ある夜、彼女は明け方を想う

「ごめんね、ちゃんと、すごく好きだったよ…。」

この飾り気のない、無防備で率直な言葉。

どこかやりきれない、それを感じさせる印象的なセリフ。この言葉にどんな想いを託して吐き投げたのか…考えさせられる

倫理的な話は横に置いておいて、この言葉を伝えるまでには幾多の矛盾と葛藤に打ちひしがれて出てきた精一杯な想いである。

無論、それは克己なものであって、向こう側にいるであろう相手にとってはどう受け入れられるかは別問題である

故に、中途半端な優しさ、慰めにもならない同情ならば、自分の本当の気持ちを伝える。
これまでの共にした時間を無くして、あなたを無くして、日常の明るい時間を見出すことなど考えられなかったのだろう。…そこには「たしかな光をみてしまったのだ」

結婚と恋愛は一概的に結びつくもではないのだ

将来を約束して何って言える決定的な不足や不満があるわけでもなくとも、偶発的に人は出会って、人を本気で好きになって次第に恋愛感情は肥大化していく

それらの感情や想いの序列を決めるべく、運命論を引き合いに、契りに対して張り合わせるのは不適切だと個人的に感じる

“結婚したらもう人を好きになる事などない”なんて高尚な機能は人には備わっていない。※だからこその倫理やモラルが存在する

故に倫理モラルを度外視に非難轟々を覚悟して言えば、その感情すら尊く美化すらできる。ただ、それはあくまで当事者同士だけのものであり、決して認められるものでもない。

だからこそ…
明け方にそれを想うのかもしれない

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