「やろう！」と頭で思っているのに、行動が止まってしまうのはなぜ？
昨日、宿泊した熱海から帰ってきて、そのまま新宿でミーティングに参加しました。喫茶店でコーヒーを飲みながらの打合せ。外が寒い風が吹いているので、すごく体が温まります。
さて、ミーティングの最中にふと思い出したことがありました。
ある時、オンラインで学生さんと話をしていました。その時のテーマは「今、何ができる？何をすべき？」という内容でした。
いろいろ話をしながら、「起業をするために、今後こういうことをしていかなければならないよね。」という内容を簡単なWBS（ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー）のような形で、「いついつまでに、なにをすべき」ということを決めていきました。もし、これ通りに進めることができれば、すくなくとも、よりよい起業に向かって進むことができる。私も学生さんもそう理解していました。
しかし、１週間後。
途中経過を確認するためのミーティングを実施したところ、学生さんがWBSに記載している内容を何も進めていなかったのです！
特に重要なものが、事業に関する「誰の、どんな課題を、どのように解決するサービスか？」を決定するという内容でした。ここが定まらなければ、起業を進めていくことはできません。
私は、学生さんに「どうして、これが進展していないの？別に怒っている訳ではなく、きちんとした理由をしった上で、対策を立てたいから教えて」と伝えました。
すると学生さんは、こう言いました。
「やろうと思って、なんどか考えたのですが、一度作成しても、それに自信が持てず、何度もやり直して、最終的に決めることができませんでした。」
人が行動を止めてしまう要因
一見すると、この学生さんは「きちんと宿題をこなしていたのに、最終的に答えに行きつかなかっただけだからしかたない。やるべきことはやっていた」ように見えます。
でも実は、そうではないんです。
彼は、「答えを出したくなかった」（！）んです。
何を言ってるんだろう？って思いますよね。起業を目指している学生が、起業について考えているんだから、それは答えを出したいと思うのは当たり前だろう。それが「答えを出したくなかった」とは何事か！とお叱りの声を受けそうです。
でも、彼は「答えを出したくなかった」。
答えを出してしまうと、そこに向かって進まなければならないから。
進む、ということは、「後戻りできない」「今までと違う道を進まなけれればならない」ということ。
その「覚悟」ができていないと、人は無意識にドロー、すなわち「答えを出さない」という状態を選択してしまいます。ドロー状態は、すごく「便利」で外から見た時に言い訳しやすい状態です。
「やることはやったけど、結果としてできなかった」という状態は、そうした無意識のメンタルブロックが作用しています。無意識に選択してしまっているんですね。
この無意識のメンタルブロックが「止めてしまう」原因の１つです。
ドロー状態を打ち破る
こうしたドロー状態に陥ってしまうのは、なにも上記の学生さんだけではありません。
「起業をしたい！」とずっと言い続けて、何年もの間、起業することができていない人は、この「ドロー状態」に陥っている可能性があります。
では、ドロー状態は、なぜ生まれるのでしょう？
それは、心の中の「こわさ」が原因。
人は変化することを嫌います。「今まで、この状態で生きてこれたんだから、新しいことをするのはリスク。だから、このままでいい」という「現状維持バイアス」というのが働きます。
この現状維持バイアスは、生存本能に関わるので、すごく強固。ちょっとやそっとでは、なかなか崩すことができないんです。そのバイアスの存在を意識して、こわさの原因と向き合って、そこではじめてバイアスをはずすことができます。
この現状維持バイアスを外すのは、なかなか自分だけでは難しいのも事実。なぜなら、その存在に気づいていないケースが多いから。
でも、一旦気づくことができれば、自己がコントロールできるものになります。
また、次回、この現状維持バイアスに気づく方法について、お話をしてみたいと思います。
さ、帰ろ。
明日は、クリスマスイブですね。街並みも綺麗に彩られています。みなさん、良いクリスマスをお過ごしください。
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神永将行（Masayuki Kaminaga）
iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授
iU Z investment パートナー
起業家メンタルヘルス研究所所長
他 複数社の役員を兼任
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