ザビ200113

2020.01.13_the XAVYELLS

昭和を繋げる令和の旅路。はじまる。


昨年11月、10枚目のアルバム『X(テン)~GO FOR THE GOLD~』をリリースしたthe XAVYELLS(ザ・ザビエルズ)。同日の記念ライブでは、グループ最大動員となる約750名の観客を前にし、楽曲たちのお披露目を遂げた。
そして2020年はこのアルバムを全国に届けるツアーからスタート。
神戸を中心に活動する彼らだが関東での公演を待ち望むファンも多く、前日の横浜公演は完売。この日の銀座公演については【晴れの日】にもかかわらず欠席してライブに足を運んだ新成人もおり、喜びの反面「荷が重い!」とメンバーが汗をかく場面もあった。

ライブの1曲目は<GOLD FINGER `99>。以前リリースしたアルバムにも収録されているが、新メンバーNeetaさんの声が加わり、生まれ変わった彼らをより感じられる、アルバム中のキーとなる1曲なのではと思う。そういう意味でも相応しい、熱い幕開けだ。
1部の中で最も驚いたのは【女性の涙】に焦点を当てた2曲を届けたことだ。「MCが面白い」との理由で女性からの人気も高いが、【恋愛】というカテゴリーにおいて女性心を掴みにいくようなシーンを、少なくとも私は初めて見た。
別れにすがり本音をさめざめと歌い流すHummerさん。それを流す理由を未だ知らない、若さ故のクールさを醸すQuoさん。対称的な心情を並べた歌声に感嘆した。


2部はゴールドを基調にした衣装に替えて登場。
さて、アルバムのサブタイトルであったり、1部の1曲目であったり、おまけにゴールドの衣装。ヒントはたくさん落ちているのだがお気づきだろうか。今作で彼らが用意したアーティストは【郷ひろみ】一択。彼のヒット曲といえば、「ジャパーン!」「アチチ!」世代の私。そんな彼のしっとりと儚げでありながら、一方で火遊びに興じる姿も見える楽曲たちを初体験。また、そんな楽曲をカバーするthe XAVYELLSの面々にも妙にドキドキ。
1972年アイドルとしてデビューした郷ひろみだが、1980年にはそこから脱却を始める。
その転機となった1曲<モンローウォーク>Rennさんが歌い出し、いよいよ郷ひろみワールドへ。長身の彼がムーンウォークをさらりと繰り出すと、観客から「Whoo~!」と歓声が飛ぶ。対してややぽっちゃりのQuoさんが挑戦すると、メンバーから「ただの後ろ歩き!」とツッコミが飛ぶ。
そんなQuoさんだが<ケアレスウィスパー>を、後悔を吐き出すように歌い上げて魅せる。キメ直したかのように思われたが、その空気を遠慮なく割って入るNeetaさんとGottiさん。2人がユニークに歌い踊る<林檎殺人事件>だ。加入してまだ半年ほどのNeetaさん。その若さとさわやかさは、アイドル時代の郷ひろみのナンバーによく似合う。ファンからの評判も上々。今まさにアイドル街道を走っているような彼だが、MCでは「ご飯のみならずコートまでもねだるようになった」という情報をリークされ、可愛らしい笑顔が曇っていく場面も。時に容赦のないメンバーいじり。これぞthe XAVYELLSという面白さも忘れない。


続けざまに<2億4千万の瞳>、<哀愁のカサブランカ>を歌い、上げて下げて笑わせて…と後半のラインナップでは異様に気分を振り回され、気づけば【色男】な6人がそこにいた。この振り回しに欠かせなかったのが、ボイス・パーカッションJoeさんの打つビート。【古き良き】から追求したあの時代をそのままに感じ、ステージと客席で伝え合う鼓動が非常に心地良かった。
本編のラストは<Y.M.C.A>を会場全員で踊る。恥ずかしがるお父さんたちもきっちり巻き込んで、それぞれのノリとフリでパッションを浴びせあう。【若いうちは~】と歌うけれど、老いにも若きにも音楽は普遍的な希望を感じさせてくれるツールだ。そして、いつか在った音楽を探る機会を与えてくれるthe XAVYELLSというグループもまた希望だ。


Hummerさんが「今日も残業かぁ~」と、笑いを誘いステージに再登場。アンコールは2回に渡った。オーラスはオリンピックの盛り上がりを見せる日本にちなみ、レパートリーの中から<栄光の架橋>を。2020年は始まったばかりなので先走ったことを書くようだが、2021年、the XAVYELLSは結成10年となる。冒頭で最大動員数を挙げたが、彼らがそのライブで目指していたのはあくまでも完売であった。またこの1年、少しずつの積み重ねで自己ベストの【金】を狙いに行くメンバーの姿が頼もしく映ったライブだった。そして「お笑いアカペラだ」と自負してきた彼らだが、グループとしても個々としても成熟してきた様が感じられた。【笑い】という関西のグループならではの武器も携えてステージを肥えさせてきた彼らだが、ほどよく削ぎ落とされ、これからの【格好良さ】の片鱗を拾えた気もする。ここからがx(未知数)のアカペラグループ。そういえば、スペルの頭文字もXだ。この解が何者であるかを、今後も楽しみにしていたい。

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■SET LIST
―1st―
1.GOLD FINGER `99
2.All of Me
3.Mona Lisa
4.Tonight
5.明日があるさ
6.ハリウッドスキャンダル
7.酒場にて
8.飾りじゃないのよ涙は
―2nd―
1. モンローウォーク
~※HAPPY BIRTHDAY(thema music:Cutie HAGE)※~
2. ケアレスウィスパー
3. 林檎殺人事件
4. 2億4千万の瞳
5. 哀愁のカサブランカ
6. 心の瞳
7. ナオミの夢
8. Y.M.C.A
―アンコール―
1. Conga
―アンコール2nd―
1. 栄光の架橋

※来場したお誕生日月のお客様をお祝いするコーナー。毎回Quoさんがハゲをテーマに替え歌を制作し、オープニングのテーマとして歌う。夜な夜な「ハゲ」を連呼しながら練習していたところ、ご近所さんに「罵声が聞こえる」と通報された事件あり※

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