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【まとめ①】~野球において必要なトレーニング~

これまで私の【指導観】やさまざまな【考察】を投稿してきましたが、今回はこれまでの私の学びの【まとめ】を投稿してみようと思います。

そして今回は、野球というスポーツにおいて必要となるトレーニングについてまとめてみようと思います。

トレーニングの分野というのは、幅も広くて、奥が深い分野です。

たかが一教員の人間が語るほど、簡単なものではありません。

専門家でもありませんし、偉そうに語れる立場ではありませんが、これまでにいろいろと学び、情報収集してきた知識や、私自身の中でまとまった考えを、頭の中の整理という意味も含めて、簡単になりますが書き残しておこうと思います。

書籍や専門誌、講演会、セミナーなどさまざまなところでトレーニングに関して学んできましたが、今回の投稿をまとめるにあたっては、主に以下の2つの書籍の内容を中心に、参考にして文章をまとめています。

▲ 今回の主な【参考文献】 数年前に読んだこの2冊

持久力よりも爆発力

野球というスポーツのパフォーマンスは、
主に
○投球技能(ピッチング能力)
○捕球技能(キャッチング能力)
○送球技能(スローイング能力)
○打撃技能(バッティング能力)
○走技能(スプリント能力など)
の5つの運動技能によって決まります。

野球のプレーの中では、この5つの技能それぞれを、ある時間にわたって連続的に発揮し続けることはほとんどありません。

それぞれの技能を、“間”を取りながら、そして局面や場の状況を的確に判断しながら、9イニングの中で、爆発的、そして集中的に発揮していくのが、野球です。

引用:https://www.nikkei.com

私の世代くらいまではそうなのでしょうか。

日本の野球は、“走る”トレーニングが非常に大きな割合を占めてきました。

もちろん、スプリント、インターバル走、長距離走による無酸素性パワー、無酸素性・有酸素性持久力それぞれ、野球の競技において意味はあります。

ですが、野球という競技の特性上、あまり心肺持久力は必要としません

上記の通り、爆発的な力の発揮が求められるスポーツです。

特に高校野球においては2年半の短い期間になりますので、持久力トレーニングに多くの時間や労力を割く必要性は低いといえます。

その分の労力を技術練習や爆発的な力発揮のトレーニングにまわしたほうが賢明かとも思われます。

ある程度の持久力もないと日々のトレーニングを積み重ねていくこともできないため、持久力が不要だといいたいわけではありませんが、それぞれのトレーニングの目的や意味を十分に理解し、限られた期間の中でどのトレーニングに比重を占めていくのかを考えながら、トレーニングの計画を立てなければいけないと思います。

引用: https://nishispo.nishinippon.co.jp

SSC
(ストレッチ・ショートニング・サイクル)

では、その爆発的な力を発揮するにはどうすべきか、という話に移ります。

やはり、爆発的な力の発揮には、下半身の力が必要になります。

そして、大きな力やパワーを爆発的に発揮するには、反動動作(SSC/Stretch Shortening Cycle/伸長―短縮サイクル)を用いるのがよいと考えます。

辞書的な解説だと、SSCとは、主動作の前に動作と逆方向にすばやく反動を加えることで、主動作のパフォーマンスが向上するというものになります。

わかりやすく言うと、高く跳んだり、物を遠くに投げたりするときに、その直前に跳ぶ方向、投げる方向とは反対方向に身体全体または身体の一部を動かす反動動作です。

いわゆる「バネのある動き」をイメージするとわかりやすいです。

筋肉と腱を一度伸ばしてから短縮させる動きによって、筋肉と腱の弾性作用を利用することで一気に収縮されて爆発的なパワーを発揮することができます。

引用: https://sprint-condition.info/category33/entry375.html

プライオメトリクス

SSCを活用して瞬間的なパワーを発揮するために行われるトレーニングは、プライオメトリクストレーニングなどがあります。

ちなみに、プライオメトリック(プライオ)とは、「プライオ(増大)」+「メトリック(長さ)」の意味です。

野球以外にもスポーツにおいて、その動作中にどれだけSSCを効率よく使えるかはパフォーマンスに大きく影響します。

プライオメトリクストレーニングなどのSSCを活用したトレーニングは、ウエイトトレーニングで鍛えて肥大させた筋肉を競技パフォーマンスに結び付けるための有効な手段になるということです。

