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辻村深月ファンが選ぶ!辻村作品BEST3

 はじめまして、もの子と申します。突然ですが、私は小説を読むことが好きで特に辻村深月先生の著作が大好きです。今回はTwitterで辻村深月ファンの方々に「辻村作品BEST3」を伺い結果をランキング形式にまとめました。私からのコメントも載せてありますのでこの記事が私の自己紹介代わりになるかと思います。よろしくお願いいたします。

①アンケートの取り方・集計方法

 アンケートはGoogleフォームを用いTwitterで募集しました。対象は「辻村作品を3作以上読んでいる人」です。アンケートの項目については以下をご覧ください。(★が必須項目)

 質問1: Twitterのアカウント名とユーザー名を教えてください。(記述)★
 質問2: あなたにとっての辻村作品ベスト1はなんですか?(選択)★
 質問3: その作品をベスト1に選んだ理由はなんですか?(記述)
 質問4: 質問3で書いていただいた理由を匿名で公開してもいいですか?(選択)
 質問5: 2番目に好きな辻村作品はなんですか?(選択)★
 質問6: 3番目に好きな辻村作品はなんですか?(選択)★

 質問2・5・6の選択肢は2021年末までに書籍化された作品(『闇祓』まで)のタイトルを選べるよう作成しました。短編集については一つ一つの作品のタイトルではなく書籍のタイトルを選択肢にしています。アンソロジー等辻村先生の書かれた部分が一部しかない作品、雑誌掲載のみ等書籍化されていない作品は除きました。

 アンケートを募集した期間は2022年1月6日(木)〜2022年1月10日(月)です。

 アカウント名とユーザー名から同一人物が回答していると分かるものは重複して数えず、全部で33名の方から回答をいただきました。同一人物による複数回の回答は最後に送られたものを採用しています。

 続いて集計方法についてです。辻村作品ベスト1は1票につき3ポイント2番目に好きな辻村作品は1票につき2ポイント3番目に好きな辻村作品は1票につき1ポイントとして集計しました。作品ごとに合計ポイントを出し、ランキング形式で発表していきます。

②結果発表

 全部で37作品ある辻村深月先生の著作を獲得ポイントが少ない順にご紹介していきます!ポイントが同じ作品については出版日が早い順に並べました。出版社と刊行年を表示していますが、単行本と文庫本など複数出版されている場合は先に出版された方を採用しています。

⑴同率27位(0ポイント)の作品

 投票してくださった人数があまり多くないため残念ながら0ポイントの作品が出てしまいました。しかし、0ポイントとはいえ良作ばかりですのでぜひ手に取ってみてください!0ポイントだったのは以下の11作品です。

 『ロードムービー』講談社(2008)
 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』講談社(2009)
 『V.T.R.』講談社(2010)
 『光待つ場所へ』講談社(2010)
 『サクラ咲く』光文社(2012)
 『盲目的な恋と友情』新潮社(2014)
 『きのうの影踏み』角川書店(2015)
 『図書室で暮らしたい』講談社(2015)
 『東京會舘とわたし』毎日新聞出版(2016)
 『傲慢と善良』朝日新聞出版(2019)
 『すきって いわなきゃ だめ?』岩崎書店(2019)

 スピンオフ、エッセイ、絵本といったマニアックな作品がやはり多い印象ですね。この中だと私は『盲目的な恋と友情』『傲慢と善良』が好きです。
 前者はタイトル通りドロドロした作品なので好みが分かれるかもしれませんが、個人的に「友情」パートが共感の嵐だったので印象に残っている作品です。辻村先生らしいミステリー要素も味わえます。
 後者は婚活がテーマの作品です。私はまだ婚活をしていませんが自分の中に潜む「傲慢さ」と「善良さ」をズバリ言い当てられました。タイトルほどドロドロした作品ではなく爽やかさもあるのでこちらの方が手に取っていただきやすいかもしれません。婚活中の方には刺さりすぎるかもしれないので要注意です(笑)

⑵同率22位(1ポイント)の作品

 1ポイントということはその作品を3位に選んだ方が1人いらっしゃるということですね。1ポイントを獲得したのは以下の5作品です。

 『本日は大安なり』角川書店(2011)
 『ネオカル日和』毎日新聞社(2011)
 『クローバーナイト』光文社(2016)
 『青空と逃げる』中央公論新社(2018)
 『闇祓』KADOKAWA(2021)

 この中だと個人的には『青空と逃げる』が好きですね。高知、兵庫、大分、宮城と様々な土地の空気を感じ、自分も旅をしたような気分になれます。いつか聖地巡礼の旅に出るのが夢。読み終わったときに力をもらえる1冊です。

