『ぜんぶ、すてれば』を読んでみた

今回のレポートは、本書が名言+エピソードという形式でまとめられているため、それぞれの見出しに対して、その内容と自分の見解を記載していきます。

本書の著者は、中野善壽(なかの・よしひさ)、75歳。伊勢丹、鈴屋で新規事業の立ち上げと海外進出を成功させるなど、大規模な改革を実施し、老舗の大企業を機動力溢れる組織へと変貌させた人物です。

その手腕と独自の考え方、そして人柄により、各界の著名人に慕われている。一方で、メディアにはほとんど姿を現さず、社員にさえ、本当に実在するのか疑われていた、異端の人物。その生き方の根幹にあるのは「何も持たない」ことだと語ります。何も持たないからこそ、

過去に縛られず、未来に悩まず、今日を大切に生きることができる。

本書は、中野氏の話を聞くことにより浮かび上がった現代を前向きに、楽しみながら生きるためのヒントを短い言葉と文章にまとめ、紹介されている一冊です。

■書籍の紹介
ぜんぶ、すてれば
中野善壽 著

今日できることは、今すぐやる。明日死ぬかもしれないから。

著者は朝目覚めるとすぐにスタッフに電話で指示を出し、そのあと家を出かける前に「あれやった?」と再度連絡を入れるそうです。
その理由は「明日死ぬかもしれないから」

「明日がある」という希望はもつべきだが、本当に明日が来ると信じてはいけないと述べています。今日できることは、今日のうちにやる。今すぐやる。それが、結果を引き寄せ、後悔をしない生き方だと言います。

【見解】
私はどちらかというと、すべてのタスクで優先順位が高いものから着手する傾向があり、どんなに簡単なタスクよりもプライオリティ重視という思考が強くあります。

改めて、プライオリティと完了スピードの2軸で、何を着手すべきか考えてタスクを進行するようにします。

周りになんて、合わせなくていい。自分の中のレジスタンスを守り抜く。

レジスタンスとは「抵抗」のこと。「自分はそうは思わないんだけどな」と感じたら、その”違和感”を大事にしてほしいと筆者は語ります。周りとあわないといけない、という全体主義・同調主義はリスクが高いのです。

そして同時に相手のレジスタンスも尊重すべきです。自分に対して反対意見を言われた時には、カチンと来るかもしれません。でも、そこには将来に繋がる可能性が隠れています。そこはチャンスだと考えるべきです。

【見解】
全体主義を重視することは、自分にはとても当てはまります。おおよそ、抵抗は脳裏によぎるのですが、相手の顔色をうかがい、合わせてしまう。ですが、結局振り返ると、自分が抵抗感を頂いた事、そして他者からの忠告は最終的には問題になるケースが多くあります。

まずは、自分と相手の抵抗感を敏感に感じることができるように、アンテナを巡らせ、これは「抵抗感」だと認識するところから始めます。

会社はただの箱でしかない。愛社精神なんて持たなくていい

自分はなんのために働くのか、それは自分のためだと筆者は語ります。「会社のため」「家族のため」どちらも違います。自分が好きで、楽しいから、目の前の仕事をやっているのです。

会社とは人間が仕事をするための手段であり、ただの"箱"でしかありません。「働く主は、あくまで自分である」握っておく必要があります。

【見解】
確かに自分がなんのために働いているのかというと、結局自分のためという理由に帰結すると感じます。どこまで愛社精神、家族愛を公言しても、それが本質ではないです。

「自分がやりたいからやっている」という感覚を大事にして、仕事に夢中な自分で居続けられるようにしていきます。

とにかく進め、だけでは危険。いつでもやめられる勇気を持って。

人間は「進む」と「止まる」をバランスよく使い分けなければならないと筆者は言います。若いうちは「とにかくなんでもやってみなさい」という助言を受け、それを信じて仕事をしていても、進んだら進みっぱなしというわけにはいきません。

常に周りに吹く風の変化を感じながら、「あれ?」と思ったら立ち止まる。「これ以上進んだら危険だ」と察したら、迷わずブレーキを踏むのが大事です。

【見解】
これは実際に自分が結果を出したコンサルワークのやり方を、今でも信じているフシがあり、直近そのやり方に固執してチームに迷惑をかけました。マンパワー、関係構築、無理な要望はなるべくかわす。

自分のやり方がすべてだと思うと、とたんにブレーキが掛けられず、間違っているかもしれないと感じても、突き進むしなかったように思います。そのため、これがダメだったらいつでも「止めよう」と、次の動き方を見据えた意思決定をしていきます。

人生は取るに足らないもの。宇宙の中の一瞬のまばたき。

「思い切ったことがしたいのに、勇気がでない」と踏み出せない人は、こんな風に思ったらいい、「地球のずっと外側、宇宙空間から眺めてみれば、自分の人生なんて、見えるか見えないかの取るに足りないもの」と筆者は語ります。

