ以前とでキメのコードを変えていますね(少なくともラがフラットかナチュラルかという違いが確実にある).
・母国情緒 なし. 非常に師匠みを感じるラインですな.
・夢のあと なし. 転調がクソキレイ.
1/9
無罪や勝訴とやっていることはあまり変わらないですね. 当然?丸サ進行の数も似てくるというか.
ちなみに群青日和は類型の4-3-6-2なら出てきます.

大人

・秘密 別の進行に混ざって度々6-1-4-3が現れている.
・喧嘩上等 なし. なんだこの曲は…5
・化粧直し サビにIIm→III→VImがあるんだけど頻度も多くないしカウントはしないかな. 間奏の進行が特に好き.
・スーパースター 作曲 亀田誠治
・修羅場 adult ver. なし. 惜しいところはあった. イントロAメロサビが同じ進行でBメロと間奏でちょっと変えてくるという構造自体は丸サと全く同じなんですよね.
・雪国 よくわからないところもあるけど最後の方はそれっぽい進行が含まれている気がするのでカウント.
・歌舞伎 サビ?の進行が6-1-4-3そのもの.
・ブラックアウト サビはIに解決する様子が全く観られないのでノーカンとします.
・黄昏泣き なし. 要所要所にそれっぽい和音は挟まっているけど丸サ進行では全然ないです.
・透明人間 作曲 亀田誠治
・手紙 作曲 伊澤一葉
3/8
やってることは三文ゴシップとかと近いのかな.
スーパースターがめちゃくちゃベーシストが作る進行してて面白いです.

娯楽

・ランプ 作曲 浮雲
・ミラーボール 作曲 浮雲
・金魚の箱 作曲 伊澤一葉
・私生活 作曲 亀田誠治
・OSCA 作曲 浮雲
・黒猫道 作曲 伊澤一葉
・復讐 作曲 浮雲
・某都民 作曲 浮雲
・SSAW 作曲 伊澤一葉
・月極姫 作曲 浮雲
・酒と下戸 作曲 伊澤一葉
・キラーチューン 作曲 伊澤一葉
・メトロ 作曲 浮雲
0/0
作曲者に椎名林檎が含まれていないので非常にらk… 個性的ですね.
OSCAは… 何やってるのかわからん. ややブルースみがある…?
キラーチューンも… 何やってるのかわからん. 事変は全体的にそうなんですけどこういう曲は特にベースが暴れまくってて和音の特定が本当に難しい. それでいてちゃんとキラーチューンなんだから本当にすごい.

スポーツ

・生きる  作曲 伊澤一葉
・電波通信  作曲 伊澤一葉
・シーズンサヨナラ 作曲 浮雲
・勝ち戦 なし. ベースラインクリシェ.
・FOUL 作曲 浮雲
・雨天決行 作曲 伊澤一葉
・能動的三分間 定義とは外れているけど雰囲気はモロに丸サ進行なのでカウントします. 東京事変=丸サみたいなイメージがあるとすれば原因はこの曲だと思っている.
・絶体絶命 定義そのまんまのやつが来ましたね. 転調の位置がレア.
・FAIR 作曲 浮雲
・乗り気 作曲 伊澤一葉
・スイートスポット サビで丸サ進行が挟まれている. そんなことよりもこの曲の多彩なリハモを聴け!
・閃光少女 作曲 亀田誠治
・極まる 作曲 浮雲
3/4
やってることは日出処に近い気がする. 非常にポップです.
閃光少女はやはりというか非常にベーシストらしいキレイな進行をしておりますわね.

大発見

・天国へようこそ For The Disc なし. 4-3-6はあるんだけどねえ…
・絶対値対相対値 なし. サビの進行がよくわからなかった.
・新しい文明開化 なし. サビのクリシェが特徴的. そこそこレアな二段階転調する曲. かなりレアなテンションがあることでも有名らしい.
・電気のない都市 作曲 伊澤一葉
・海底に巣くう男 作曲 浮雲
・禁じられた遊び なし. こんなにマイナーを押し出すのは珍しい希ガス.
・ドーパミント! BPM103 作曲 伊澤一葉
・恐るべき大人達 定義からは外れていそうだけどこれは入れるべきでしょう. まあだったら天国へようこそも入るべきなんだけどな! そういうもんだろ許せよなー!
・21世紀宇宙の子 作曲 亀田誠治 伊澤一葉
・かつては男と女 作曲 浮雲
・空が鳴っている 作曲 亀田誠治
・風に肖って行け 作曲 伊澤一葉
・女の子は誰でも なし. 丸サ使いまわしがどうとかマジでどうでもいいからこの素晴らしい進行と転調を聴け.
・天国へようこそ For The Tube カウント対象にしないこととします.
1/6
集大成だけあって面白くて強い曲ばかりですね〜. それに応じて耳コピもしんどくなります.
空が鳴っているはゴリゴリの丸サ進行ですね. こんな風にゴリゴリロックな曲にも合うんですね. サビ以外が徹底的に動きを抑えられてサビで爆発している点にご注目. キモチエェ!3

ただならぬ関係と今夜はから騒ぎと永遠の不在証明くらいは触れておくか. まあ3曲とも, 丸サ進行はないんですけどね!
ただならぬ関係はただならぬ進行をしています. 畏怖.
今夜はから騒ぎはBメロがあまり聴かないやつで面白いですね.
永遠の不在証明は結構わかりにくいですが, Aメロがクリシェ的な動き, Bメロがパッシングディミニッシュ, サビが浴室・改みたいな感じで非常にラインが意識されていますね.