⑶同率19位(2ポイント)の作品

 2ポイントを獲得したのは以下の3作品です。

 『家族シアター』講談社(2014)
 『噛み合わない会話と、ある過去について』講談社(2018)
 『琥珀の夏』文藝春秋(2021)

 毛色が異なる3つの作品が2ポイントを獲得しました!この中だと個人的には『噛み合わない会話と、ある過去について』がダントツで印象に残っています。短編集なのですが、塾講師をやっている身としては「パッとしない子」が本当に怖かった……!あんなにガタガタ震えながら本を読んだことはないです。人間はホラーより怖し。他の収録作品も良作揃いですのでぜひ読んでみてください。

⑷同率15位(3ポイント)の作品

 ついにベスト1に選ばれた作品が入ってきます!3ポイントを獲得したのは以下の4作品です。

 『水底フェスタ』文藝春秋(2011)
 『鍵のない夢を見る』文藝春秋(2012)
 『小説「映画ドラえもんのび太の月面探査記」』小学館(2019)
 『ツナグ 想い人の心得』新潮社(2019)

 まず『鍵のない夢を見る』をベスト1に選ばれた方のコメントをご紹介します。

 初期の幼さが払拭されて、大人の皮肉がガツンと効いた良作だと思います

 初期の作品はいわゆる「青春物」が多く、この方にはそれが幼さとして映ったのかもしれませんね。(違ったらごめんなさい)直木賞を受賞した本作は確かに大人の味わいがあると思います。私は中学生のときに読んだきりなので大人になった今読み返してみたい作品です。

 また、『小説「映画ドラえもんのび太の月面探査記」』がポイントを獲得したことにも注目です。辻村先生は大のドラえもんファンで、映画の脚本を担当したこともあります。この作品はその映画をノベライズしたものです。小説ならではのシーンも書き加えられているので映画を観た方も楽しめると思いますよ。

⑸同率12位(4ポイント)の作品

 4ポイントを獲得したのは以下の3作品です。

 『凍りのくじら』講談社(2005)
 『太陽の坐る場所』文藝春秋(2008)
 『オーダーメイド殺人クラブ』集英社(2011)

 まず、『オーダーメイド殺人クラブ』をベスト1に選ばれた方のコメントを紹介します。

 死に対する高校生の感じ方を的確に捉えていると感じたからですかね。素直に惹かれました。

 私のおぼろげな記憶だと高校生ではなく中学生だったような?どちらにせよ青春時代の気持ちが等身大に描かれた作品です。「殺人」という言葉からゴリゴリのミステリーを想像していると肩透かしを食うかもしれません。

 また、この3作品の中では個人的に『凍りのくじら』が好きですね。先ほども述べたように辻村先生は大のドラえもんファンで、この作品にはドラえもん愛がぎっしり詰まっています。私は中学受験のときに一度ドラえもんから遠ざかりましたが、この作品を読んだ後またドラえもんを観るようになりました。

⑹11位(5ポイント)の作品

 11位は1作品のみとなりました。5ポイントを獲得した作品は

 『ふちなしのかがみ』角川書店(2009)

 ではこの作品をベスト1に選ばれた方のコメントを紹介します。

 辻村作品をあまり読まない私ですが、気まぐれに読んで正解だと思った一冊。爽やかさ一辺倒ではないけど結局青春モノでしょ?という私の勝手かつ失礼な辻村作品への偏見を覆してくれました。馴染み深い現代怪談をテーマにしたゾワゾワする短編集。突き刺さりました。

 このコメントにはなるほど!と思いました。青春物のイメージが強い辻村先生ですが、実はそれ以外にも様々な作品を書かれているんですよ。この方のように「結局青春モノでしょ?」と思っている方、ゾワゾワする話が好きな方、ぜひ手に取ってみてください。

⑺10位(6ポイント)の作品

 ついにベスト10に突入です!6ポイントを獲得した作品は

 『子どもたちは夜と遊ぶ』講談社(2005)

 ではこの作品をベスト1に選ばれた方のコメントを紹介します。

 浅葱に感情移入をしすぎて過去1引き摺った。他の本が手につかないくらい心に残ったから。

 この作品は本当に……感情移入しますよねぇ、引き摺りますよねぇ……。出てくる人がそれぞれ魅力的で、個人的には登場人物の名前も好きです。特に浅葱と月子。綺麗でしょう?
 大学生たちの物語なので大学生の間に読み返したいと思いつつまだ読み返せていません。かなり長いですがその分読み応えもバッチリ!ぜひ読んでみてください。

⑻9位(8ポイント)の作品

 8ポイントを獲得した作品は

 『ハケンアニメ!』マガジンハウス(2014)

