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断食道場~第2章~「ちょうどいい加減を求めて」4日目

「素直にな~れ、素直にな~れ」

金澤翔子さんという書家をご存知ですか。私は前回龍雲寺に来て初めて知りました。(プロフィル詳細はこちら公式サイトはこちら。)

「世界一大きな般若心経」の前に立つと圧倒されます
涅槃堂のふすまに書かれた「蓋天蓋地」

龍雲寺(公式サイト)に足を踏み入れてまず目に入ってくるのが、物凄い迫力を感じる書です。どんな方の作品なのかと説明を見ると「ダウン症の女性書家・金澤翔子」とあります。サイトや書籍などで作品を見るのもよいかもしれませんが、百聞は一見に如かずです。ぜひ一度本物をご覧ください。力強さと、その一方で溢れるような優しさ・愛情のようなものを感じると思います。

その彼女が住職のお二人の娘さんにかけられた言葉が「素直になーれ、素直になーれ」だっというお話を今朝の法話でお聞きしました。

「偏見やこだわりのない、まっすぐな心」

住職の娘さんたちがまだ小学校低学年のころのお話です。
翔子さんと3人で遊んでいた時に、些細なことで姉妹が喧嘩になり、
妹さんが泣き止まなかったことがあったそうです。
その時に、翔子さんがそっと頭を撫でながら「素直になーれ、素直になーれ」と言葉をかけ、徐々に涙が止まり、やがて妹さんがお姉ちゃんに「ごめんね」と謝り、お姉ちゃんも「ううん、私もごめんね」といって仲直りできたというお話です。

住職は2つ観点で問いかけられました。
一つは、もし私たちがこの場面に遭遇したらどうしていたでしょう?ということです。
「なんで喧嘩するの?」「泣いてばかりいないで、早く謝りなさい!!」「仲良くしないとだめでしょ!」などと、姉妹を𠮟責していたかもしれませんね・・・・
状況を好転させるどころか、さらに追い打ちをかけるような言葉をかけたりしていないでしょうか?
皆さんはどう思われますか?

そしてもう一つ、なぜ人間はすぐには謝れないのでしょうか?ということについて問われました。
喧嘩をした時は、誰でもその瞬間は腹が立ち怒りが湧き、それが原因で泣いたりします。しかし実は次の瞬間には「早く謝って仲直りした方がいい」ということを誰もが分かっています。
でも、なぜかすぐには謝れません。「自分は悪くない、悪いのは相手だ、なんで自分が謝らなきゃいけないんだ」などとますます自分の心を苦しめていしまうことがあります。大人になればなるほど、心が固くなるというか、余計なプライドやエゴが平安を邪魔するのです。そんな経験おありになりませんか?

住職はこうまとめられました。
「翔子ちゃんは、ダウン症です。一般的には障がい者だと言われます。
でも、心は私たち以上に健全で優しく、愛情に満ち溢れていると思いませんか?彼女は知っているのです。「素直になれば、謝れる」ということを。
だから、小さい子の頭を撫でながら、「素直になーれ」という言葉を繰り返していたのではないでしょうか。何か考えてそうしたわけではないでしょう。彼女が生まれながらに持っている仏性の心、優しい心がこの言葉になって表れたのだと思います。
障がい者・健常者という言い方をしますが、心だけを見れば私たちの方が、できないことがたくさんある。私はそう思うのです。素直な心を持った生活をしていきたいものです。」

多くの言葉を必要としない、心に沁みる法話でした。感謝。

私はインゲンが嫌いです。普段なら必ず残します。でも、ここでは美味しくいただきました。


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