仕事で失敗したって、明日死ぬわけじゃありません。自分が役に立つ存在になるなんて考えるのは驕りです。もちろん役立とうとする努力は大事ですが、今日一日を楽しくありがたく味わって過ごしましょう。

【解説】
勇気が出ない、というフェーズは自分の中では過ぎたと思っていますが、実際、過ぎたが故に自分のやり方に固執してしまう自分もいると思います。自分のやり方(関係構築重視のコンサルワーク)で出せる結果は、もうわかっています。そのやり方で出せる結果の限界も。

だからこそ、失敗しても死ぬわけじゃないスタンスや考え方をもって、色々な手段を試していきます。コンサルワークでもそうですが、こういう場合はテスト量ありきです。

捨てるセンスを磨く。好き嫌いを意識することから。

「何を捨てて、何を残すのか。そのセンスはどうやって磨くんですか?」と、インタビュアーから聞かれたとき、筆者は「好き・嫌い」をハッキリ意識するようにしていきたいと答えたそうです。

これは好きだ、このやり方は好きじゃない。理由は後付けでいいから、直観で主観を示していくことが大事です。「直観を信じる決断力」これは、経営者やリーダーにとって必要不可欠なスキルです。

【見解】
「直観を信じる決断力」これは、案件の進行では働きますが、ことチームを巻き込む決断を迫られたときには、迷いが生じます。みんなに迷惑をかけてはならない、失敗しない決断をしなければならないという感情が、判断を鈍らせているのだと、感じます。

ある種、私を失敗したら私から離れていくという恐怖心があるのかもしれません。最初に失敗するかもしれないが、直観がこっちだと言っている、だからついてきてほしい。と、チームに進言できるかどうか、ここがまだ自分には足りないと感じました。

予定を捨てる。ひらめきのための余白をつくる

筆者の手帳は真っ白であり、できるだけ秘書にも予定を詰め込まないようにお願いしているそうです。意志決定をする役割を持つリーダーは、いつでもアンテナを張っている必要があり、思いつきの相談をいつでも受けられる余裕をもっていないといけないと語っています。

現場の仕事で忙しい年代だったとしても、定期的に「何もしない時間」をつくって、ぼんやりお茶でも飲む習慣を持っているのがおすすめです。

【見解】
実際、今はメンバーの相談の受け入れ体制はきちんととっていますが、チーム全体の戦略を練る時間は作れていません。意図的にチームのための思考、タスクを考える時間を作るようにします。

これまではメンバーの相談時間を減らす、という事を考えていましたが、それは本質的ではなく、チームのための思考、タスクを考える予定をスケジュールに入れるという形で、空いた時間にやるというスタイルを無くします。

過去の残像を捨てる。いつも新鮮な自分でいる

顔の第一印象を決める要素の一つが髪型。定期的にだらりと変えるのも、いつのまにか染みついたマイルールだと筆者は語ります。一番ダメなのは若い頃の髪型をずっと維持しているパターン。

自分自身の過去の残像をいつまでも手放せないと、同じ髪型のままでいてしまうのです。

【見解】
私もあまり髪型は変えずにここまで来てしまっているので、いったん過去の自分を捨てられるような斬新な髪型にチャレンジします。私のコンサルスタイル的に、少しエッジの効いた髪型でも話せば大丈夫という可能性が高いので、大胆にチャレンジしてみます。

まとめ

本書を選定した理由は、今までの自分のやり方や経験則を捨て、チームとして結果を出す「方法」を見つけるためです。

上記の見解でも記載しましたが、マンパワー、関係構築、無理な要望はなるべくかわすなどのコンサルワークスタイルで、戦い続けることに限界を感じていたものの、それで「うまくいった」という過去の結果に縛られ、チームで問題が生じているのに対し、軌道修正を最後まで出来なかったことを、リーダーとしての力不足を痛感しました。

また、自分が率直な意見をクライアントに言わない、隠し続けたことで、チームにもクライアントにも余計な時間を使わせてしまったという事もあります。最初は小さなリスクが、進行するごとに大きなリスクとなってしまっていました。

もう過去自分が結果を出したやり方の限界点は、今回の一件があったことで分かりました。このやり方は、全員ができるコンサルワークとは程遠く、自分の時間を大きく削りながら戦うしかありません。御社Webとして推奨できるコンサル術ではないのです。

さらに、対クライアントもそうですが、チームリソースで見ても、このやり方を貫いてしまうと、制作リソースが完全に回らなくなります。

今回の書籍を読んで、リーダーとしてとにかく失敗してもすぐに軌道修正するのは大前提ですが、『今の「手段」で進んだ時、一体どこまで結果が作れるのか?』を常に意識して、短期的に通用するのか、中長期いけるのか、を自分の中で考え続けます。

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