日本語の秘密基地
ちょっと未来のお話。
どんどんと使い捨てられてゆく日本語を保管、保存するために日本語の秘密基地、ジャパニーズ・シークレット・ベースメント。通称、JSBが創設された。
が、日本人の新語、造語能力は凄まじく、一号基地はあっと言う間に満杯になってしまった。
今日は新しい基地への引っ越しである。担当の谷さんは朝から汗だくで働いていた。
そんな時、世界各地に超巨大な宇宙船が現れる。
次から次へと破壊される世界中の都市。
未知のエイリアンの地球侵略である。
そんな中、ある音声学者がエイリアンがある種の音声が弱点であるコトを突き止める。
が、突き止めた途端、その学者はエイリアンに瞬殺されてしまった。
いよいよエイリアンの魔の手は秘密基地で働く谷さんにまで迫ってきた。
谷さんは引っ越しの準備の真っ最中。打ち捨てられた日本語の山の中で谷は身を震わせていた。
迫り来るエイリアンの攻撃型宇宙船!!
谷さんは目前に迫る攻撃型宇宙船に渾身の力を込めて叫ぶ!!
ガチョーン!!
谷さんの大好きな古語である。
その瞬間、攻撃型宇宙船が大破した!!
ドカーン!!
そうか!! エイリアンの弱点となる音声はガチョーンだったンだ!!
瞬時にしてその情報は世界中に行き渡る。
パリで、ロンドンで、ニューヨークで、
ガチョーン!! ガチョーン!! ガチョーン!!
ドカーン!! ドカーン!! ドカーン!!
こうして世界は救われた。
その後、世界中のあちらこちらに地球を救った英雄、谷さんの銅像が建てられた。
が、その谷さんが日本一のコメディー集団クレイジー・キャッツの谷啓さんの子孫であるコトを知る者はもういない。
ガチョーン!!
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