 アニメ業界を描いた楽しいお仕事小説です。2022年5月には実写映画も公開されますね。8ポイントを獲得していますが実はベスト1に選んだ方は誰もいないんです。2番目、3番目に好きな作品として選んだ方がたくさんいるということですが、実はこの方々にはある共通点が!まだ紹介していない作品に関わることなので今は秘密です。お楽しみに♪

⑼同率7位(9ポイント)の作品

 9ポイントを獲得したのは以下の2作品です。

 『冷たい校舎の時は止まる』講談社(2004)
 『島はぼくらと』講談社(2013)

 ではまず『冷たい校舎の時は止まる』をベスト1に選ばれた方のコメントを紹介します。

 恐怖で震えながら読んでいたから。

 辻村先生のデビュー作であるこの作品は確かにホラーテイストなところがありますよね。でもだからこそついついのめり込んでしまう……。高校生一人一人の気持ちが丁寧に描かれており青春物としても完成度が高いです。さらに伏線回収バッチリでミステリー要素も楽しめるという……魅力がてんこ盛りの作品です。個人的には1位、2位を争うほど好きな作品でよく人にオススメしています。

 続いて『島はぼくらと』をベスト1に選ばれた方々のコメントを紹介します。

 何度でも読み返したくなる、理想の青春小説だからです!
 都会や山間部ではない瀬戸内海の島、という舞台がいきいきしてました。

 コメントにもあるようにこの作品は瀬戸内海の島を舞台とした青春小説です。辻村先生は地方の閉塞感に焦点を当てることも多いですが、こちらは地方を肯定的に描いた爽やかな味わいの作品となっています。

⑽同率5位(11ポイント)の作品

 11ポイントを獲得したのは以下の2作品です。

 『ぼくのメジャースプーン』講談社(2006)
 『朝が来る』文藝春秋(2015)

 ではまず『ぼくのメジャースプーン』をベスト1に選ばれた方のコメントを紹介します。

 初めて読んだ辻村作品。正しさとはなんなのか。深く考えさせられた。

 やはり初めて読んだ辻村作品は印象に残りますよね!正しさとは、復讐とは、命とは……様々なことを考えさせられる非常に重い作品です。まだ小学生である「ぼく」が精一杯考えて出した結論をぜひ見届けてください。
 先に『子どもたちは夜と遊ぶ』を読んでおくことをオススメします。

 次に『朝が来る』をベスト1に選ばれた方のコメントを紹介しますね。

 どれだけ頑張っても悪い方向に転がっていってしまって、堕ちていく主人公の気持ちがものすごく分かる。分かるからこそ読むのが辛くもあるけれど、それでも最後の結末を何度でも味わいたくなる。心情描写のリアリティが他の作品よりも頭一つ抜けていると思っています!

 養子縁組というテーマのせいかこの作品にはとてもリアリティがありますよね!養子縁組について初めて知ることも多く興味深かったです。
 2020年10月には実写映画が公開されています。絶対に観たいと思っていたのですが上映館が少なく上映期間も短かったので観られませんでした……。いつか必ず観ます!

⑾4位(16ポイント)の作品

 ここからは全て単独の紹介になります!16ポイントを獲得した作品は

 『名前探しの放課後』講談社(2007)

 ではこの作品をベスト1に選ばれた方々のコメントを紹介します!

 あの最後の展開は予想できなかった。お〜!という感じでした。
 伏線回収が綺麗なだけでなく、誰かのために一生懸命になるいつか達がかっこよくて、とても感動したから。
 世界観の繋がりによって紡いできた要素や一部のキャラクターの集大成のように感じて好きだからです。読者を驚かせる仕掛けに満ちているだけではなく、ストーリーも素晴らしい。 

 この作品は伏線回収が凄いんですよね!作品内の伏線回収もさることながら、作品をまたいだ伏線回収もあるのがファンにはたまりません!ただし、その分初心者にはおすすめしづらい作品となっています。『子どもたちは夜と遊ぶ』→『ぼくのメジャースプーン』→『名前探しの放課後』の順番で読んでくださいね!
 コメントにもあるように、伏線回収だけでなくキャラクターやストーリーも素晴らしい作品です。

⑿3位(21ポイント)の作品

 ついにベスト3の発表です!21ポイントを獲得した作品は

 『ツナグ』新潮社(2010)

 では、この作品をベスト1に選ばれた方々のコメントを紹介します。

 これがきっかけで辻村深月さんの作品を読むようになりました!
 オムニバス構成も好きだし、思わぬ伏線回収に感動する。
 辻村作品の中で1番泣いたから
 私の中での最初の辻村作品ですが、これで一気に辻村さんが好きになった思い出深い作品だからです。
 読みながらずっと泣いてしまっていた作品です。 

