河津田 眞紀

物語を書くのが好きで、いつかプロになりたいと思っている人。「小説家になろう」他で作品を…

河津田 眞紀

物語を書くのが好きで、いつかプロになりたいと思っている人。「小説家になろう」他で作品を掲載しています。新人賞にも挑戦中。食欲が旺盛。

最近の記事

それは、ロールキャベツの中にある。 〜同棲を始めた社会人カップルの話〜

   零時十五分。  今日も終電に乗り、帰路に就く。  乗客はそれほど多くはないが、平日の終電には飲み会帰りの酔っ払いか、自分と同じ疲れ果てた会社員しか乗っていない。  社会人二年目。  後輩ができ、任される仕事も増え、良く言えば充実した日々。  しかし悪く言えば、仕事のためだけに生きているような毎日を送っていた。  ヒールの擦り減ったパンプスを鳴らし、自宅の最寄り駅に降り立つ。  スーツのジャケットだけでは風が冷たい季節になってきた。寒いのは嫌いだ。こうした終電帰

    • 告れば付き合えたかもしれないけど告らなかった、クリスマスイブの話

        「イルミネーション、見に行きたいなぁ」  そう誘ったのは、私の方だった。  高一の12月。  片想いをしているクラスメイトの男子に、誕生日プレゼントを渡した。  彼は驚きながらも喜んでくれて、「何かお礼をさせて」と言った。  だから……  クリスマスイブの日に、二人でイルミネーションを見に行きたいと、勇気を出して誘ってみたのだ。  彼は、困ったように笑うと、 「いいよ。じゃあ、18時に待ち合わせしよう」  そう、答えてくれた。  その数ヶ月前。  私は付

      • ダメになりたい私のお夜食

         一日の帳尻を合わせたくなること、ありませんか?  私はあります。  例えば、クソ真面目に働いた後は何もせずダラッとしたい、とか。  体に良いものを食べた後はジャンキーなものが食べたい、とか、そういうのです。  本来の自分の"程度"に合わせるための調整。  それを私は、『帳尻合わせ』と呼んでいます。  そして、その『帳尻合わせ』における最も画期的で効果的な方法が……  お夜食、なのです。  その日、私は珍しくおしゃれをしていました。  学生時代の友人二人と、久しぶり

        • セレクトショップ

          「誕生日プレゼント、なにが欲しい?」 「えー。なんでもいいよ」 「それが一番困ると毎年言っているだろ」 「むー……強いて言うなら、バッグ?」 「ほう」 「通勤用のやつ、ボロくなってきたから新しくしたいんだよね」 「具体的なイメージは決まっているのか? デザインとかブランドとか」 「ぜんぜん。可愛ければなんでもいい」 「選別条件が曖昧すぎるな」 「だってブランドよく知らないんだもん。あ、おしゃれなセレクトショップとかに行けばいいのかな? いろんなブランドの良い

        それは、ロールキャベツの中にある。 〜同棲を始めた社会人カップルの話〜

          押してダメなら引いてみろ。

          "自転車"という乗り物がある。 大人から子どもまで、免許なしでスイスイ乗り回せる便利な軽車両。 現代日本において、自転車に乗ったことがないという人間を探す方が困難かも知れない。 だからきっと、あなたにも経験があるはずだ。 坂道や狭い道路を通行するため、あるいは誰かと談笑するため。 自転車を降り、ハンドルを握って、歩くという経験が。 さて、ここで質問です。 この時、あなたは 『自転車を押す』 と言いますか? それとも 『自転車を引く』 と言いますか? 先日、と

          押してダメなら引いてみろ。