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【常識を疑う①】〜睡眠の重要性・その2〜
昨日の投稿では、「睡眠負債」に関する、米ペンシルべニア大学医学部などの研究チームが行った研究を紹介し、「毎日6時間睡眠の選手は、2週間練習して技術が上達したとしても、2日間徹夜した人と同じ程度の反応速度(=パフォーマンス⁈)しか出せていないかもしれない」のではないかという内容を記しました。
今回は、昨日の投稿に関連して、2019年12月号の『ベースボールクリニック』で特集された、宮崎総一郎氏(中部大学生命健康科学研究特任教授)の記事「トレーニング、栄養、睡眠の最新情報 体づくりの三原則 医学知識からの提言 特集③ 睡眠に近道なし!十分な眠りが最高のパフォーマンスを引き出す」に記されていた睡眠に関する研究事例を紹介します。
前回の投稿で「睡眠負債」に関するグラフを知った後、もう一度この特集を読み直しました。
皆さんは、この実験・研究結果を見て、どのように考えますか?
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紹介されていた実験・研究
【実験・研究結果1】
米・スタンフォード大のCheri Mahが男子バスケットボール部員11人を対象にした実験では、もともとの平均睡眠時間が6時間41分だった選手たちに、1か月半にわたり10時間以上ベッドにいるように指示したところと、平均睡眠時間は8時間28分に延長し、同時に86m走、フリースロー、3Pシュートのすべてで成績が向上した。さらに、自覚的な日中の眠気や疲労度も改善された。
【実験・研究結果2】
日中に眠気がないという、平均年齢23歳、平均睡眠時間7時間 22分の15人に、なるべく長くベッドにいるように指導した実験では、最初の2日ほどは11時間程度眠り、最終的に平均8時間25分の睡眠時間となった。
1時間ほど睡眠時間が伸びたことで、血糖値が低下してタンパク質合成が良くなり、ストレスホルモンも減少するといった変化も見られた。
【実験・研究結果3】
パソコンのキーを利き手ではない手でたたくトレーニングを午前10時に行い、午後10時にテストをしたところ有意な成績向上は見られなかったが、睡眠を取って翌朝10時に再びテストを行ったところ成績が飛躍的に伸びた。
また、同実験では、別のグループに午後10時に同じトレーニングをして睡眠を取らせ、翌朝10時にテストを行ったところやはり成績は向上していた。
【実験・研究結果4】
瞬間視のトレーニングを行った日に十分な睡眠を取ったところ、その後4日間にわたりトレーニングをしなくても能力の向上が見られた。
しかし、トレーニング当日に徹夜をすると、その後の向上はなかった。
この実験・研究結果からわかること
まず【実験・研究結果1】からわかることは、睡眠不足により脳が働かずにミスをしたりするようになることがあり、自分自身の実力だと思っている成績は、実は持っているパフォーマンス能力を十分に発揮できていない状態にあるかもしれないということです。
次に【実験・研究結果2】からわかることは、自分では十分に寝ていると思っていても、実は足りていないということもあるということです。
つまり、睡眠不足という自覚がないということ。
記事内には「4~5時間睡眠を続けていると脳がそのサイクルに慣れてしまい、眠気を出さなくなる」とあり、慣れによって睡眠不足に気づいていないのかもしれません。
次の【実験・研究結果3】からわかることは、脳が睡眠中に記憶の定着を行っていて、睡眠中に技術が向上しているということです。
そして最後の【実験・研究結果4】からは、技術練習した当日にしっかりと眠ることが重要だということがわかります。
宮崎氏は記事内で
「脳は眠っている間に過去に行ったことを100倍速くらいで思い出します。つまり、脳が眠りの中で練習しているということになるのです。入眠後、すぐに深い眠りであるノンレム睡眠に入り、後半は浅い眠りが多くなります。この深いノンレム睡眠の間に単語などのエピソード記憶が固定され、後半の浅い睡眠の間に運動技能が定着します。つまり、浅い眠りも含めて、睡眠は決してムダな時間などではないのです」
と語っています。
浅い睡眠の間に運動技能が定着するということは、練習やトレーニングをしたその日の夜に、仮に睡眠の質が悪かった(浅い眠りの時間が多い)としても、とにかく長時間の睡眠をとることが大事なのではないかと考えました。
(実際正しい考え方なのかどうなのかはわかりませんが笑)
指導者・選手が考えるべきこと
また、宮崎氏は記事内で
「睡眠は、心臓を動かしたり熱を出したりといった生理的な活動に使われるエネルギーである基礎代謝によって決まります。体重における基礎代謝量は1~2歳が最も高く、だから赤ちゃんはたくさん眠るのです。一方、1日あたりの基礎代謝量を見ると、12〜17歳が最も高くなります。つまり、中高生も睡眠が必要だということ。また、基礎代謝は筋肉量にも関係し、同じ年齢でも筋肉量の多い人のほうが基礎代謝は高く、長く眠る必要があります。つまり、睡眠の量は人それぞれ異なりますが、激しい運動を行っている中高生の体はより睡眠を欲しているという認識を持つことは大切です」
とも述べています。
人によって適当な睡眠時間はさまざまであり、個人差があるかと思いますが、指導者はできるだけ選手が長時間の睡眠時間を確保するように指導する必要がありますし、技術向上に必要な練習量も確保しつつ選手の睡眠時間のことも考慮したタイムスケジュールを組むことも大事です。
指導者がすべての選手の就寝まで管理できるわけではありませんから、指導者として選手に対してどのような働きかけができるのか、この先もよく考えてみようと思います。
また、もちろん選手(高校生たち)たちも、
○ 起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる
○ 毎日できるだけ同じ時間帯に朝食を食べる
○ 夜の部屋の照明を間接照明などの赤っぽい色にする
○ 就寝前にスマホ・タブレット・パソコンを使わない
など、睡眠時間を少しでも確保し、少しでも質の良い睡眠がとれるよう、努力してもらいたいなと思います。
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