引用: https://spo-tech.net

プライオメトリクストレーニングのメニューには、以下のようなものがあります。

○アンクルホッピング

○タックジャンプ

○スクワットジャンプ

○プッシュアップジャンプ

○ボックスジャンプ

○メディシンボールスロー

トリプルエクステンション

爆発的に力やパワーを発揮する運動の多くは、下肢から生み出された力やパワーを原動力として行われています。

その力を逃がさないように注意することが大切です。

そこで大切になってくるのが、下肢三関節という股関節・膝関節・足関節の3つの関節になります。

爆発的な力やパワーを発揮する際には、多くの場合、この下肢三関節がひとつのユニットとして機能的に働いているのです。

章のタイトルにあるトリプルエクステンションとは、この下肢三関節である股関節・膝関節・足関節が同時に伸展(エクステンション)する動作をいいます。

引用: https://physiofit.jp

下肢三関節の伸展によって地面を押すと、地面反力(足で地面を踏んだ時に逆方向から同じ強さで押し返してくる力)を得て跳躍することができます。

その地面反力をできるだけ大きくするためには、その下肢三関節が発揮する力の方向を一致させることが大切になります。

前方から見たときに、下肢三関節の力の発揮の方向が一直線上に並ぶようにします。

そして、足が地面をとらえている間は下肢三関節が発揮する力の方向を一致させるのです。

ここを注意して、下半身のトレーニングを行うこと、動作を行うことが大切になります。

スポーツリズムトレーニングのススメ

SSCを活用したトレーニングを行い、爆発的に力を発揮するためには、できるだけ素早く行うことや、沈み込む動作の完結前に伸展する感覚で次の動きを先取りしつつ動くことが大切になります。

跳躍系以外にもさまざまな場面で、力の方向が変わる切り返しの動きをどのようにコントロールするかが、爆発的な力の発揮のためには大切です。

「もう少し早く」とか「もっと遅く」とか、実際に行っている動きと本人の動きの感覚とを照らし合わせながらその適切なタイミングを探し、運動全体のリズムを獲得することがポイントになってきます。

大切なことを連呼するような形になりましたが、これらの大切なポイントを網羅し、さらに楽しくできるトレーニングが、以前の投稿でも紹介したスポーツリズムトレーニングなのではないか、と考えています。

このスポーツリズムトレーニングを活用して、自然とSSCを活用した力発揮や運動のリズム感を身に付けられたら良いと思います。

さいごに

今回は下半身を中心としたトレーニングの考えをまとめてきましたが、もちろん爆発的な力発揮をするにはそれだけの筋量(筋肥大)も必要ですし、つけた筋肉を素早く自分の思い通りに連動して動かせることも必要です。

主な内容として、SSCを活用したプライオメトリクストレーニングについて書きましたが、これのほかにも、軽めの負荷(重量)を用いて爆発的に素早く高速で行うバリスティックトレーニングや、全身の反動・連動性も使うクイックリフトといったトレーニング法も私自身は必要だと思っています。

トレーニングは、これだけやっておけば大丈夫というものではありません。

まずは土台として、それなりの持久力や筋量は必要ですし、これらがあったとしても、持久力が高いだけの選手や、ボディビルダーのように筋量だけ多い選手では、競技力は向上しません。

それを、地面の力も借りて効率よく力を発揮したり、高速で動かせたり、自分の思い通りに全身を連動させて動かせたりすることで、競技力の向上に直結すると思います。

そう考えると、トレーニングも何かに特化したり偏ったりすることなく、バランスよくやることが大切なのではないか、と感じます。

今回の投稿はSSCやトリプルエクステンションなどといった下半身に関することを述べましたが、今後またの機会に筋肥大に関するトレーニングについてもまとめてみようと思います。

トレーニングについては、冒頭でも述べましたが、私の拙いこんな短文では書き表せないくらい奥が深いものです。

今回の【まとめ】だけで満足せず、これからもさらなる学びや情報収集を続けていき、深めていきたいと思います。

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