「燃える闘魂」を読んでみた

本書は、京都セラミック(現京セラ)、第二電電(現KDDI)を設立し、経営破綻した日本航空を再生させた稲盛和夫氏が、経営者としての「燃える闘魂」の必要性について、まとめた一冊です。

■書籍の紹介
燃える闘魂
稲盛和夫 著

激しい闘争心を燃やす

日本でなによりも必要なのは「なにくそ、負けてたまるか」という闘争心、いわば「燃える闘魂」だと、稲盛氏は語ります。稲盛氏がまとめた経営の原点とは以下の12か条に集約されています。

一、 事業の目的、意義を明確にする
公明正大で大義名分のある高い目的を立てる

二、 具体的な目標を立てる
立てた目標は社員と共存する

三、 強烈な願望を心に抱く
潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望をもつこと

四、 誰にも負けない努力をする
地味な仕事を一歩一歩堅実に、弛まぬ努力を続ける

五、 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える
入るを量って、出ずるを制する。利益を追うのではない。利益はあとからついてくる

六、 値決めは経営
値決めはトップの仕事。お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である

七、 経営は強い意志で決まる
経営には岩をもうがつ強い意志が必要

八、 燃える闘魂
経営にはいかなる格闘技にもまさる激しい闘争心が必要

九、 勇気をもって事に当たる
卑怯なふるまいがあってはならない

十、 常に創造的な仕事をする
今日よりは明日、明日よりは明後日と、常に改良改善を絶え間なく続ける。創意工夫を重ねる

十一、 思いやりの心で誠実に
商いには相手がある。相手を含めて、ハッピーであること。皆が喜ぶこと

十二、 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で


経営に求められる闘争心

稲盛氏は、中小企業の経営者たちに、「経営ぐらい。ボクシング・レスリング・相撲などの格闘技にも似た闘争心が必要なものはない」と言及していると語っています。

理由としては、必ずしも十分な経営資源を備えた企業ばかりではない事。そのような中小企業が。企業競争に打ち勝つためには、燃えるような闘争心が必要だからです。

稲盛氏は、ナンバーワン企業になるためには市場で、先行する企業に打ち勝たなければならない、経営活動のあらゆる中で、先行大企業には「絶対に負けない」として挑んでいます。「どうせ後ろに逃げても死ぬんだから、死ぬくらいの気迫で前へ進め」それくらいの気概が経営には必要なのです。

自分に勝つ

稲盛氏は自分で定めた目標を何がなんでも達成することが、「燃える闘魂」の一つであるとすれば、それはマラソンなど自分に勝つことが求められるスポーツの世界に似ていると語っています。

オリンピックの陸上選手で試合後のインタビューで、「目標が八位だったので五位に入ってうれしい」と答えた選手に対して、「八位が目標だった」などあるはずがない、本来であれば「八位に終わり本当に悔しい」と答えるべきだったと、指摘しています。

経営者でも「まぁこのくらい成果が出ていればよい」と言葉にする人がいるが「悔しい、来年はもっと努力する」という思考回路が必要なのです。「不言実行」ではなく、経営者自ら「公言し、実行する」それが重要だと稲盛氏は語っています。

経営目標を共有する

大切なことは、上記のような闘魂が経営者だけのものであってはならないということ。従業員はじめ。企業全体がそのような「燃える闘魂」をもった集団であるべきだと、稲盛氏は言及しています。

そのためには従業員の共感を得ることが重要で、経営目標という意志を全従業員の意思に変える必要があります。

その方法は中小企業であれば「うちの会社は素晴らしい可能性をもっている。今はまだ小さいが将来は大きな発展が期待できる」ということを常時繰り返し、ベースを作っておくことです。

もちろんそれだけでなく、経営者の必死の想いをあらゆる機会を通じて、従業員に素直に投げかける必要があります。

命を賭して集団を守る

経営者には「命を賭して従業員と企業を守る」といった気概と責任感が必要不可欠だと、本書で語っています。たとえば、企業が成長発展を遂げると、往々にして悪い考えの集団が手を伸ばしてくることがあります。そんなときに、激しい気迫がどうしても必要になってくるのです。

日本では従業員や企業を守るどころか、みずからの保身に徹する経営者が非常に多くなってきています。単に能力をもった人がトップになるのではなく、真の闘魂、つまり「命を賭して従業員と企業を守る」ことを常に経営者は意識すべきなのです。

不況は成長のチャンス

稲盛氏は過去オイルショックのように、さまざまな不況を克服してきた教訓として、不況は成長のチャンスととらえるべきだと、本書の中で語っています。

不況を境に体質を強化し、次の飛躍に備えることで企業は発展していきます。状況が厳しければ厳しいほど、闘魂をたぎらせ、明るくポジティブな態度で、全員一丸となって創意工夫を重ね、努力を傾けて、難局を乗り切っていくことが大切です。具体的な対策は以下の通りです。

