<事業は人なり④・・・経験から学んだこと>
(はじめに)
4月26日に講談「神田愛山とアマチュア弟子の会」(露地野一門会)が予定されています。
昨今、神田松之丞(現・伯山)の大ブレークによって、若い人も講談に興味を持ち始めているようで、会社の関係の若手にも声をかけていました。
しかしながら、さすがに中止になるのだろうなと思っています。
今回のネタは「葛飾北斎と谷文晁」。久しぶりの古典ということで、いつも以上に気を入れて稽古しかけていたのにとても残念です。(まだ、中止と決まったわけではありませんが)
でも、本当にいい話なので、いつかどこかで演ってみたいと思います。
(教えてくれるのは上司ばかりじゃない・・・・経験からたくさんのことを学んだ・気づいた)
新型コロナ禍が日に日に深刻さを増してきています。
それでも会社・事業は動いていますから、「現状把握・目標・KPI・達成率・対策アクション」などなどきちんとチェックしていかねばなりません。
みなさんは、どんなミーティング・ディスカッションしているでしょうか?
うちの若いリーダーたちも、とても不安そうにしながら、それでも何とか必死に挽回策を立てようと議論しています。いつも以上に力を張って、苦しそうな表情をしているのが印象的です。(昨日の会議で痛感しました)
僕が彼らに伝えたのは:
①じたばたしても始まらない、どっしり構えていればいい
②時や流れに逆らった努力はしなくていい
③今の時間を有効に使おう
でした。
何を呑気なこと言っているんだと、お叱りを受けるかもしれませんが、僕は本当に今はジタバタするときじゃないと思っています。
社会に出てから、「わっ、もうダメだ」「やばい」と感じるようなできごとや危機に面するのはこれで4回目のことです。
①(1989年ごろ)
日本でリクルート事件が起きて、その余波もありロサンゼルス・オフィスで大量のリストラが行われました。30人くらいの社員が5人くらいに減らされました。
僕は当日まで全く何も知りませんでしたが、それを決断した上司は直後に本社に帰国してしまいました。
手当金などをもらって解雇された社員より、そこに残されたメンバー(アメリカ人)の方がかわいそうでした。(日本人で残ったのは僕一人でした)
残された面々で、どうやって事業を創るのか、途方に暮れました。
結局しばらくして、彼らも辞めていき、人を採用し直しながら事業の再構築を図りました。
初めて拠点長として人を採用し、事業を創という経験をしたのがこの時です。
②(1997年ごろ)
バブル崩壊後で、金融機関が次々と苦境に陥る中、山一証券が破たんしたのが1997年でした。偶然、僕たちの向かい側に同社の大阪支店がありました。
中途採用で僕らの顧客だった山一が破たんしたその日に僕らがしたことは
「山一社員向けの求人情報公開・相談」を冊子とチラシにして、山一大阪支店総務にもっていくことでした。総務部長はじめ多くの方から感謝されました。
山一の社員を他社に紹介することで「商売」に走った人材紹介会社もたくさんありましたが、僕はその道を選ばみませんでした。「まずは山一社員の方々に安心を」「紹介先のあるなしに関わらず、まずはきちんと相談に乗ろう」と社員に号令をかけて対応した記憶があります。
欲をかいてはいけない、まずはお客さんのニーズに合わせてとことん動く、できることを全部やる、そこから始まるものがある。
③(2008年ごろ)
前職の人材会社代表を退任後、2008年10月に僕は別の人材紹介会社の社長に着任しました。その直後にリーマンショックがおきました。何が何だかわかりませんでした。
大手同業者のいくつかが、社員リストラに加え新卒の内定取り消しを行っていました。
「人材紹介業が、困ったからと言って人材を切っていたら、完全な自己矛盾になる」と感じていたので、
僕は、人には一切手をつけませんでした。
僕のやったことは:
・オフィス移転(坪単価と広さを半分に)
・すでに内定していた新入社員はすべて受け入れる
・他社から「内定辞退・取り消し」された社員も応募があるならば採る
・翌2010年卒業予定の新卒者採用を行う
事業は人なり、採用が事業を左右すると標榜している人材業の矜持を保つことがとても重要だと感じていました。
こうして振り返ってみるとほぼ10年に1回は何か起きています。
その事象の背景や、経済環境、事業の置かれた状態などすべて違いますから、「このやり方を・こういう時にはこういうアクションを」という
ことを言うつもりはありません。
「正しいか間違っているか」「良いか悪いか」という問題でもありません。
これらの経験を通じて僕が学んだこと、経験から教わったことが今の僕の軸であり糧になっていることだけがハッキリしています。
「慌てるな」、「真剣にやれ、しかし深刻になるな」、「流れに逆らうな」
「事業の本質をしっかり見つめろ」
コロナ禍による経済ダメージはこれまで以上のものがあるでしょう。
これまでの経験だけでは切り抜けられないかもしれません。
しかしながら、活きない経験はないと思っています。
今の若きリーダーたちも、この経験が必ず生きる時が来ると思っています。
地に足つけて、着実に彼らと共に今を乗り切りたいと思います。
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