【考察⑦】~糸井嘉男氏の“素振り”解説動画を観て~
前回の考察の投稿【考察⑥】~立位姿勢&パワーポジション~で、福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手による「立位姿勢」や「パワーポジション」についての解説を紹介しました。
そのYoutube動画を視聴し、その流れで同じYoutubeチャンネルの過去のアップされた動画を確認してみると、和田氏の少し前に元プロ野球選手・糸井嘉男氏のインタビューと打撃の解説動画がアップされていました。
そのYoutube動画を何気なく観ていた時に考えたことを、今回は簡単に書き残しておこうと思います。
その動画は、こちらになります。
糸井氏が“素振り”について小中高生に向けて解説しています。
糸井氏はまず、インパクトの位置だけを見てスイングしがちだが、正しくはしっかりとピッチャーを想定して投げてくるボールをイメージして素振りをすることを伝えています。
野球をやってきた方々なら「当然だ!」と思うことかもしれませんが、野球を始めたばかりのお子さんや、素振りを“トレーニングの一環”ととらえて練習している中高生の中には、素振りは投手をイメージして行うという意識がないことも、もしかしたら少なくないのかもしれません。
この糸井氏の話を聴きながら、「素振りは“イメージトレーニング”」なんだなぁと改めて思わされました。
脳はイメージしたものと実際の出来事を区別できないため、イメージしたものと実際の出来事に食い違い(ギャップ)が起きると、「脳のフィードバック制御」によって、イメージしたことが実際の出来事になるようにしていく機能があります。
素振りの中で、ピッチャーの投球フォーム、ボールの軌道、球質、変化、(欲を言えば試合展開やアウトカウント、ストライクカウント、監督からのサイン)などを鮮明に、そして良い結果・良い打球をイメージして行うことで、“実際に打撃練習をしている”のと同じ効果が脳内では得られるわけです。
そして、実際の試合でも、良い打球を放ち、良い結果を導いてくれるように脳が働くわけです。
実際は、相手投手と自身の打撃技術の力量の差や、相手守備なども影響することのため、本当にイメージ通りうまくいくわけではありませんが、理論上はそういうことです。
また、糸井氏は現役時代には1日にだいたい1000~2000回の素振り(スイング)をしていたと話されています。
以前の投稿【指導観③】~“脳”に刺激を与える〜の中で、私は「反復練習はもちろん必要」だが、「同じ練習メニューをひたすら毎日のように変化なく続けていくよりも、その中に変化を加えて“刺激”を与えていくべきだ」と述べました。
糸井氏の発言は、言葉尻だけをとると、ひたすら同じ素振りを2000回も繰り返していたように聞こえますが、動画を観て話を聴くと、実際は対戦するプロの投手を鮮明にイメージしながら、どのようにバットを出し、どのように打ち返すかというところまで考えて行っていることがわかります。
いろいろな投手の、いろいろな球種、いろいろな場面や状況を設定して、さらに自分の狙い球、待っているコース、実際に投じられたボールが自分の“読み”とは違ったときまで想定して行うことで、「気づけば1000スイング以上振っていた」ということなのではないかと感じます。
1スイングごとにイメージしていることが違えば、毎スイングごとに脳に刺激が与えられます。
“反復練習じゃないけど気づいたら反復練習になっていた”という感じでしょうか。
「素振りは“イメージトレーニング”」という認識を持って取り組めば、単なる反復練習ではなくなります。
もちろん素振りを行う中で「体力づくり」や「トレーニングの一環」として“振り込む”ということも大事です。
そのことを否定しているわけではありません。
この動画を観た球児たちは、ぜひ「素振りは“イメージトレーニング”」という意識をもって“脳内バッティング練習”を楽しみましょう。
気づいたら多くのスイング量を重ねて、反復練習・「体力づくり」・「トレーニングの一環」になりました、となったら最高です。
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