読書感想文フェアなどでよく取り上げられるせいか、これが初めての辻村作品という方も多そうですね!オムニバスといいますかいわゆる連作短編の形を取っているので初心者にも読みやすいです。
 「死」がテーマということで「泣いた」というコメントが複数寄せられています。死に対する考え方は年月と共に移り変わると思うので人生をかけて繰り返し読みたい1冊ですね。
 ちなみに同率15位(3ポイント)に入っていた『ツナグ 想い人の心得』はこの作品の続編です。

⒀2位(32ポイント)の作品

 3位と10ポイント以上の差をつけて堂々の2位!32ポイントを獲得した作品は

 『かがみの孤城』ポプラ社(2017)

 では、この作品をベスト1に選ばれた方々のコメントを紹介します。

 SFとしてもワクワクしたし、ミステリとしてもすごく楽しめたから。あと、どの人物も深く掘り下げられており、弱さもあるが魅力あるところがいい。
 ミステリーとしても、ファンタジーとしても、感動小説としても素晴らしい。
 涙ありミステリあり、読んだ人をあたたかく包んでくれる本だからです。全ての人に好かれる本はありはしないということは、わかっていますが、それでもどんな人にも薦められる本だと思います。
 すごく共感できる作品でした。
 思い出深い作品だから

 本屋大賞を受賞し圧倒的な知名度を誇る本作、実は1位になるのではないかと予想していました(笑)コメントにもありますが、ファンタジー、ミステリー、青春、感動といった様々な要素を含んでいるのでどんな人にも薦めやすいです。私は「ブックサンタ」という企画でこの本を寄付しました。私にとっても思い出深い1冊です。

⒁1位(35ポイント)の作品

 2位とはわずか3ポイント差でした!35ポイントを獲得して1位に輝いた作品は

 『スロウハイツの神様』講談社(2007)

 では、この作品をベスト1に選ばれた方々のコメントを紹介します。

 まさかと思わせる見事な伏線回収と感動のストーリーが秀逸
 上巻と下巻で私の温度がガラリと変わった。上巻でそこまで上がらなかったのに下巻でテンションダダ上がりでした。
 なんといっても、終盤の怒涛の伏線回収が素晴らしいです。そこで繋がるのか、という驚きを与えてくれる書き方に感動しました。伏線の緻密さをドヤと見せつけるのではなく、物語の筋書きの中で完全に活かしきって、大感動につなげているところが特にすごいです。
 大切な人を想う気持ちって深くて清いものだと本作を読んでいると思います。初めて読んだとき、最終章のある一言にやられてしまいました。
 計り知れない愛に感動したから
 共感できるポイントが多かった為
 伏線回収の素晴らしさ!
 初めて読んだ辻村深月さんの作品なので、思い入れが深いです。また、主要人物が多いため、辻村さんの特徴とされている深い心理描写を存分に感じることが出来る作品だと思うからです。
 ミステリーっぽくない印象で読んでいたのに、下巻になってから始まった怒涛の伏線回収に鳥肌がたちました。ひたすらに幸せな伏線回収が続いて本当に好きな作品です。自分の思っていることを言葉にしたり行動に移したりして相手に伝えて、影響しあいながら成長していくことの素敵さを感じる作品だなと思います!

 熱いコメントの数々ですね!実は33人中10人もの人がこの作品をベスト1に選んでいます!コメントにもありますがこの作品はとにかく「愛」の物語。伏線回収もきっちり活かしたストーリーが秀逸です。
 ただし「上巻でそこまで上がらなかった」というコメントも。実はこの作品、上巻で挫折する人も少なくないんです。できればラストの大感動まで頑張って読んで欲しいところですが、しんどいと感じた人は無理しないでくださいね!他にも魅力的な辻村作品はたくさんありますから!(笑)ですが、本作がたくさんの人を虜にした名作であることは間違いありません。
 ところで9位(8ポイント)に『ハケンアニメ!』がランクインしていたのを覚えていますか?実は『ハケンアニメ!』に票を入れた人全員がこの作品をベスト1に選んでいるんです!この2つの作品には繋がりがあるのでぜひ合わせて読んでみてくださいね。

③ランキングまとめ

 ではここで今までのランキングを表に整理します。最初からこれを出せよという感じですね(笑)ぜひ参考にしてください!

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④おわりに

 ここまでの文章を長々と読んでくださった皆様、アンケートに回答してくださった皆様、本当にありがとうございます。この記事が辻村作品を手に取る助けになれば幸いです。
 最後にもの子自身の辻村作品BEST3(集計には入れていません)を紹介して終わりにしようと思います。

 私の辻村作品BEST3は

 1位:『冷たい校舎の時は止まる』
 2位:『名前探しの放課後』
 3位:『かがみの孤城』

 今後変わっていくかもしれませんが今のところはこんな感じです。比較的上位の作品ばかりですね(笑)

 ではではこれで本当におしまいにします。お互いに良い読書ライフを!

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