音楽

・孔雀 なし. 割と起伏に乏しい. そういうサウンドだからかね. 歌詞の話になるけど帰依帰依帰依はマジで笑った.
・毒味 作曲 亀田誠治
・紫電 作曲 伊澤一葉
・命の帳 作曲 伊澤一葉
・黄金比 作曲 浮雲
・青のID なし. マジでポップスのお手本たる曲だと思っている. それにしてもこんなテンション(#11)をこんなに打ち出す曲は初めて聴いた.
・闇なる白 作曲 伊澤一葉
・赤の同盟 作曲 伊澤一葉
・銀河民 作曲 浮雲 伊澤一葉
・獣の理 作曲 亀田誠治
・緑酒 作曲 伊澤一葉
・薬漬 作曲 伊澤一葉
・一服 曲中ほとんど丸サ進行. これは使いまわし言われても文句は言えな… は?? 途中のパート(なんていう呼称かわからない. "勇気〜"のところ. 伝われ.)を際立たせるためですが!? 下手くそな揶揄は控えていただけますか!!???
1/3
三毒史と地続き. 事変は難しいわからんと再三述べてはいますが特にこのアルバムはほんっっっとうに厳しい. 対象曲を絞って本当に正解だった.
赤の同盟はマ・シェリやTOKYOがさらにパワーアップして登場! みたいな複雑さ. よう歌えるよな.
話逸れるけど緑酒はあっという間に転調しまくる華麗な進行になっております. これもまともに歌うのめちゃくちゃ難しいと思う. Aメロは丸サ進行の変形な気がしている.

この後は執筆時点ではベスト盤が出たりしている感じです. 東京事変よ, 止まるんじゃねえぞ…(解散するなよの意)

仏だけ徒歩の話をしたいのでするんですが, なんですかあれは? わからないのに話を始めるな. メロディが半音階進行だらけでクソほど歌いにくいのにあんなにポップに作り上げる匠の技についてはひとしきり感服致しているところだとは思いますが, 今回やべえなと思ったのはサビの進行です. Am→C→B→Bbっていう進行なんですがこれに類する進行は歌ものでは知らないですね. 短2度下行を3連続するような激レア進行をよりによりにもよってサビのメロディ乗せるか普通…? この突拍子もない進行を突拍子のある進行たらしめる工夫がAメロでなされていて, AメロはAm→C/G→D/F#→Dm/Fというような2度の下行を繰り返す進行なんですが, これらのルートの音がばっちりサビの進行の各コードの構成音になっているんですね! 匠… 丸サ進行はなさそうですがもはやどうでもいいな. 落ちサビのリハモも素敵です.
追記: サビの進行なんですが, お馴染み丸サ進行の4-3-6-1を6から始めたもので, 4と3で裏に行ってるという解釈が最もしっくり来ることに気がつきました. 「いつもの椎名林檎」に二捻り加えてきているという感じですかね.


まとめ

対象曲全30曲中118曲(25%くらい)が丸サ進行の曲です. 誰がこれでしか曲作れないって?
とはいえ惜しい怪しいが多く,カウントの判断もガバガバなのでアレですが.
よく聴かれていそうな曲にはだいたい入っているような気がするので椎名林檎=丸サ進行の印象を持つのも頷ける感じはします. 一応各アルバムに最低1回は入っているしな. 日出処にあるように, 椎名林檎が曲をポップに仕上げようとしたら, 自然であろうとしたら丸サ進行が選択肢として出てきやすいのかな〜という想像をしています.
あまりこういった指摘をみたことがないですが, 丸サ進行よりも2-5-1-4-7-3-6とか上昇型のクリシェとかに耳が向きますね. 多分椎名林檎の楽曲の本質は丸サ進行ではない. もっとみんな研究しろ. 研究して発表してくれ.

さてそろそろ書くことがなくなってきたので終わります. 完走()した感想ですが, めちゃくちゃ複雑な曲たちを大量に頭に流し込んだので, とにかく疲れました. くぅ〜. 心が乾燥しています. 各曲につけるコメントもだいぶ雑になってますが許してください.
今回紹介しなかった, 省略した曲の中にもすっげえのたくさんあるから聴いてクレメンスという感じです.
観測には慎重を期して, 誠意を持って取り組みましたが, 正確である保証はありませんことを再度述べておきます. 耳コピむずすぎるんじゃあ! 加減しろ! やっぱするな! もっと難しくてそれでいてポップな曲を永遠に作ってくれ!!!!!
以上, 一介の信者のOTK文章でした. ありがとうございました.

更新履歴
2023/2/23 投稿
2023/3/1 仏だけ徒歩を"完全に理解した"ので追記
2023/8/14 一部の複雑な曲について(ここがすごい!的なことを)追記
2023/12/7 仏だけ徒歩が"ちょっとわかった"ので追記
2024/6/3 放生会鑑賞につき追記

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