①従業員との絆を強くする
②あらゆる経費を削減する
③全員で営業する
④新製品、新商品の開発に務める

これらを徹底的に行動していくことで、どんな不況も企業の成長のチャンスに変えていくことができます。

【詳細】全員で営業する

不況のときは全従業員がセールスマンでなければなりません。京セラでいえばオイルショック時に「全員で営業しよう」と稲盛氏は投げかけ、営業の経験などない製造現場の人も含めて、全員で製品へ売りにでる行動へつなげました。

「何か仕事はありませんか?何かやらせていただけませんか?なんでもやります」と注文を取って回ったそうです。また、不況時は全社員で営業するとともに、経営者自らもトップセールスに走り回る必要があります。

稲盛氏「燃える闘魂」のベース

稲盛氏は経営者たるもの、「世のため、人のため」といった動機をもっていなければならないと語っています。ビジネスで成功するには、まずは燃える闘魂が必要不可欠であるが、闘魂だけでは制御不能になる可能性があります。

闘魂だけでなく、「世のため、人のため」といった精神ベースがあることで、永続して事業を継続し、成功に導いていくことができます。情熱はもちろん必要で、社員を動かす原動力になります。

しかし、それだけだと独りよがりの経営になり、自分の視点以上のことをなり遂げることはできません。そこで、「社会貢献」の発想を常に持ち続けることで、視野の拡大、やるべきことの明確化をコントロールするべきだと、稲盛氏は考えているのです。

資本主義の原点

そもそも資本主義の原点は、ビジネスを通して「世のため、人のため」に貢献することにありました。資本主義はキリストが教える隣人愛を貫くために厳しい倫理規範を守り、労働と尊びながら、産業活動で得た利益は、社会の発展のために活かすことをモットーにしていたのです。

そのため、事業活動においては、誰から見ても正しい方法で利益の追求する必要があり、また最終目的はあくまでシャイ会のために役立てることが重要なのです。

心に転換を

欲望に彩られた現代の資本主義社会の中で、どのような生き方をすべきか、それは「足るを知る」ことだと稲盛氏は語っています。足るを知るとは、中国・春秋時代の思想家である老子の「足ることを知る物は富めり。強めて行うものは志有り」という思想に基づくものです。

つまり、「持てるもので万ぞじゅすることを知る者こそが本当に豊かなのであり、そのような自分に強いて行動できる者こそが、その目指すところを得る」ということを意味します。

経営者は「自分だけよければ良い」という自らの欲望や自社の損得だけで動くのではなく、「世のため、人のため」といった精神が必要で、それが旧来の資本主義社会に立ち返ることなのです。

燃える闘魂を制御する徳

「燃える闘魂」は誤って限界を超えたりすれば、組織のみならず社会までも破綻させてしまう危険があると、稲盛氏は言います。「世のため、人のため」という精神において、その根底には「徳」が必要なのです。

経営者は日々判断を迫られるが、その時の判断基準として必要なのは「人間として何が正しいのか」という問いだと本書では書かれています。人間として正しいことを貫くという判断基準が、経営者、幹部、従業員と全員が意思疎通できていれば、企業の成長スピードは速く、そして決して判断を誤ることなく進むことができます。


まとめ

本書を選定した理由は、御社のWebチームというサービスの責任者を任されている立場として、それはある種「経営者」という視点で物事を考える必要があると考えていました。そして、直近案件を通して、経営者としての「志」「会社への想い」を受け取る機会が多かったため、本当の意味で経営者のマインドとは何か、それを落とし込むため、選定いたしました。

実際、案件で経営者視点とのズレが起きたり、成功する企業はどういったマインドで挑むべきかを、直近学ぶ機会が多くありました。

・今の社会状況だからこそ、休まず攻め続けなければならない
・従業員のために、地域のためにできることをとにかくやる
・経営理念の体現、共有で人材を動かす。そのために本気で取り組む

そこで感じたのはやはり「覚悟の違い」「責任感の違い」「本気でサービスが良いものだと信じる想い」「社会貢献」などです。

正直なところ、まだ私は「会社員だから」「経営者とは違う」といった思考がどこか残っていたように感じます。もちろん、それは事実なので誤りではないですが…。ですが、それで御社のWebチームを本当の意味で拡大できるのか?と考えたときに、やはりまだまだ行動量が必要だと感じました。

そして、まだまだ自己満足の領域を私は出ておらず、少しの壁やハードルで足踏みしてしまっています。メンバーにもそれが直近伝染してきてしまっているのも分かっています。社長が時折、幹部陣の前でネガティブになることがあるという話も聞いていましたので、今私の余裕のなさがそれにあたるのか、と考えてみたとき、やはり一過性でネガティブになるのではなく、ある程度期間が続くため、これはマインドとして弱くなっていると感じます。

そのため、稲盛氏の言葉を通して、改めて本気で挑もうと、絶対に負けない志を持とうということを実感しました。絶対に御社Webは最高のサービスです。それは、私含め、メンバーも皆共感してくれています。だからこそ、私は、燃える闘魂と圧倒的な志をもって、この御社のWebチームのサービスを本気で拡大しなければなりません。

いち会社員であることを捨て、経営者として。御社Webのために改めてブーストをかけていきます。

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